徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

徳洲会不整脈部会 部会長
名古屋徳洲会総合病院 院長
加藤 千雄(かとうかずお)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

加藤 千雄(かとうかずお)

徳洲会不整脈部会 部会長 名古屋徳洲会総合病院 院長

2025年(令和7年)01月14日 火曜日 徳洲新聞 NO.1474

やりがいのある職場をつくり職場環境も
より良くし地域社会に一層の貢献目指す
部会として若手が不整脈に興味をもつよう注力

昨年は徳田虎雄・名誉理事長が逝去されるという、私たちにとって何より大きな出来事があった年でした。また、能登半島地震と海保機の事故についても「何で正月からこんなことが?」と、誰もが思ったことでしょう。甚大な天災に加え人災が、正月気分を吹き飛ばしました。私たち医療者にとっては、とくにその後者において、誰もが他山の石として気を引き締めることにつながったと思います。職種は全く異なるものの、思い込みや慣れからくる一瞬の気の緩みや勘違いが、大きなトラブルを引き起こす事態を招き得ることを、今さらながら思い知りました。

争いや諍いからは何も生まれない 戦時体験を語らなかった父に学ぶ

天気予報では、“統計を取り始めて以来の~”という枕詞に続くフレーズを何度も聞き、各地で豪雨被害が発生し、「一体、地球はどうなってしまったのか」と将来を案じました。また、ハード面のみならずソフト面でも大荒れし、彼の国では“もしトラ”が、まさかの“またトラ”になり、お隣の国では大統領が弾劾される事態になりました。日本でも議会で不信任を突き付けられた首長が、出直し選挙でトップ当選を果たすなど、揺れに揺れた一年でした。規模や環境は全く異なるものの、組織をまとめる立場にある方々と自分を重ねて、ふと、人心を掴むトップには何が必要かを考えました。

今年は戦後80年。世界中を巻き込んだ争いの節目となりそうな年であり、反省を込めた話題が多く聞かれる年になるでしょう。今、ロシアとウクライナの戦争だけではなく、中東でも忌まわしい動乱が続いています。何の罪もない人々が日常の生活を追われる様を、胸が張り裂ける思いで観ています。いずれも遠く離れた国々の出来事で、まるで映画でも観ているようですが、少なくとも父の世代では、日本でも同じことがあったようです。

大正生まれで海軍兵学校を卒業後、すぐに将校になった父は、根っからの軍人気質で、絵に描いたような日本男児でした。太平洋戦争を題材にした手垢の付いた書籍が、今も本棚にいっぱいあります。風呂に入ると、いつも軍歌を唄っていた父は、私が社会人になって、すぐに亡くなりましたが、それまで一緒に住んでいたにも拘らず、なぜか戦争の話をすることは一切ありませんでした。今思うと、戦争の悲惨さ、醜さを、身をもって経験していたため、息子にさえも話すのが憚られたのでしょう。争いや諍いからは何も生まれないことを、皆が仲良く過ごすことが何より大切であることを、無言の父から学んだ気がしています。

目標が同じなら歩み寄れる 妥協点を見付け出せるはず

職場環境に置き換えると、組織が大きくなればなるほど、同調する意見ばかりでなく、いろんな意見が出てきます。関係者の全てが納得でき、win/winになるような施策は、そうそうできるものではありません。それでも、私たちの理念である“健康と生活を守る病院”の職員として、患者さんを第一に考え、患者さんを病魔から救い出すという目標が同じなら、たとえ少々意見が食い違ったとしても、どこかできっと、それぞれが歩み寄れる妥協点を見付け出し、仲良く仕事ができるようになると思います。以前の「直言」にも記したように、我々のもつ仲良く笑顔で過ごす遺伝子を活性化する──そんな調整を図り、少しでも皆の働きやすい職場環境をつくりたいと、あらためて考えています。

昨年は新たに不整脈部会を立ち上げ、病院管理者だけでなく、部会長としての重責も任されました。徳洲会の屋台骨である循環器領域の一つの柱である不整脈ですが、残念ながら、あまり人気の高い分野ではありません。虚血性心疾患、弁膜症など心臓病症例はグループに山ほどあるにも拘らず、私たち“電気屋”(不整脈医はそう呼ばれています)の介入割合は、これまで非常に少なく、情けない限りです。

今後、部会として、症例をリクルートするだけでなく、循環器に興味のある若手が不整脈にも興味をもってもらえるよう、活動を広めていきます。今の時代に即した多くの仲間とのつながりを上手く充実させ、やりがいのある職場をつくる、職場環境を良くしていく、地域社会に貢献していく、電気屋を増やしていく──。それが私に課せられた課題であり、使命です。ご協力をお願いいたします。

皆で頑張りましょう。

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