徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)03月03日 月曜日 徳洲新聞 NO.1481 3面

増田・湘南鎌倉病院部長
高齢者への最適な抗がん剤投与量
米国膵臓学会でTREAD研究発表

米国膵臓学会でTREADプロジェクトの成果を発表した増田部長

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の増田作栄・消化器病センター部長は、米国膵臓学会で徳洲会リアルワールドデータ(TREAD)プロジェクトの研究成果を発表した。TREADプロジェクトは、徳洲会のスケールメリットを生かして得られた臨床ビッグデータの有効活用により、新たなエビデンスの構築を通じて、がん医療の進歩に貢献していく取り組みだ。

同学会は昨年12月9~12日、米国ハワイ州マウイ島で開催された。増田部長は「転移性膵臓がんの高齢患者に対する化学療法レジメンと投与量の最適化:TREADプロジェクトからの考察」をテーマにポスター発表を行った。

高齢の膵臓がん患者さんに関して、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法が、ゲムシタビン単独療法よりも効果的であることを示す先行研究はあるが、最適なRDI(相対用量強度=標準用量に対する実際の投与量の割合)を検討した研究はなかった。

そこで増田部長は、市中病院の医師が実臨床で診療する機会が多い75歳以上の膵臓がん患者さんを対象に、同併用療法実施群と同単独療法実施群を、それぞれ高RDI(≥80%)、中RDI(>50%、<80%)、低RDI(≤50%)にグループ分けし、後方視的に解析を行った。

結果、同併用療法の中RDIは、同単独療法の高RDIよりも優れたOS(全生存期間)を達成していた。前者の中央値は全グループ中で最長の11.0カ月、後者は6.1カ月。同併用療法の高RDIの中央値は7.9カ月だった。初回投与量とOSは関連性がなかった。

「一般的に化学療法は、臨床試験をもとに推奨された薬剤の量を100%とすると、おおよそ80~85%以上の投与を維持できれば、100%に近い効果が出せると言われています。一方で、これまで高齢者に対して高用量を投与して良いのか、という疑問がありました。高用量にするほど有害事象は増え、耐えられずに治療から離脱する人が増えてしまうと考えられたためです」

「そこで、中程度に減量して投与すれば、治療を継続できるのではないかと考え、RDIでグループ分けしOSなどを比較しました。後方視的な研究の限界はありますが、無理に高用量を投与せず、耐えられる量を投与することで、治療を継続でき、生存期間を延ばすことができるという結論を得ることができました」と増田部長は説明する。

増田部長はTREADプロジェクトをはじめ、今後も臨床と並行して学術・研究活動に邁進していく意向だ。

「自身の成長を感じることができたり、モチベーションの維持につながったりしています。臨床のみでは医師としての成長に限界を感じたため、より深い学びを得るためにも学術・研究活動を続けていこうと考えています」と抱負を語る。

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