徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2024年(令和6年)09月30日 月曜日 徳洲新聞 NO.1460 4面

葉山ハートセンター
二刀流の肥満手術が好評
痩せるためと痩せた後をサポート

葉山ハートセンター(神奈川県)は肥満症の患者さんに対し、痩せるための腹腔鏡下スリーブ状胃切除術と、瘦せた後にたるんだ皮膚を修復するボディコントアリング手術(体型修正手術)を行い、好評を博している。両手術とも条件を満たせば保険適用できる。肥満症により、健康被害や社会的不利益が生じるケースもあるが、自分の力だけではなかなか減量できない患者さんも多く、同院は“二刀流の手術”でサポートする。

「患者さんに健康的な生活を取り戻してほしい」と道躰医長

一般的に肥満の程度はBMI(体格指数)で評価され、日本では25以上を肥満、35以上を高度肥満と定義している。さまざまな健康被害につながり、糖尿病や高脂血症、高血圧といった生活習慣病に加え、冠動脈疾患、変形性関節症、悪性腫瘍、肝機能障害などの原因となる。また、就労上の不当な扱いや差別など社会的不利益につながるケースもある。

道躰隆行・外科医長は「一定以上の肥満になると、痩せようと考えても、自分の力だけでは解決できないこともあります。ぜひ、医療の力を頼っていただき、一緒に成果を上げていければと思います」と力を込める。

腹腔鏡下スリーブ状胃切除術は、腹腔鏡に胃カメラも併用し胃の形状を確認しながら行う

同院では、“痩せるための手術”と“瘦せた後の手術”の二刀流で患者さんをサポートする。道躰医長は「腹腔鏡下スリーブ状胃切除術は消化器外科、ボディコントアリング手術は形成外科の範囲になりますが、ひとりの医師がどちらも行う施設は珍しく、私の知る限り国内では当院のみだと思います」と強調。

「痩せるための手術の準備段階から、術後のフォロー、さらに瘦せた後にたるんだ皮膚を修復する手術まで、一貫して患者さんと向き合いますので、しっかりと信頼関係を築き、二人三脚で対応していきます」とメリットを明かす。

胃をバナナ状に細長く形成

腹腔鏡下スリーブ状胃切除術は14年に保険適用された。当時はBMIが35以上あることが条件だったが、20年の診療報酬改定で適用基準が拡大。「6カ月以上の内科的治療によっても十分な効果が得られないBMIが32.5~34.9の肥満症、およびHbA1cが8.4%以上の糖尿病患者であって、高血圧症、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群のうち1つ以上を合併しているもの」となった。

さらに、22年の診療報酬改定でも同条件が変更。BMIは32~34.9、HbA1cは8.0%以上に引き下げられ、合併疾患も「糖尿病、高血圧症、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群のうち2つ以上を合併しているもの」となった。

同手術は、胃の外側(大彎側)を大きく切除し、バナナのように細長く形成する治療。胃の上部から分泌される食欲増進ホルモンの量も減り、食欲を抑制する効果もある。手術直後からしばらくは、食欲が減退し食事摂取量も減少。これは、いわば“期間限定の強制的なダイエット”であり、この期間に健康的な食生活を獲得することが重要だ。そのためには術前の準備期間も大切で、半年を目安に食生活を少しずつ見直してから手術に臨む。手術の際の入院期間は1週間、術後のフォローは月に1回程度の通院で行う。

健康的な生活取り戻す

道躰医長は「手術後に、また胃が大きくなるわけではありませんが、リバウンドしないわけではありません。患者さんには、手術前から食生活をノートに記録していただき、外来で確認しながら、一緒に健康的な生活を取り戻していきます。また、手術をしたからといって、永久に食事の楽しみを奪われるわけでもありません」と説明する。

術後、大幅(20~30kg)に減量すると、皮膚にたるみが出てくるが、いったん伸びた皮膚は元には戻らない。そこで同院では、ボディコントアリング手術にも対応。同手術は、脂肪吸引により血管を温存しながら、たるんだ皮膚を切除・形成する治療だ。おへその位置が下がったケースでは、位置と形の修正も行う。

基本的に自費診療になるが、たるんだ皮膚が傷んでいたり、腹筋が離解してヘルニア(脱腸)を起こしたりしている場合は、保険適用が検討できる。腹腔鏡下スリーブ状胃切除術後だけでなく、自力で減量した人や出産後に大幅な体重減少があった人なども対象。減量した後にリバウンドの心配がなくなった頃を見計らい、同手術を行う。

道躰医長は「両手術とも患者さんに健康的な生活を取り戻してほしいという思いで実施しているものであり、美容形成ではありません。痩せるため、痩せた後の2段階でフォローする体制を示すと、患者さんのモチベーションアップにもつながります。当院が立地する地域にはもちろん、全国的にも両手術を実施している施設は少ないので、今後も患者さんのニーズに応えていきます」と意気軒高だ。

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