2016年(平成28年)11月7日 月曜日 徳洲新聞 NO.1056 四面
一般社団法人徳洲会と未来医療研究センター
GCP・新指針で研修
京大ⅰPS細胞研から講師招聘
CiRAの鈴木・特定研究員が研究倫理について講義
一般社団法人徳洲会と未来医療研究センターは9月10日、岸和田徳洲会病院(大阪府)で「治験・臨床研究実施のために必要な基礎研修(GCP・新指針研修)」を共催した。徳洲会は医師をはじめ全医療従事者を対象に、治験や臨床研究の実施に必要な知識の深化を目的に、年間をとおして各地の徳洲会病院で同研修を開催。今回は31人が参加し研鑽(けんさん)を積んだ。
研修は2つの講演で構成。京都大学ⅰPS細胞研究所(CiRA) 上廣(うえひろ)倫理研究部門の鈴木美香・特定研究員と、未来医療研究センター臨床研究管理部の歌田直人部長が講師を務めた。岸和田病院の出田淳副院長が「臨床研究や治験には法令で定められたルールがあります。すでに理解している事柄も多いと思いますが、有意義な時間を過ごしてください」と開会の挨拶。
はじめに歌田部長が「2016年度 研究責任者等の要件等の変更について」をテーマに講演を行った。国は15年4月に「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を施行。これを受け徳洲会は、研究責任者だけでなく研究分担者や研究協力者にも研修受講を義務付けるなど、研究に従事するための要件を今年4月に改訂した。
鈴木・特定研究員は「臨床研究者がもつべき知識・技能・思想」と題して研究倫理について講演を行った。「人を対象とする研究」の定義を説明したうえで、①医師が患者さんに臨床研究への参加を依頼する場面、②手続きに不備のあった臨床研究―― の2つの架空の事例を用い、参加者に問いかけながら人対象の研究が備えるべき条件をレクチャー。
これらをふまえ、鈴木・特定研究員は「正統な研究とは、科学的に合理性があるのが第一で、そのうえで倫理的に妥当性がある研究を意味します」と研究倫理の根本を強調し、プロの研究者として、あるべき姿などを講義。その後「誰の、何のための臨床研究か」や「プロの臨床研究者・技師としてどういう人であるべきか」などを記入する参加型学習の時間も設けた。