徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

病気の治療

medical treatment

泌尿器科の病気:尿路結石症

排出されるはずの不要物質が結晶化

尿は腎臓でつくられ、尿管を通り膀胱に貯まり、尿道から体外に排泄されます。その途中で、体に不要になった物質(シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウムなど)が原因は現在のとことはっきりわかっていませんが結晶となり、大きくなったものが尿路結石です。腎、尿管結石症を上部尿路結石症、膀胱以下のものを下部尿路結石症と呼びます。上部尿路結石症が多くを占めていますが、近年高齢化が進み、長期の寝たきりの方が多くなってきたことを背景に、膀胱の結石の患者さんも次第に増えてきています。

男性11人に1人は罹患

無症状の場合もありますが、結石が動いて激痛のためしばしば救急受診となります。具体的には、側腹部痛(脇腹の痛み)、下腹部痛、血尿あるいは頻尿症状が出現します。長期間放置すると腎臓に負担をかけて腎機能を低下させることもあります。

膀胱結石の場合は無症状のこともありますが膀胱炎の症状を引き起こすことや、尿が出にくくなるあるいは出なくなって初めて気がつくこともあります。尿路結石症は稀な病気ではなく、わが国の男性では11人に1人は一生のうちに1度はかかるといわれており、男女とも年々増加の傾向にあります。

破砕して除去する積極的治療

確実に診断するには尿検査、CT検査が有効です。治療を検討する場合は他に超音波検査、単純レントゲン検査が必要となります。

治療法としては、小結石では飲水を励行するなどにより自然排石を待ちますが、大きな結石あるいは痛みの繰り返しや水腎症、腎盂腎炎が悪化する場合は積極的治療の対象になります。積極的治療として以下の治療が行われています。

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

現在では、尿路結石治療の第一選択となっています。この装置は体外で発生した 衝撃波を体内の結石に収束させ破砕するものです。破砕された結石は尿とともに体外に排出されます。6~7割の結石はESWL単独で治療可能ですが、結石の場所、結石の大きさあるいは患者さんの状態によって、単独治療が困難と判断された場合には、後述するPNLやTULを積極的に行います。

ESWLは日帰りあるいは1泊2日の入院を必要とします。1回の治療で約3,000〜4,000発(60〜120回/分)の衝撃波を与えます。時間は約1時間かかります。入院当日に腹部のレントゲン写真を撮り結石の有無、位置を確認します。治療後に再度レントゲンを撮影し、治療効果を判定します。通常、退院後2~3週後に受診してもらい、レントゲンや超音波検査を施行し破砕効果を確認します。

なお、手術施行の際に鎮静を行います。この鎮静とは、体をできる限り快適な状態に保持して手術・検査を受けていただくことを目的としています。この手術では浅い鎮静(不安を取り除く段階)のレベルです。

結石の大きさや硬さによっては1回ではすべて破砕しきれないこともあり、1カ月に1回程度、繰り返し治療を行う場合があります。

また、ESWLを複数回施行しても効果不良な場合には内視鏡により手術が必要な場合があります。比較的大きな結石の場合には破砕された結石片が一度に尿管内に移動し尿管が閉塞することがあり、痛みや急性腎盂腎炎をきたすことがあります。予防のため、前もって尿管に尿管ステントを挿入する処置を行い、尿の通過性を確保する処置をお勧めすることがあります。その後、外来での排石の確認ののちカテーテルを内視鏡検査にて抜きとります。

経尿道的尿管砕石術(TUL)

腰椎麻酔あるいは全身麻酔で行います。経尿道的に2~3㎜径の尿管鏡を用いて尿管内を観察して、レーザーなどを用いて結石を破砕除去する方法です。膀胱結石に対してもこの治療を行います。手術室で行い通常3~4日の入院を要しますが、ESWLより確実に結石を処理することができます。この治療の場合も尿管に尿管ステントを挿入する処置を行い、尿の通過性を確保します。その後、外来での排石の確認ののちカテーテルを内視鏡検査にて抜きとります。

経皮的尿路結石砕石術(PNL)

通常は全身麻酔で行います。背部から超音波とレントゲン検査を用い、細い針を穿刺して約1㎝の腎臓までの道をつくり、ここから内視鏡を挿入して結石を鉗子で摘出あるいは結石を細かく砕く装置などで破砕吸引する方法です。効率よく結石を処置できますが、やや大がかりな治療で、全身麻酔と数日間の入院が必要です。珊瑚状腎結石など、大きな腎結石の場合や、ESWLで壊れない硬い結石、あるいは尿管狭窄などで破砕片の自然排石が困難な場合に実施します。

参考
尿路結石症診療ガイドライン

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