
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)09月09日 月曜日 徳洲新聞 NO.1457 4面
徳洲会一行は7月21日から5日間、アフリカのレソト王国を訪問した。首都マセルにあるクィーンマムハト病院内にオープンする透析センターの開所式に出席し、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の小林修三院長(医療法人徳洲会専務理事)が祝辞を述べた。同国での透析センター支援は2施設目(機器の寄贈は計20台)。セリべ・モチョボロアネ保健相との情報交換やクィーンマムハト病院の視察・現地指導なども行った。今後のサポートも約束し、同国との協力関係をさらに強固なものにした。
新しい透析センターの開所式で挨拶をする小林院長
徳洲会は2017年、レソトに透析機器10台を寄贈し、北部の都市レリベにあるモンティバン病院で透析センターの開設を支援した。寄贈した10台は機器のメンテナンスも行き届き、現在も稼働している。
テープカットの後、小林院長とモチョボロアネ保健相が握手
昨年3月に東上震一理事長らがモチョボロアネ保健相らと会談。同国では人口約230万人に対し、透析センターが1施設しかないことから、新たな支援要請を受けた。徳洲会はこれに応え、追加で10台の透析機器の寄贈を決定。今年5月には、湘南鎌倉病院でクィーンマムハト病院の透析チーム5人(医師2人、看護師2人、エンジニア1人)の研修を受け入れた。こうした準備期間を経て、同院内に新たに透析センターがオープンした。
試験的に患者さんを受け入れていた透析センターを視察
今回、訪問したのは湘南鎌倉病院の小林院長、日髙寿美・腎臓病総合医療センター長、鮫島早苗看護師、大久保亮太・臨床工学技士(CE)、一般社団法人徳洲会の石川一郎本部長、ムワナタンブエ・ミランガ顧問、小紙特派員の柄澤正明。
透析センター入り口に飾られた徳田・名誉理事長の写真
一行は22日にレソトに到着後、すぐにクィーンマムハト病院に向かい、新しく開設する透析センターの開所式に出席。まず小林院長やモチョボロアネ保健相らがテープカットを行った後、試験的に患者さんを受け入れていた同センターを視察した。
小林院長(右から2人目)らが保健省医療担当部長(その左)と情報交換
続いて、セレモニー会場に移動し、最初に徳田虎雄・名誉理事長の逝去に寄せて、出席者全員が黙禱を捧げた。その後、まず同院のタバン・ツェノリ腎臓内科医師が挨拶。「今回の透析機器の寄贈が、この国に及ぼす影響の大きさは計り知れません。透析を受けるために、これまで長い距離を移動していた患者さんを代表し、感謝を申し上げます。日本で研修を受けた透析チームは活気に満ちており、当院で専門的な治療が実現できると信じています」と力を込めた。
小林院長がモチョボロアネ保健相に、記念の徳洲会オリジナル盾を贈る
続いて小林院長が登壇し、まず「これまでアフリカで多くの透析センターの開設支援を行ってきました。技術的な困難に直面しながらも稼働を続け、腎不全患者さんを治療しています。透析治療からさらに一歩踏み込み、タンザニアのドドマ大学での腎移植も成功させました」と、これまでの実績を紹介。
さらに「ちょうど1カ月半前、クィーンマムハト病院の5人のスタッフが、当院で3週間にわたる技術研修を受けました。彼らがこの透析センターを運営し、患者さんに最善の治療を提供していくことを期待しています。徳洲会は“生命だけは平等だ”の理念の下、『いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会』を広め続けたいと考えています。クィーンマムハト病院で、素晴らしい医療が実現することを心よりお祈り申し上げます」と祝辞を述べた。
次に、リチャード・ラモエツィ外務相は「1971年の国交樹立から、相互に温かな友情と協力関係が築かれており、日本政府と日本の人々のレソトに対するかけがえのない支援と援助に深い謝意を申し上げます」と語気を強めた。
牛尾滋・特命全権大使は「このような場を実現した関係者の皆様に祝意を述べます。レソトの透析センター開設にあたり、徳洲会には多大な貢献をいただきました。また、ほかにもアフリカ諸国に多大な支援をいただき、医療サービス向上のために大変な寄与をされてきました」と感謝を告げた。
最後に、モチョボロアネ保健相は「7年前、モンティバン病院で透析センターの開設支援をいただき、これまで186人の患者さんに透析を行いました。多くの命と腎臓病に苦しむ患者さんを救うことができました。腎臓病の療養だけでなく、その予防も大事だと考えています。わが国の医療従事者は、思いやりとプロフェッショナリズムをもって患者さんに対応していきます」と意気込みを見せた。
地図
23日は二手に分かれ、小林院長、石川本部長、ミランガ顧問は保健省を訪問し、医療担当部長と情報交換。病院経営に関し、徳洲会グループの現状を説明したうえでアドバイスを行った。一方の日髙センター長、鮫島看護師、大久保CEはクィーンマムハト病院を視察。寄贈した透析機器は透析センターに7台、ICU(集中治療室)に3台設置されたため、それぞれの状況を確認。内科病棟では、透析が必要で待機している患者さんに関する説明を受けた。同院のセイサ・マチディ腎臓内科医師は「徳洲会からクィーンマムハト病院やレソトに長く続いてきた支援と、良好な関係に感謝します」と謝意を示していた。
表
24日に小林院長、日髙センター長、石川本部長は帰国の途に就いたが、鮫島看護師と大久保CEは31日まで同国に滞在し、同院で現地指導を継続。鮫島看護師は「当院での事前研修が生きていました。一日一緒に業務するなかで気付いたことを助言し、チェックシートの活用などを提案しました。継続的な教育・支援が必要ですので、今後もサポートを続けていきます」。
日髙センター長(中央)らがクィーンマムハト病院を視察
大久保CEは「エンジニアの方に、看護師とメーカーの橋渡しになるよう助言し、臨床で起きる細かなトラブルへの対応を指導しました。今後、当院で海外からの研修生を受ける際に、今回の経験を生かしていきたいと思います」と意欲的だ。
小林院長は今回の出張を終え、「尿毒症を抱えながらも、金銭的な理由で透析が受けられない患者さんもいました。しかし、われわれの支援でふたつの透析センターを開設できたことは、大きな一歩になったと考えます。これはレソトの医療問題の一部に過ぎませんが、保健大臣は熱心に将来を展望していました。それに応え、継続的な支援をしていきたいと思います」。
(右から)日髙センター長、マチディ医師、鮫島看護師、大久保CE
日髙センター長は「今回、初めて現地で透析支援を行うふたりのスタッフが同行し、彼らも現地の状況をより具体的に知ることができました。1カ月過ぎた今もレソトのスタッフと連絡を取り合っていますが、これは、今回の支援が“モノ”だけでなく、腎不全診療に携わる仲間としてのより強固なつながりとなったことを意味しており、レソトの大きな発展につながると思います」と先を見据えていた。
徳洲会グループは途上国への医療支援活動を積極的に推進している。2003年以降、世界40カ国以上と医療協力に関する覚書(MOU)を締結。医療機器を寄贈するだけの支援ではなく、現地スタッフに技術・ノウハウを指導するスタイルだ。