
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2022年(令和4年)05月23日 月曜日 徳洲新聞 NO.1339 4面
いつ襲ってくるかわからないのが“災害” 。地震や洪水、津波など自然災害、集団救急事故など人為災害、爆弾、化学兵器、生物兵器、核兵器によるテロなど特殊災害まで、安全、生命に対する脅威はさまざまです。多数の傷病者が発生した災害現場では、いかに多くの生存者を救命できるかが重要ですが、そこで鍵を握るのがトリアージ(緊急度・重症度分類)技術です。NPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)隊員として、国内外で災害医療支援活動に従事した成田富里徳洲会病院(千葉県)の村山弘之副院長がトリアージを解説します。
村山弘之・成田富里徳洲会病院副院長
トリアージは治療の優先順位を決めることです。災害現場では人的・物的資源が平時と比べ不足しています。そのような特殊な状況下で、より多くの被災者の方々に最善の医療を提供するには、緊急度と重症度に応じた治療の優先順位を決めることが必要です。そのための技術がトリアージです。
トリアージには次のような明確な目的があります。治療不要な軽症傷病者を除外すること、救命不可能な傷病者に時間や医療資源を費やさないこと、緊急性の高い傷病者を選別し搬送・治療の優先順位を決めること──の3点です。
また、トリアージにはいくつかの原則があります。「トリアージは原則として、ひとりで行い(この時、トリアージを行う人をトリアージオフィサーと呼ぶ)、他の者はトリアージオフィサーに従い、短時間で、より多くの被災者の救出・救助に当たる」、「CWAP(子ども、女性、高齢者、社会的弱者)を優先する」、「生命は四肢に優先し、四肢は機能に優先し、機能は美容に優先させる」などです。
ではトリアージ結果は、どのように表されるのでしょうか。具体的には4区分あり、黒、赤、黄、緑で示します。黒は「死亡または絶望的重篤」を意味し、緊急度としては不搬送となります。赤は「要緊急処置」で最優先、黄は「非緊急治療」で待機、緑は「軽症」で救急搬送不要です。
混乱した現場でも一目瞭然でわかるように、トリアージを行った傷病者の方々にはタッグと呼ばれる札を付けます。前述した色分けの区分が表示され、ひと目で傷病者の緊急度・重症度が判別できます。またタッグには傷病者の情報に加え簡単な医療情報、トリアージの実施場所・実施者、収容医療機関名などの記載欄を設けています。経時的に傷病者の状態は変化しますので、二次トリアージの結果、記載内容や区分を修正することもあります。
トリアージは一度行えば終わりというものではありません。災害現場で行う一次トリアージ、現場救護所での二次トリアージ、搬送前トリアージ、病院前トリアージなどがあります。ここでは一次トリアージで用いるSTART(Simple Triage and Rapid Treatment)方式を紹介します。
多数の傷病者をできるだけ素早く適切にトリアージするには、客観的で簡素な判定基準が求められます。START方式は歩行、自発呼吸、呼吸数、脈拍触知、簡単な従命を指標とし、図のような基準に即して判定を行います。START方式は短時間に多くの傷病者をトリアージするためのふるい分けが目的ですので、二次トリアージなどで、より細かく観察することが大切です。