病気の治療
medical treatment
medical treatment
眼球の表面を潤す涙の量は、涙を分泌する涙腺と、排水する涙道によって常に調節されています。涙の分泌量が減少するとドライアイに、排水機能が低下もしくは涙が分泌過剰になると流涙症(涙が止まらない疾患)になります。また、排出されずに溜まった涙に細菌が繁殖し、膿が溜まって涙嚢炎になることもあります。
ドライアイ
涙には眼球を保護する作用がありますから、ドライアイを放置すると眼球に細かな傷がつく可能性があります。症状が軽い場合は市販の点眼薬などで潤すことができますが、重症の場合は、医師の処方により角膜を保護する点眼薬が必要です。それでも効果が見られない場合は涙の排水口をプラグで塞いだり、外科的に閉塞させたりします。
流涙症
排水機能が低下した流涙症には、閉塞した涙道を開通させる手術が必要です。従来、ブジーという名称の細い金属棒を詰まった箇所に差し込んで開通させていましたが、涙道の中が見えないため、挿入した際の感触と医師の経験のみに頼って行っていました。現在は、より安全な手術に向け、涙道手術に特化した内視鏡を導入する施設もあり、涙道の中を鮮明な画像で確認しながら開通させます。
涙道が細かったり、開通させてもすぐに詰まったりする場合は、涙の通り道を確保するため、内視鏡下に鼻涙管にチューブを挿入し広げるシリコンチューブ挿入術を行います。自然に涙道が広がるよう、チューブは2~3カ月留置します。それでもうまく開通しないときは、鼻の骨を一部削って涙の通り道をつくる涙嚢鼻腔吻合術を行います。
角膜とは眼球の黒目部分の表面を覆う透明の膜で、眼のレンズの役割を果たしています。外から集まった光は角膜を通して屈折し、網膜で像を結ぶため、角膜が障害すると視力が大きく低下したり、視界がぼやけたりします。
角膜疾患は先天性のものや腫瘍、アレルギーが原因のものなど、さまざまありますが、眼のいちばん外側にあるだけに傷つきやすく、傷がもとの感染症が最もポピュラーです。角膜の感染症には、感染性角膜炎、角膜真菌症、角膜ヘルペスなどがあり、抗生物質、抗ウイルス薬などを点眼もしくは内服、点滴して治療します。
角膜移植
感染性の角膜疾患を治療によって抑えられたとしても、一度、混濁したり瘢痕(傷跡)ができたりした部分は、もとの透明な角膜に戻すことができません。また、感染症だけでなく先天性の疾患でも角膜は変形したり、穿孔(穴が開くこと)したりして、正常な視力を妨げることがあります。角膜の異常で生活に不便を感じるほど視力障害がある方は、角膜移植が適応になる可能性があります。
術前
術後