徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2020年(令和2年)8月17日 月曜日 徳洲新聞 NO.1249 一面

トモセラピー「Radixact with Synchrony」
追尾機能搭載の放射線治療装置
岸和田病院と湘南鎌倉病院が導入

岸和田徳洲会病院(大阪府)と湘南鎌倉総合病院(神奈川県)はトモセラピー「Radixact(ラディザクト) with Synchrony(シンクロニー)」を導入した。同機器はコンピュータ制御の下、あらゆる角度から放射線の量や形を変え、病変部だけを狙い撃ちする高精度放射線治療装置。追尾機能を搭載し、呼吸などで動く標的を追尾して照射するため、効率的な治療が可能だ。また、正常組織への照射リスクも小さく、治療時間も短いなど、患者さんの負担が少ない。同機器による治療の対象は、血液系を含むがん全般だが、とくに追尾機能は肺、肝、前立腺などの固形がんに力を発揮する。

がん細胞を高精度で狙い撃ち

治療のイメージ。患者さんの体表に装着したLED マーカを足元側のシンクロニーカメラが捉え標的の動きを判別する。治療時はLED マーカが赤色に点灯
治療のイメージ。患者さんの体表に装着したLED マーカを足元側のシンクロニーカメラが捉え標的の動きを判別する。治療時はLED マーカが赤色に点灯 治療のイメージ。患者さんの体表に装着したLED マーカを足元側のシンクロニーカメラが捉え標的の動きを判別する。治療時はLED マーカが赤色に点灯

Radixact は米国で開発され、がん放射線治療で注目されているトモセラピーのひとつで最新機種。主にガントリ(輪の形状をした部分)と治療台からなり、患者さんを固定した治療台を移動させながら、ガントリ内部に組み込まれた装置から放射線を照射して治療する。患者さんが入室してから退室するまでの所要時間は10~15分。

最大の特徴は精度の高さで、放射線の量や形を細かく変えて集中的に照射するIMRT(強度変調放射線治療)機能を備え360度連続回転が可能なガントリにより、あらゆる角度から病変の形状や位置に合わせた放射線を照射できる。CT(コンピュータ断層撮影)撮影機能を有し、治療直前と治療計画時の撮影画像間の位置のずれをコンピュータ制御下で補正したうえで照射するIGRT(画像誘導放射線治療)機能、治療後に正しい位置や線量を検証するためのツールなども装備している。

Radixact with Synchrony は、さらに病変部の位置を追尾・検出・補正する機能を搭載した最上位モデル。日本では2019年11月に薬事承認された。同機器を製造販売するアキュレイ社によると日本国内での導入台数は10台以下だという。

追尾照射では、患者さんの胸部や腹部の体表面にLED(発光ダイオード) マーカを装着し、専用のカメラでマーカの動きから呼吸のパターンを特定する。そのデータとガントリ内部の装置が撮影した標的のX線画像から、動く病変部の位置をリアルタイムで検出し、照射する。肝臓や膵臓(すいぞう)、前立腺など、X線画像では腫瘍の位置がわかりにくい部位には、体内マーカを用いて認識しやすくする。

「機器の特徴を生かした新しい治療を行いたい」と大村部長 「機器の特徴を生かした新しい治療を行いたい」と大村部長

これにより、呼吸で動く病変部を追尾して放射線を照射。自然な呼吸で治療が受けられ、正常臓器へのダメージが抑えられるなど、患者さんの身体的な負担軽減や、より安全な治療が実現する。

同機器による治療の対象は、がん全般だが、とくに追尾機能は肺、肝、前立腺などの固形がんに力を発揮する。

同機器を徳洲会グループで最初に導入したのは岸和田病院。使用していた放射線治療装置の老朽化にともない、3月に設置した。多間田寿士・放射線科技師長(診療放射線技師)は「あらかじめ設置スペースを確保していたため、新しい装置のトレーニングを受け、実際に稼働するまでは従来の装置を活用。治療を中断することなく入れ替えられました」と説明する。

現在まで乳がんを中心に42例を行い、患者さんの経過、装置の稼働も順調だという。治療を手がけた谷畑博彦・放射線科部長は「私たちが最も気にかける線量分布(どの場所に、どの程度の放射線が当たっているか)がとてもきれいで、的確に照射されている様子がわかります」と評価。正常組織にダメージを与えるリスクが小さいことから、治療できる患者さんの幅も広がり、より積極的な治療が可能だ。

多間田技師長も「操作性も良く満足しています。何より患者さんの負担が少ないのが良い。治療に要する時間が短く高精度。“患者さんの負担軽減”という当部署の方針に沿えたことを嬉しく思います」と評価。

「がん患者さんへの対応力が向上」と岸和田病院スタッフ 「がん患者さんへの対応力が向上」と岸和田病院スタッフ

湘南鎌倉病院は従来、放射線治療装置1台と小線源治療装置1台を備え、①放射線治療専門医師や医学物理士、診療放射線技師、看護師、事務職員など各職種の専門性を生かしたチーム医療、②IMRTの全例実施、③症状緩和のための放射線治療にも注力――といった特色を打ち出しながら、年間約350人の新規放射線治療患者さんに対応。

こうしたなか、5月に1台のRadixact with Synchrony を新たに導入し、以後、前立腺がんや肺がん、緩和的放射線治療などを43例に治療を実施した。大村素子・放射線腫瘍科部長は、全治療時間が短いため患者さんの負担が少ない点や、治療直前のCT撮像が精密であるため、より正確な治療ができる点を強調。「今後はRadixact の特徴を生かし、早期肺がんや乳がんに対して新しい治療を行いたい」と、意欲を示す。

徳洲会グループでは南部徳洲会病院(沖縄県)、野崎徳洲会病院(大阪府)、和泉市立総合医療センター(同)もトモセラピーを導入している。

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