2017年(平成29年)9月11日 月曜日 徳洲新聞 NO.1099 二面
大腸内視鏡は痛くない
“水浸法”で5万例超検査
無痛で挿入時間も短い“水浸法”
湘南厚木病院(神奈川県)、大隅鹿屋病院(鹿児島県)、生駒市立病院(奈良県)などで大腸内視鏡検査を行っている後藤利夫医師は、これまでに無事故で5万例以上実施している。
後藤医師は「私が考案した“水浸法”は、麻酔なしでも痛みがほとんどなく、挿入率が高く、挿入時間が短いのがメリットです。大腸内視鏡は普通なら空気を入れながら挿入しますが、水浸法は空気の代わりに水を入れます。腸が張らずにすむうえ、スコープのすべりが良くなり、腸を伸ばすことなく挿入できます」と話す。
現在、大腸がんは日本人のがんによる死亡率で、男性3位、女性1位。後藤医師は20年前から女性の大腸がんが増えると警鐘を鳴らしてきた。その理由は「ダイエットなどによる便秘や、女性の社会進出の影響による食生活の変化が関係しています」(後藤医師)。高脂肪、低繊維に変化した食生活により、腸内環境が悪化したのが大きな原因だという。
大腸がんは早期ならほぼ100%治療が可能。痛みなど自覚症状が少なく、気付いた時には手遅れになっているケースも多い。このため「人間ドックの受診を勧めています。今は検査時の麻酔も進歩して、わずか5分で覚める薬剤があります。また、午前の胃カメラ検査時に内視鏡から下剤を入れる方法も開発されました。つまり検査前に大量の下剤を飲まなくてもいいのです。この方法は準備が早くできるので、予約をしなくても当日初診で大腸内視鏡検査が可能です」と後藤医師。
「大腸がんを防ぐには、まず食生活の改善が欠かせません」と重ねて喚起している。