徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2017年(平成29年)5月1日 月曜日 徳洲新聞 NO.1080 一面

受診対応や地域連携円滑化
プライマリ・血友病2センター
札幌徳洲会病院が設立

札幌徳洲会病院は4月1日、プライマリセンターと血友病センターをそれぞれ開設した。センター化を図ることでスタッフの役割を明確にし、患者さんへの対応や外部機関との連携をより円滑にするのが狙い。プライマリセンターは救急科からの患者さんのうち、外傷以外の方を一元的に受け入れ、総合的な観点から、その後の対応を行う部署。血友病センターは血友病など凝固系疾患に対応する専門部署で、患者数の増加により独立した組織にした。両センターの開設で地域医療の質の向上を図る考えだ。

救急受け入れ件数増に寄与

プライマリセンターの(右から)田邉副院長、中川センター長、西條・後期研修医、札幌医科大学附属病院よりローテーション研修中の國本尚彦・初期研修医 プライマリセンターの(右から)田邉副院長、中川センター長、西條・後期研修医、札幌医科大学附属病院よりローテーション研修中の國本尚彦・初期研修医

プライマリセンターは救急搬送された患者さんのうち、外傷以外に対応する。入院が必要な場合、同センターが管理する5階西病棟で患者さんを受け入れ、精密検査を実施、必要に応じて他科へ振り分ける。

従来、同院では救急で受け入れた患者さんのうち、処置が終わっても各診療科に振り分けられない患者さんへの対応は、総合診療科が行っていた。しかし、同院の救急受け入れ人数は月間平均881.9人(救急車取り扱い件数は月平均407.8件)に上り、その約8割を同科で対応するため、病棟管理がスムーズに行えない状況があった。

そこで救急科からのフローを一元管理し、より患者さんにスムーズに対応するためプライマリセンターを設立。「総合診療科を開設して9年。ようやく院内のフローが成熟してきたことで、当センターの開設に至りました」と田邉康副院長は説明する。

現在、中川麗センター長を筆頭に田邉副院長、西條正二・後期研修医が専属で所属。加藤久晶・救急科部長と連携を図りながら運営している。入院3日目には看護師、MSW(医療相談員)とともに退院目標を設定し、早期退院を目指す。

もちろん医師だけで、すべての患者さんを管理するのは難しい。中川センター長が「当センターはチーム医療で成り立っています。医師がリードしなくても、それぞれの職種のスタッフが、プロ意識をもって患者さんをケアしているので安心です。医師のほうが教えられることが多いほどです」と全幅の信頼を寄せるように、多くのスタッフが活躍。

とくに欠かせないのがメディカルクラーク(MC)だ。現在は3人のMCが専属となり、電子カルテ入力、文書作成などを行っている。日本医療秘書学会第13回学術大会で「日野原重明賞」を受賞した実績をもつ奥山佳奈MCは、「医師から依頼される仕事だけでなく、医師に検査項目の書かれた紙を渡すなど、先回りしてスムーズに仕事してもらえるように心がけています」と秘訣を明かす。

また、病棟管理を担当する福嶋真由美・看護主任は「医師のマンパワーが足りないので、何か問題が発生した時に、すべてを医師に任せるのではなく、何を自分たちで対処し、何を医師に報告すべきか考えながら行動しています」と腐心のほどを説明。発熱があった場合も、すぐに医師を呼ぶのではなく、カルテを見直したり患者さんを観察したりすることで原因がわかることもある。そのために新人にも危機管理意識をもつように厳しく指導しているという。

「地域のニーズに合わせ、私たちが成長するとともに、医療の質を向上させることで、救急受け入れ件数を増やしていけば良いと思っています」と展望を語る中川センター長。岡部睦美・看護師長も管理している病棟が循環器内科との併用であることを明かし、「プライマリセンターの患者さんの看護は、経験が大切な部分もあります。センター化をきっかけに専用の病棟ができたらいいです」と期待を寄せる。

血友病の最新情報を発信

血友病センターの(右から)金田・副センター長、土谷看護師、岡センター長 血友病センターの(右から)金田・副センター長、土谷看護師、岡センター長

血友病とは凝固第Ⅷ、第Ⅸ因子(出血した時に血液を固めて止血するためのタンパク質)の欠乏により、止血に時間がかかる病気で、健常者なら自然に止まるわずかな出血でも障害を残すような大出血になることもある。子どもの頃に適切な治療を受け、機能障害を起こさなければ通常と変わらない生活ができるため、適切な治療とケアを続けていくことが重要だ。

同院は約20年前から血友病の患者さんに対応。これまでは岡敏明・小児科主任部長が担当していたが、患者数が増加し、道内の医療施設からの相談も増えてきたことから、血友病センターを開設。岡・主任部長がセンター長を務め、医師2人と看護師1人が専属。さらに整形外科、内科、歯科などの医師、理学療法士、臨床検査技師などと協力し、包括的な診療を行うことを目的としている。

「血友病センターと掲げたほうが、わかりやすいと思いました。血友病の患者数に対して道内の専門医はきわめて少なく、困っている患者さんやご家族は多いと思います」と岡センター長。さらに「血友病は重症度だけでなく、患者さん個々のライフスタイルに応じて個別化した治療を提供することが大切です。一般病院の勤務医や開業医の先生方では対処が困難なケースに、私たちが地域の中核施設としてサポートし、より良い治療やケアを提供していくことも視野に収めています」。

金田眞・副センター長は医師や患者さん、保因者女性への啓発活動も重要と考えている。血友病を抱えていた場合、出産時に頭蓋内出血などを発症するリスクが高くなるといった問題点を挙げ、「周産期にかかわる医療従事者が正しい知識をもっていれば、重篤な出血を回避できる可能性が高くなります」と指摘する。

同センター専属の土谷貴子看護師は、院内の調整や患者さんへの自己注射の指導などを行う。さらに啓発活動にも積極的で、看護師向けの国内の勉強会で講師を務めている。「血友病にかかわる地域の看護師同士のつながりも深めていきたいです」と意欲的だ。

岡センター長は「地域連携とは、ただ急変があった時に対応するだけではありません」と前置きし、「講演会や個別相談などで最新情報を発信し、最終的には道や国全体の治療レベルを底上げしていきたい」と目標を語っている。

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