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2016年(平成28年)11月7日 月曜日 徳洲新聞 NO.1056 一面

羽生総合病院 新築移転へ安全祈願祭
地域拠点病院として発展を期待

埼玉医療生活協同組合は10月23日、羽生総合病院(埼玉県)の新築移転工事安全祈願祭を開催。福島安義理事長(一般社団法人徳洲会副理事長)や松本裕史理事(羽生総合病院院長)ら同組合会員、河田晃明・羽生市長をはじめ商工会や消防局など地元関係者、徳洲会関係者ら約130人が出席した。新病院はさまざまな機能を強化し、現病院から約800m離れた場所に2018年5月にオープンする予定。

神事には107人が列席 神事には107人が列席

神事には107人が出席し、新病院の工事が安全に行われることを祈願した。その後の直会(なおらい)では、工事の発注者を代表して福島理事長が挨拶。羽生病院が開設から30年以上が経過していることにふれ、「できるだけ早く新病院を、との思いで新病院のプロジェクトを進めてきました」と明かした。

続けて「このたび第一歩を踏み出せました」と感慨深げに話し、「市長や行政関係者、何より地権者のご協力のおかげです」と改めて関係者に謝意を示した。新病院は「松本院長をはじめ職員の思いがいっぱい詰まった病院になります。現病院以上に組合員、地域の皆様で育ててもらいたいと思っています」と呼びかけた。

新病院の完成予想図 新病院の完成予想図

続く来賓挨拶では、河田市長が登壇。新病院の誕生について「羽生市民が首を長くして待っています」と地元の期待の大きさを示した。最後に河田市長は、地域で完結する医療が叫ばれるなか新病院が高度医療を提供する病院として地域の中核になることを望むとともに、行政の立場から「地元の三師会(医師会、歯科医師会、薬剤師会)や医療機関と協力して市民の安全・安心に寄与していきたい」と覚悟のほどを見せた。

諸井真英・埼玉県議会議員と松本敏夫・羽生市議会議長も駆け付け、それぞれ祝辞を述べた。諸井議員は「素晴らしい病院を期待しています」と関係者を激励。今年度末には圏央道(首都圏中央連絡自動車道)が茨城県の筑波方面にも開通し、成田空港からのアクセスなどが良くなる点を指摘。

神事で鍬(くわ)入れを行う福島理事長 神事で鍬(くわ)入れを行う福島理事長

関係者に改めて謝意を示す福島理事長 関係者に改めて謝意を示す福島理事長

「いろいろな方が訪れやすくなるなど、当地域が発展してきますが、そこには病院が欠かせません。言うまでもなく、地域住民の安全・安心に必要な施設であり、地域の皆様、市、県が協力して新病院が完成後も発展していけるよう貢献したいと考えています」と力を込めた。

松本議長も新病院に対して「羽生市の歴史の1ページをつくるのではないかと思います。そのくらい大きなプロジェクトです」と期待を寄せ、「内も外も素晴らしい病院をつくってほしいです」と願いを口にした。

この後、設計監理者を代表し、横河建築設計事務所の鈴木良典社長が挨拶。新病院の設計で工夫した点を簡単に紹介した。鈴木社長は1階に外来を中心とする関連部門を集約し、患者さんの負担軽減につながることをアピール。2階は救急、手術室、ICUなどの部門をまとめて配置するなど、高度急性期医療の機能強化が図れるつくりになっていることを披露した。

新病院が地域の中核施設になることを望む河田市長 新病院が地域の中核施設になることを望む河田市長

病棟についても言及。すぐに看護師が対応できるように、スペースの中央にスタッフステーションを配置し30床の小ユニットを構成、手厚い看護が受けられる環境づくりにも挑んだと強調した。最後に、藍染めが地場産業であるのをふまえ、建物の一部に藍色を使用していることを紹介。「藍色に染められた建物が地域に信頼され、長く愛されることを期待します」と締めくくった。

施工者である鹿島建設の佐藤修・常務執行役員兼営業本部副本部長は、既存の羽生病院の建設に自社が携わったエピソードを披露し、新病院の施工も担うことに強い覚悟を示した。

