徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)01月14日 火曜日 徳洲新聞 NO.1474 4面

藤田・鹿児島病院総長
鈍的外傷による腸間膜血腫
希少症例を英語論文で発信

『Trauma Case Reports』に英語論文を発表した藤田総長

鹿児島徳洲会病院の藤田安彦総長は、世界最大規模の学術出版社であるエルゼビア社が発行するオンライン英語医学ジャーナル『Trauma Case Reports』に論文を発表した。テーマは「鈍的腹部外傷後の孤立性腸間膜血種-症例報告と文献レビュー」。

腸間膜は腸管を包み込んで腹壁に固定し、神経や血管が通っている。二重膜の構造をしており、何らかの原因によって出血し、膜間に血液がたまって血腫となったのが腸間膜血腫。孤立性とは、他の疾患との関連性が見られず、単独で発症したことを示す。

「鈍的外傷による腸間膜血腫は非常にまれで、文献(PubMed)調査を行った結果、過去四半世紀の間に報告があったのは20例にとどまります。このうち18例は隣接する消化管の閉塞や穿孔、またはそのリスクが高いことから、開腹術による外科的介入が行われ、当院で経験した1例を含む2例のみが保存的療法を受けました。とてもまれな症例を経験しましたので、英語での症例報告によって世界に向け発信する意義があると考えました」(藤田総長)

鹿児島病院の症例は、テニスラケットの柄で腹部を打った70代男性。受傷後、腹痛は軽減したものの、2日後に痛みがひどくなったことから同院に救急搬送。患者さんは心房細動の病歴があり、抗凝固薬を服用していた。

造影CT(コンピュータ断層撮影)を実施したところ、腸間膜動脈の分枝からの造影剤の血管外漏出をともなう腸間膜損傷を認めた。出血のリスクを抑えるため、抗凝固薬の投与を中止。ただし、比較的早く血管外漏出が改善したことから、抗凝固薬の中止期間は7日間と短期間ですんだ。その後も保存的療法を継続した結果、受傷後4週目、27週目、51週目のフォローアップのCT画像から、血腫が徐々に縮小したことが確認でき、そのまま保存的療法で治療を終えることができた。

藤田総長は、これからも医療の発展や医学会での徳洲会の存在感向上を目指し、積極的に英語論文の発表を行う考えだ。

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