徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2018年(平成30年)3月12日 月曜日 徳洲新聞 NO.1124 三面

日本病態栄養学会
徳洲会から11題発表
初企画のセッションでも

第21回日本病態栄養学会年次学術集会が3日間、京都市内で行われた。徳洲会は5病院が計11演題を発表(ポスター発表含む)。シンポジウムでの2題を中心に紹介する。

多職種で知識共有
松末美樹・看護主任 高砂西部病院(兵庫県)

今回初めて看護師を対象としたセッション(テーマ:栄養療法における看護師の専門性と他職種との協調)が設けられ、松末主任は「脂肪乳剤使用における看護師の意識調査より見えてきたもの」と題し発表した。NST(栄養サポートチーム)専門療法士の資格をもち、院内でのNST活動の促進に向け活動している。

脂肪乳剤は静脈注射で用いる栄養剤のひとつ。必須脂肪酸の供給源となるだけでなく、少量で高カロリーの投与ができるため、とくに末梢(まっしょう)静脈栄養を行ううえで「重要な薬剤」と指摘。自院でも栄養が十分に確保できない患者さんや静脈栄養のみで管理されている患者さんに脂肪乳剤の使用を提案するとともに、使用方法や必要性に関する勉強会を定期的に開催した。しかし、職員の意識変化や使用回数に変化が見られなかったため、NST活動の活性化を狙い、まずは同じ看護師を対象にアンケート調査を行った。

一般病棟や外来、手術室などを対象に15日間行い、87人から回答を得た。結果は脂肪乳剤について9割以上が知っていたものの、投与ルートや投与速度が異なっていることが判明。脂肪乳剤に対する誤解も少なくなかった。

松末主任は勉強会の内容が看護師の目線に即していなかったことを省みるとともに、あらためて医師、薬剤師、管理栄養士など多職種共同で脂肪乳剤の投与管理に関する知識を深めていく必要性を強調した。

発表後の質疑応答で現在、勉強会の開催のみならず、参加できなかった職員のために、会の内容を簡潔にまとめた印刷物を作成するなどして、知識の共有を図っていることを明かした。

継続栄養指導の可能性
堀川文子・栄養科主任(管理栄養士) 札幌東徳洲会病院

炎症性腸疾患(クローン病:CD、潰瘍性大腸炎)をテーマとしたセッションで、「栄養療法を継続するクローン病患者と管理栄養士の関わりについて」と題し、自院のIBDセンターでの取り組みについて説明した。同センターは炎症性腸疾患などの診断・治療に特化した部門。

堀川主任は、同センターでは治療と並行して患者さんの栄養状態の把握を継続的に実施している様子を紹介。入院時に食事・栄養療法の考え方の指導、食事摂取量や必要栄養量の設定、栄養指標となる体重測定や総タンパク・アルブミンなどの測定を行い、その後、栄養指導ごとに退院後の生活状況や活動量に合わせた栄養評価、入院当初に設定した栄養量との照合などを実践している。

これを8週ごとに行うインフリキシマブ投与のタイミングで、102週まで実施した群(A群)と、単回の指導で終了した群(B群)とを比較検討した。体重は両群ともに増加率を維持できたものの、B群では78週、102週で総タンパクやアルブミン、ヘモグロビンなどの減少とCDAI(CDの疾患活動指数)の上昇を認めた。

今回の研究では総栄養量に着目したため「成分栄養療法のみが治療に奏功する明確な結果は得られていない」としながらも、定期的なモニタリングを継続し、一定の栄養状態を維持することが、治療効果の維持につながる可能性などを示唆。

あわせて、CDでの栄養療法の成否には疾患・治療に対する患者さんの理解、管理栄養士を含む医療者の共通の理解、さらに患者さんのQOL(生活の質)の維持が重要とし、患者さんの声に耳を傾け情報を共有することが、「適正な栄養摂取と治療の向上につながります」と締めくくった。

このほか、一般演題の口演(口頭発表)は次のとおり。▼野口享秀・大垣徳洲会病院(岐阜県)透析センター名誉顧問「低たんぱく・高カロリー食事療法は透析導入後の生存率を改善する」▼森貴久・湘南鎌倉総合病院(神奈川県)脳卒中センター長兼脳卒中診療科部長「脳卒中危険因子としての脂肪肝」、「中高年と高齢で発症した日本人脳梗塞患者の血清脂肪酸構成と脳梗塞病型の違い」、「栄養状態が悪化した重症脳卒中・経腸栄養患者に対するメディミルプチ・ロイシンプラスの早期栄養改善効果」、「脳卒中患者の急性期高血糖状態に対するSGLT2阻害薬ルセオグリフロジンの早期効果と安全性」▼櫻井聖子・同栄養管理センター主任「非代償性肝硬変患者に合併した筋力・筋肉量低下に対する活動量に関する検討」▼伊藤典子・同栄養管理センター副主任「下肢切断した重症下肢虚血(CLI)を有する患者の栄養状態と転帰との関係」

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