中川・専務理事は、より快適な環境の提供を約束 中川・専務理事は、より快適な環境の提供を約束

乾杯の音頭は埼玉医療生協の中川和喜・専務理事が取った。中川・専務理事は徳洲会の病院のうち、すでに16施設が新築移転し、羽生病院は19番目になる予定と説明。「きれいになるのはもちろんですが、敷地面積、延べ床面積ともに倍以上になるため、より快適な環境を提供できます」と自信をのぞかせた。新病院の建設が職員のモチベーションアップにもつながるとして、「職員皆で努力していきます」と力強く宣言した。

中締めは鹿島建設の江藤康之・工事事務所所長が行った。「良い建物をつくるには施主、設計者、施工者が三位一体で進めることが大事です」と関係者に団結を呼びかけ、閉会した。

新病院は鉄骨造り・耐震構造の地上6階建てとなる。

埼玉医療生活協同組合 地元に向け新病院説明会
地域医療を考えるプログラムも

「完成が待ち遠しい!」

ユーモアを交えプレゼンテーションを行う松本院長 ユーモアを交えプレゼンテーションを行う松本院長

埼玉医療生活協同組合は10月15日、羽生市産業文化ホールで地域の方々を対象に記念講演会と新築移転する羽生総合病院の新病院説明会を開いた。週末の夜にもかかわらず、約500人が参加するなど関心の高さがうかがえた。

同組合の福島安義理事長、羽生市自治会連合会の入江建夫会長、羽生市商工会の卯ノ木善一副会長が挨拶した後、記念講演会を実施。羽生病院の松本裕史院長が司会を務め、パネリストに河田晃明・羽生市長、平野博之・羽生市医師会会長、かつて羽生病院で院長を務めた盛岡正博・佐久学園理事長と髙橋勝貞・佐久総合病院老人保健施設施設長を招き、地域医療について議論した。

記念講演会では地域の医療について各パネリストが議論 記念講演会では地域の医療について各パネリストが議論

最初に各パネリストが地域の医療や新病院に対する要望などをテーマに講演。河田市長は市の高齢化率や年間医療費・介護費が伸びている状況を指摘し、早期発見・治療で重症化を防ぐ必要性を説いた。平野会長は医療資源が乏しいことを示唆。直近5年間で市内に開業した医師がいないことなどを明かし、効率的な連携をするためにも羽生病院に医師の専門分野や各疾患に対する治療方針、実績など、より積極的な情報発信を求めた。

盛岡理事長と髙橋施設長は同院に勤務していた頃のエピソードを披露。地域の方々とともに数々の苦労を乗り越え病院が発展してきたと強調し、同院が「地域のためにある病院」であることを訴えた。最後に松本院長が「地域医療計画と羽生総合病院の役割」と題して地域の現状を解説した。

第2部で新病院の説明を行い、松本院長が自らプレゼンテーション。縮小模型やイメージ映像、スライドを駆使して新病院の特徴を示した。新病院の基本コンセプトについては①羽生市内および近接地域の医療ニーズへの適切な対応、②地域がん診療連携拠点病院の指定、③災害拠点病院の指定、④早期発見・治療につなげる体制構築、⑤療養環境の向上――の5項目を提示。実現するための具体策として、救命救急センターの設置、放射線治療装置の導入や緩和ケア病棟の設置、非常用電源の確保、井水の利用、ヘリポートの設置、健診センターの強化、透析やリハビリテーション部門の拡充、増築・改築が容易な建物づくり――などを掲げた。

新病院の模型をロビーに展示 新病院の模型をロビーに展示

その後、フロア構成図を示しながら、新病院の各スペースを紹介。開放感あふれるエントランスや、医療講演をはじめ多様なイベントが実施できる多目的ホール、がんの早期発見に有用なPET-CTや、アンギオ(血管撮影)装置、高精度放射線治療装置など最新鋭の検査・治療装置を導入する核医学・放射線治療室、TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)に対応するハイブリッド手術室、 “見守り型病室”としてスタッフステーションを囲むように病室を配置する病棟をアピールした。

地域の介護施設に勤務する看護師は「素晴らしい病院ができるので楽しみ。お世話になります」と新病院の完成を心待ちにしていた。

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