
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2022年(令和4年)10月24日 月曜日 徳洲新聞 NO.1361 4面
健診や人間ドックなどでもなじみのある超音波検査(エコー検査)ですが、じつにさまざまな臓器の状態を調べるのに役立ち、医療現場に欠かせない検査装置のひとつとなっています。放射線を用いない非侵襲的な検査であるため、被検者の身体への負担が小さいのが特徴です。そのため繰り返し検査を行うことができるなどメリットがあります。今回は超音波検査について岸和田徳洲会病院(大阪府)臨床検査科の藁谷直人主任が解説します。
藁谷直人・岸和田徳洲会病院 臨床検査科主任
超音波検査は、探触子(プローブ)と呼ばれる器械を身体に当て、人間の聴覚では聞くことのできない高い周波数の音波を体内に向けて発信し、臓器や組織からはね返ってきた超音波(反射波=エコー)を画像化することで、病変の有無などを調べる検査です。検査時にゼリーを塗るのは超音波を伝わりやすくさせるためです。
超音波検査にはいくつかの長所があります。まず非侵襲的であることが挙げられます。注射針を刺すことなどがないため、痛みがなく、検査を受ける方の身体への負担が小さいのが特徴です。放射線被曝もないため、繰り返し検査を行うことが容易です。所要時間も比較的短時間ですみ、リアルタイムにその場で臓器の状態を観察でき、検査にかかる医療費も低いというメリットもあります。
対象臓器によって、さまざまな種類があります。心臓の動きや大きさ、弁の状態、血液の逆流の有無などを観察する「心エコー」、腹腔内の多様な臓器の形や大きさ、病変の有無などを観察する「腹部エコー」、全身の動脈硬化の状態などを調べることができる「頸動脈エコー」をはじめとする各種血管エコー、乳房内の腫瘤の形や大きさなどを観察する「乳腺エコー」などです(表)。
たとえば、当院では心臓血管外科手術を多数実施しているため、心エコーを行う機会が多々あります。術前に加え、術中、術後にも実施します。心臓内で血液の逆流を防ぐために機能している弁に不具合が生じる疾患を弁膜症と総称しますが、弁形成術を施行後に、弁が正常に機能しているか、血液の逆流はないかなどを確認するために術中の心エコー検査を行います。
この場合は経食道心エコーという検査を行います。先端に超音波の送受信装置が付いた胃カメラほどの太さの管を口から挿入して行う検査です。心臓のすぐそばの食道側から観察できるため、骨などに邪魔されずに、より詳細な観察が可能です。
なお、超音波検査にはカラードプラ法と呼ばれる手法があります。同法を用いることで、血流のある部分をカラー表示できます。血流の向きや速度を視覚的に把握しやすくなる便利な機能です。
これまで超音波検査について説明してきましたが、検査を行う臨床検査技師のスキルや経験によって検査精度は左右されます。そのため臨床検査技師は日々研鑽を積んでいます。優れた技能を学会が認定する制度もあります。日本超音波医学会が認定する超音波検査士という資格がそれです。
近年、医療分野へのAI(人工知能)導入が注目を集めています。超音波検査に関してもプローブを動かすだけで、AIが自動で画像を解析し病変を見つけ出す技術などの研究・開発が、実用化に向け進められています。将来的にはスクリーニング検査(病変の拾い上げ)はAIが行い、より詳細な検討を要する精査を人間が行うような時代が来る可能性があります。