2017年(平成29年)6月5日 月曜日 徳洲新聞 NO.1085 一面
札幌東徳洲会病院
道がん診療連携指定病院に
地域のがん医療の中核を担う
札幌東徳洲会病院は北海道から「北海道がん診療連携指定病院」の指定を受けた。同指定病院は2012年にスタートした道独自の制度で、道内のどこに住んでいても標準的ながん医療が受けられるよう病院機能を強化するのが狙い。集学的治療(手術、化学療法、放射線治療)の実施体制、病病・病診連携の協力体制など要件があり、現在、道内で同院を含め24施設が指定されている。都道府県が認定するがん拠点病院は、徳洲会グループでは11施設目。
都道府県認定は徳洲会11施設目
指定申請で中心的役割を果たした太田院長(右)と岸・事務部長
2015年の人口動態統計(厚生労働省)によると、道内の死亡者数6万667人に対し死因の第1位は悪性新生物(がん)で1万9098人(約31%)。この数字は、第2位の心疾患(9156人)の約2倍、第3位の肺炎(5641人)の約3.5倍だ。がんの死亡者数は年々増加しており、北海道は、がん医療の整備が急務となっている。
現在、道では国の指針に基づき、がん診療連携拠点病院の整備を進めている。厚生労働省は道内に「都道府県がん診療連携拠点病院」1施設、「地域がん診療連携拠点病院」19施設を指定。
しかし、これらは都市部に集中し、拠点病院のない二次医療圏も存在する。
表 徳洲会グループの都道府県認定がん拠点病院一覧
| |
病院名 |
初回指定 |
| 北海道がん診療連携指定病院 |
札幌徳洲会病院 |
2015年4月 |
| 札幌東徳洲会病院 |
2017年4月 |
| 東京都がん診療連携協力病院 |
東京西徳洲会病院 |
2016年4月 |
| 神奈川県がん診療連携指定病院 |
湘南鎌倉総合病院 |
2015年4月 |
| 千葉県がん診療連携協力病院 |
千葉徳洲会病院 |
2012年9月 |
| 千葉西総合病院 |
2013年6月 |
| 大阪府がん診療拠点病院 |
八尾徳洲会総合病院 |
2010年4月 |
| 岸和田徳洲会病院 |
2011年4月 |
| 和泉市立病院 |
2011年4月 |
| 京都府がん診療連携病院 |
宇治徳洲会病院 |
2011年3月 |
| 鹿児島県がん診療指定病院 |
大隅鹿屋病院 |
2011年12月 |
そこで道は、在宅でのがん医療や緩和ケア、相談支援など、がん医療の充実のため、独自の要件により12年から「北海道がん診療連携指定病院」の指定を開始した。こうした認定制度は各都道府県が行っており、徳洲会グループでは同院含め11施設の病院が指定されている(表)。
道の具体的な要件は、診療機能として①集学的治療の提供体制および標準的治療等の提供、②化学療法の提供体制、③緩和ケアの提供体制、④病病連携・病診連携の協力体制、⑤セカンドオピニオンの提示体制。このほか診療従事者、設備など医療施設、研修の実施体制、情報の収集提供体制といった項目がある。指定は毎年4月に行い、効力は4年間。
札幌東病院は13年4月に乳腺外科、7月に血液・腫瘍内科、11月に放射線診断科・放射線治療科を次々と開設、翌14年4月には精密ながん検診を可能にするPET―CTを導入した。年々がん患者さんの受け入れが増え、16年の年間延べ入院患者数は1万3345人。がんを専門にする医師も多数抱えており、「地域の住民や医療機関に見える形でアピールする必要があると考えました」と、太田智之院長は同指定病院を申請した理由を説明する。
また、救急病院としての強みを生かし、「他院で入院するがん患者さんの急変に対応する〝オンコロジー・エマージェンシー〟も役割のひとつと考えます」と意気込む。
化学療法は一度に13 人実施できる
16年夏から本格的に準備を開始。同院では、これまでは各診療科の医師が治療の延長として緩和ケアも行っていたが、同年10月、太田院長自ら担当する緩和ケア外来を開設した。「緩和ケアはチーム医療。現在、緩和ケア認定看護師は1人しかいませんが、あと2人くらい増やす予定です。薬剤師、リハビリスタッフ含め、よりチームとして機能できるようにしていきます」と太田院長は展望を語る。
「認定がん専門相談員」も1人が取得。これは、科学的根拠や信頼できる情報を提供することで、その人らしい生活や治療選択ができるよう患者さんを支援する能力を備えた人材として、国立がん研究センターが認定する資格。
今後は人数を増やし、がんと診断された患者さんの相談窓口を一元化する「がん相談支援センター」のさらなる充実も構想している。
手術、化学療法、放射線治療、さらにPET―CTでの検診と、充実したリソースをもつ同院。「これから、がん患者さんは増えていきます。指定病院となったことをきっかけに、院内の体制をさらに強化するとともに、地域の協力施設とも連携して、がん医療の中核を担っていきたいと思っています」と太田院長は意欲を見せる。
臨床研究センターも活用
放射線治療装置「TrueBeam」は高い精度と正確性に加え短時間での治療が可能
同院は、がんに対して研究面でもアプローチしている。
12年1月に付属の臨床研究センターを設立。同年6月には、徳洲会グループで初となる文部科学省指定研究機関の認可を受けた。これにより同センターは科学研究費(科研費)補助金などの交付対象となり、公的研究費を活用して臨床研究を推進している。
現在、同センターのがん研究部では、膵(すい)がん発症の予測に役立つ新規の感受性遺伝子群を特定するための国際共同研究を推進中。日米の若年発症膵がん患者さんを対象に、全ゲノム(遺伝情報)解析を行い、新たに特定した遺伝子情報をもとに膵がんの早期診断に役立つ仕組みをつくり上げる。また、近隣の研究所と連携し、膵嚢胞(すいのうほう)関連がんの臨床病理学的・遺伝子学的検証や、同院の放射線診断科で15年にスタートした局所治療(凍結治療)の研究も推進中だ。
岸郁夫・事務部長は、「最新の研究成果を地域の医療機関と共有するために、勉強会も積極的に行っていく予定です」と意欲的だ。