2021年(令和3年)2月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.1275 四面
コロナ病棟
高齢患者さんの早期退院支援に力
南部病院がADL維持で早期リハビリ
南部徳洲会病院(沖縄県)は、高齢のコロナ患者さんの早期退院支援やICT(情報通信技術)を活用したコロナ病棟スタッフの負担軽減に注力している。早期退院支援では理学療法士(PT)によるリハビリテーションの早期介入や退院に向けた多職種カンファレンスを実施。スタッフの負担軽減では遠隔操作できるアバター・ロボットやネットワーク・カメラの活用による患者さんの見守りサポートを活用している。こうした取り組みにより、病床を回し、新たなコロナ患者さんの受け入れに尽力。
職員負担軽減へICT活用
「多職種によるカンファレンスも重要です」と比嘉師長(左)、上地副室長
沖縄県は7月以降のコロナ第2波で人口10万人当たりの感染者数が全国1位となり、県全体で病床数が不足する状況が続いた。南部病院の入院患者さんは、4~5月の第1波では30~50代が中心だったが、第2波以降は70~90代が多くなり、ADL(日常生活動作)要介助かつ転倒転落リスクの高い患者さんが増加。こうした患者さんは入院前から介護保険サービスを利用しているケースが多かった。
PPEを着用しベッドサイドでリハビリ
病棟に設置したネットワーク・カメラを患者さんの見守りに活用
しかし、高齢のコロナ患者さんが退院するにあたり、退院調整がスムーズにできないなど問題が少なからず発生。厚生労働省の退院基準である「発症から10日経過かつ症状軽快から72時間経過」を満たしていても、PCR検査で陰性化するまでには2~3週間のギャップがあるため、退院困難な長期入院患者さんが増える一方だった。
また、もうひとつの課題として、コロナ病棟スタッフの負担増大が深刻化。コロナ病棟では感染対策上、スタッフのPPE(個人防護具)着用が必須となるため、一旦(いったん)病棟から出ると再入室するのに時間を要する。ドアやカーテンが閉まっていると、せん妄や認知症による危険な行為、転倒転落リスクなどに対する監視体制が弱くなるため、スタッフの心理的負担も大きくなっていた。
そこで同院では、患者さんの早期退院支援や病棟スタッフの負担軽減に注力。早期退院支援のひとつとして、PTによるリハビリの早期介入を実施。上地利明リハビリ室副室長(PT)は「コロナ病棟は隔離されているので、入院患者さんは動けずに、どんどん体力が落ちてしまいます。いったん体力が落ちると、元の状態に戻すのは大変なこと。そのため病棟内でもリハビリできる環境を整えるなど工夫し、早期介入を目指しました」と説明する。
ADL介助を要する患者さんは、コロナの感染力が低下すると考えられる第5~6病日以降に、PTが介入できるよう院内基準を設定。歩行器やL字バー(介助柵)などをコロナ患者さん用とするなど、感染対策を徹底し、リハビリを実施した。またリハビリ以外でも、必要に応じて病棟スタッフが歩行器でトイレ誘導を行うなど、病棟全体で患者さんのADLの維持・改善に努めた。
多職種カンファレンスも
アバター・ロボットは主にリモート面会で活躍
早期退院支援では多職種カンファレンスも実施。患者さんが退院基準を満たした時点で、ケアマネジャー、同院の訪問看護・訪問リハビリスタッフ、主治医、病棟看護師、感染管理認定看護師、PTが集まり、患者さんの家族に対し、在宅での支援計画や家庭内感染防止のための注意事項など情報提供を行った。
比嘉恵美子・看護師長は「在宅療養を支援するための体制をきめ細かく整備したことで、困難とされていた高齢患者さんを自宅退院につなげることができました。退院後の経過やご家族の不安に対し、電話訪問も実施しました」と話す。
介護施設への退院も同様に多職種カンファレンスを開いた。まずは同院の関連施設である介護付き有料老人ホーム徳洲苑かふう、ヘルパーステーションいこいと協力し、スムーズに退院できる流れをつくった。
病棟スタッフの負担軽減、とくに患者さんの夜間の状態観察・見守りにはICTを活用。遠隔操作できるアバター・ロボットやネットワーク・カメラを導入することで、夜間の見守りが容易となり、センサーコールがあった場合でも、PPE着用の必要性を瞬時に判断できるようになった。
また、同院は全館入館禁止の状態であるが、ICTを活用してリモート面会を実施、家族の不安解消にも努めている。比嘉師長は「とくに看取りの患者さんのご家族は、リモート面会で『最期のお別れができた』と安堵(あんど)され、スタッフも勇気づけられました」と話す。
1月以降の第3波に関し上地副室長は「第3波も高齢の患者さんが多いですが、これまでのノウハウをもとに、スムーズに対応できていると思います。患者さんのご家族、地域の介護施設にもご協力いただき、難局を乗り越えていきたいです」と強調する。