徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP 45th

直言

Chokugen

石川 真(いしかわまこと)(白根徳洲会病院院長(山梨県))

直言 生命いのちだけは平等だ~

石川 真(いしかわまこと)

白根徳洲会病院院長(山梨県)

2018年(平成30年)7月23日 月曜日 徳洲新聞 NO.1143

病院の真価はステータスでなく
地域の方々からの評価に尽きる
患者さんに寄り添う医療こそ理念に合致

徳洲会の徳田虎雄・前理事長の〝生命だけは平等だ〟という理念に心を打たれ、故郷にある白根徳洲会病院に入職しました。私は山梨県中巨摩郡若草町(なかこまぐんわかくさちょう)(現・南アルプス市)で生まれ育ちました。富士山や南アルプスを望む風光明媚なこの地が大好きです。当院はICU(集中治療室)、一般急性期病棟、回復期リハビリテーション病棟、医療療養病棟をもつ県内で数少ないケアミックス病院です。脳卒中をはじめ、がん、腹部救急疾患、整形外科疾患などに対し、手術から回復期リハビリ、医療療養病床あるいは在宅医療への連携と、切れ目のない医療を展開しています。透析医療にも力を入れ、当院の患者さんのみならず、県内他施設の透析患者さんのシャントトラブルなど緊急応需を積極的に行っています。

地域医療構想が生まれ、法制度の切り替えが俎上(そじょう)に載っています。いわば現在は医療制度の過渡期。2025年には団塊の世代が75歳を超え後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という人類が経験したことのない「超超高齢社会」を迎えます。南アルプス市も例外ではなく高齢化の進んだ地域です。

こだわりもつ甲州人気質に当院が活躍する場を見出す

当院の役割は急性期医療の立ち位置を盤石にし、地域ニーズに合った医療を提供することだと思っています。診療科の数は不足していますが、24時間体制で、どんな患者さんも受け入れるというのが、私たちの考え方です。

病院は重要な社会インフラのひとつであり、地域の方々との距離が近い存在でなければなりません。地域に寄り添う医療の提供こそ、徳洲会の理念に合致し、私たちが社会のなかで光り輝けると思っています。

病院の真価は病院がもつステータスではなく、地域の方々の評価に尽きます。患者さんにいかに寄り添ってきたかが、その病院の評価となるのです。地域には土着の方々が多く、ライフスタイルに一種こだわりをもつのが甲州人気質。巨大病院の無機質な医療では満足されない高齢の方も多く、そこに当院のような患者さんに寄り添うことをモットーとした中規模病院が、活躍するフィールドがあるように思います。

「医者は患者さんと対峙して生気を肌で感じ医術を施す」

AI(人工知能)により、さまざまな業界で仕事の効率化が叫ばれています。医療業界もAI時代の大きな流れに巻き込まれているのが現状です。今年度から遠隔診療が保険適用になりました。離島・へき地医療ではマンパワーが不足気味であり、満足に医療の恩恵が受けられない場合にAIは有益でしょう。しかし、古い考えと思われるかもしれませんが、「医者は患者さんと対峙(たいじ)し、その生気を肌で感じ、医術を施す」ことが基本だと思っています。

私は外科医ですが、卒後20年を過ぎた頃から、術後の合併症が起きているかどうかを、患者さんの朝一番の顔色や何となく元気がない雰囲気で、ほぼ察知できるようになりました。詳しい検査は、あくまでも後付けです。皆さんも、そういったことを経験されているのではないでしょうか。

閑話休題。確かにAIや遠隔診療など、もはや医療に情報技術は欠かせません。ただ、画面だけでは、患者さんの体温、息遣い、生きる気力などを肌で感じられないでしょう。画面から得られる情報は必要条件であっても、十分条件ではありません。今後も温もりのある医療を展開しようではありませんか。

生活者の生命を守るという病院の大原則はもちろんですが、今後の私の夢は風光明媚で果物などがおいしい申し分のない立地を生かし、「医療ツーリズムへの展開はどうか!」と考えています。以前、徳洲会グループ医療経営戦略セミナーに、中国の旅行会社の方が出席しました。そこで私は中国から来日した多くの方々が、富士登山を契機に山梨県に来訪することを知りました。山紫水明の地にある当院で、人間ドックと検診を外国の方に利用していただきたいと考えています。

白根連山を核心とする南アルプス、その裾野から湧き出る清流、天然水で育った新鮮な桃、さくらんぼ、葡萄(ぶどう)などの果実や野菜、当院の8階にある富士山を望める露天風呂――医療ツーリズムの患者さんでにぎわう当院の夢を見ました。夢を大きくもち、皆で頑張りましょう。

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