徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)01月14日 火曜日 徳洲新聞 NO.1474 1面

千葉西病院&八尾病院
最新型のTrueBeamを導入
高精度放射線治療で地域に貢献

千葉西総合病院と八尾徳洲会総合病院(大阪府)は最新型のTrueBeamを導入した。がん組織に対し高精度に放射線を照射することが可能。正常組織へのダメージを最小限に抑えるとともに、時間的負担も軽減できる。千葉西病院はバリアン社の体表面モニタリングシステム「IDENTIFY」をセット導入、八尾病院はブレインラボ社の画像誘導照射支援システム「ExacTrac Dynamic」と、脳腫瘍(脳転移)の放射線治療に特化した治療計画システム「Elements」を合わせて導入、より高度な放射線治療を実現する。

「多職種スタッフと協力して治療を」と藤部長

TrueBeamは定位放射線治療(SRT)や強度変調放射線治療(IMRT)などを正確かつ短時間で行うことができる高精度放射線治療装置。SRTとは、小さい病巣に線量を集中させることで、短期間で病巣を消滅させる治療。従来と比べ回数が少なく、外来で行えるため、患者さんの負担を軽減できる。IMRTは、放射線の強度を最適化することで、がん組織には高い線量で照射し、隣接する正常組織には線量を低く抑えることが可能だ。

千葉西病院は昨年6月にオープンした新棟「R棟」に、放射線治療科を新設。藤浩・放射線治療科部長は「TrueBeamは適応が広く、多くの疾患に対応できます」と太鼓判を押す。同院ではIDENTIFYをセット導入し、より高精度な画像誘導放射線治療(IGRT)を実現している。

千葉西病院と八尾病院の最新型のTrueBeam八尾病院の放射線科スタッフ(前列右から3人目が玉本医師、その左が梶谷医師)

放射線治療を行うには、直前に位置決めのためCT(コンピュータ断層撮影)を用いるのが一般的。一方、IDENTIFYは体表面に数方向からレーザーを当てて、3次元画像を構成することで位置決めをサポート。治療直前のCTが必要ないため、患者さんの放射線被曝を抑えることができ、治療中の体動のモニタリングも行えることから、より精密な放射線治療が可能だ。

また、同院にはPET-CTが導入されているため、合わせて治療計画に生かすこともできる。藤部長は「CT画像上、大きながんに見えても、じつはすでに死んでいる細胞であるケースもあります。PET-CTは形ではなく質的診断ができるので、より正確な治療計画に寄与します」と強調する。

また、「当科の担当看護師は、緩和ケア認定看護師であるため、患者さんの情報を聞き出すのが上手。治療後、どのような生活をしたいかによって、治療の選択が変わるケースもあります。多職種スタッフと協力し、症例や目的に合わせ、放射線治療の恩恵を受けられるように努力していきます」と意気込む。

八尾病院では常勤の梶谷千香枝・放射線科医師を、玉本哲郎・非常勤医師(奈良県立医科大学戦略的医療情報連携推進講座教授)がサポート。週1回の勤務に加え、遠隔支援システムを用い、ダブルチェックできる体制を敷いている。さらに、同大学から猪岡伸好医師の応援も得ている。

同院で導入したExacTrac Dynamicは、IGRTを高精度かつ短時間に行うシステム。X線撮像装置と赤外線カメラを用い、従来のX線画像誘導に体表面(熱分布)誘導を組み合わせることで、治療中の患者さんの位置の照合と補正を、素早く緻密に行うことができる。

また、これまで同院では少数個の転移性脳腫瘍の治療は、専門病院に紹介していたが、今後は自院で対応できるようにするため、Elementsも導入。これは頭部のSRTやIMRTにとって優れた治療計画システムで、治療範囲の拡大に寄与する。さらに、使用している治療計画用ソフトウェアは、バリアン社の「Eclipse」の最新型であるバージョン18.0で、同院が国内初導入。

玉本医師は「今までより、高度な放射線治療ができるようになりました」とアピール。梶谷医師は「高齢などの理由で、外来での放射線治療が困難な場合は、入院で対応することも可能です。TrueBeam導入により、治療回数を減らし、入院日数の短縮も目指せます。がん難民を減らし、地域に貢献していきます」と意気軒高だ。

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