病気の治療
Treatment of Disease
Treatment of Disease
マイコプラズマ肺炎とは、マイコプラズマ・ニューモニアエという病原体によって引き起こされる肺炎で、肺炎全体の10~20%程度がマイコプラズマ肺炎といわれています。肺炎球菌などによって引き起こされる一般的な肺炎と区別するために、非定型肺炎ともいわれており、この異型肺炎の大半を占めているのが、マイコプラズマ肺炎です。
一般的な症状は、数日持続する発熱、全身倦怠感などですが、特に痰を伴わない咳(乾性咳嗽)が特徴で、「頑固な持続性の咳」とも表現されます。さらに他の症状改善後も、咳だけが持続することもあります。
感染してから発症するまでの潜伏期間は通常2~3週間とされており、感染経路は、咳やくしゃみなど、飛沫(しぶき)による飛沫感染、あるいは感染している人との接触による接触感染もあります。そのため、家族間での感染や学校などの集団生活の場で感染しやすく、集団感染を起こしやすい疾患です。
肺炎があるかどうかは、胸部レントゲン・CTなどで診断しますが、マイコプラズマによるものかどうかの確定診断は、患者の咽頭拭い液、喀痰よりマイコプラズマ・ニューモニアエを分離することで診断します。しかし結果がわかるまでに1週間程度かかるため、通常の診断としては有用ではありません。近年、抗原キットを用いた迅速診断法が開発され診断の主流になっています。この検査は患者の咽頭拭い液、喀痰で行うので、口さえ開けることができれば、小児・高齢者などでも簡単に実施することができます。
治療の中心はマクロライド系の抗菌薬になりますが、2000年頃からこのマクロライド系抗菌薬が効きにくいタイプのマイコプラズマ肺炎(マクロライド耐性マイコプラズマ肺炎)が徐々に増えてきており、このような症例にはニューキノロン系・テトラサイクリン系の抗菌薬が使用されます。しかしテトラサイクリン系抗菌薬は、小児の場合、歯の着色などの副作用や、骨の形成への影響が出ることがあるため注意が必要です。治療期間は、軽症の場合1週間程度ですが、重症例の場合は1カ月以上の入院治療が必要となることもあります。