2018年(平成30年)7月23日 月曜日 徳洲新聞 NO.1143 三面
脳卒中関連イベント
徳洲会から50演題超
STROKE2018
グループ11病院発表
STROKE2018が福岡県で4日間開かれた。第43回日本脳卒中学会学術集会、第47回日本脳卒中の外科学会学術集会、第34回スパズム・シンポジウムの合同開催イベントで、計6500人超が参加。徳洲会グループは11病院が50演題以上を発表した。
多職種が発表した湘南鎌倉病院(中央が森センター長)
STROKE2018の共通テーマは「識る・診る・救う 脳卒中 ~未来地図を作ろう~」。徳洲会グループでは札幌東徳洲会病院、千葉徳洲会病院、千葉西総合病院、鎌ケ谷総合病院(千葉県)、東京西徳洲会病院、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)、大垣徳洲会病院(岐阜県)、宇治徳洲会病院(京都府)、岸和田徳洲会病院(大阪府)、八尾徳洲会総合病院(同)、松原徳洲会病院(同)が参加した。
このうち湘南鎌倉病院は最多の22演題。とくに精力的だったのが森貴久・脳卒中センター長兼脳卒中診療科部長で6演題を発表した。
一例を挙げると、
「脳卒中危険因子としての脂肪肝」と題する演題では、脳卒中発症時の脂肪肝合併率と、脂肪肝合併患者さんの特徴を明らかにすることを目的に、自院に急性期脳卒中で入院し腹部エコーを受けた549人の基本情報、脳卒中のタイプと脂肪肝の有無を評価した。
その結果、脳卒中発症時の脂肪肝合併率は31.1%だったことが判明。脂肪肝合併の特徴について①肥満、②糖尿病、③HbA1c高値、④総コレステロール値と中性脂肪値が高く、善玉コレステロールのHDL-C値が低い、⑤比較的若い年齢で心原性脳塞栓症以外の脳卒中を発症――など傾向がうかがえることを指摘した。
「脳梗塞患者の急性期高血糖状態に対するSGLT2阻害薬ルセオグリフロジンの早期効果と安全性」と題する発表では、高血糖が脳梗塞患者さんの予後を悪化させるにもかかわらず治療法が確立されていないことから、脳梗塞の急性期高血糖治療に医薬品ルセオグリフロジンが有効か否か調査した。
56人を対象に調べたところ、脳梗塞急性期の高血糖治療に対して糖質量管理食と組み合わせてルセオグリフロジンを投与すると、早期に空腹時血糖値を改善するとともにヘマトクリット値(血液中に占める赤血球の割合。高いと血管が詰まりやすいと言われる)も低下したことを示した。
「MR Black Blood法高信号を示す脆弱性病変に対する待機的CAS」では、MR BB(Black-blood)法(MRI=磁気共鳴画像診断で頚(けい)動脈プラークの性状などを調べる方法)により、脆弱性が指摘された頚動脈狭窄(きょうさく)症の治療法がテーマ。
狭窄している頚動脈の治療法には頚動脈ステント術(CAS)があるが、MR BB法で脆弱性が判明した場合、CASでは合併症を起こす可能性から、日本では頚動脈内膜剝離術(CEA)が勧められることが多い。森センター長は安全にCASが行える治療戦略を検討した。
34人を対象に待機的にCASを実施した結果、過灌流(かかんりゅう)症候群発症、虚血性合併症発症ともに0人だったことなどが明らかとなった。これらをふまえ「現在の治療戦略に従えば、MR BB法高信号を示す脆弱性病変でも合併症を起こさずに待機的CASを行えます」と締めくくった。
このほか
「中大脳動脈遠位部閉塞に対する血管内治療必要例:側副血行評価によるtPA単独治療の転帰不良予測」と題し発表。中大脳動脈(MCA)起始部の閉塞は、tPA製剤を用いた経静脈的血栓溶解療法のiv-tPA単独治療でなく、血栓回収治療(CRT)を加えるべきとされているが、MCA遠位部閉塞のカテーテル的再開通治療(EVT)の追加条件は明確でないため、MCA遠位部閉塞に対しtPA単独治療を行った患者さんの長期の予後と、側副血行発達程度との関係を検討。
66人を対象に解析した結果、「側副血行発達程度1はEVTを検討すべき」とし、NIHSS(脳卒中重症度評価スケール)などの評価によっては、同発達程度2、3でも「EVT追加で、より良い転帰が期待できるなら行うべき」とした。