徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

医療法人徳洲会 副理事長
名古屋徳洲会総合病院 総長
大橋 壯樹(おおはしたけき)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

大橋 壯樹(おおはしたけき)

医療法人徳洲会 副理事長 名古屋徳洲会総合病院 総長

2025年(令和7年)03月03日 月曜日 徳洲新聞 NO.1481

各診療部会は医療技術や学術活動の向上と
病院間連携強化し徳洲会全体の診療充実を
部会メンバーの交流深め切磋琢磨しながら推進

先日、徳洲会執行理事会で、診療部会の運営方針について協議しました。現在、25部会が存在し、昨年は20部会が活動しました。診療部会の目的は、各診療科の医療技術や学術活動の向上を図るとともに、病院間の連携を強化し、グループ全体の診療体制の充実を目指すことです。具体的には人事交流や診療応援体制の強化、多くの症例を生かした統一的な医療材料の活用による経営効率の向上を推進します。

また、部会長には豊富な症例数とスタッフ数を誇り、学会などで優れた実績をもつ医師を選任、グループの発展に貢献していただきます。さらに、関連学会の開催時期に合わせ年1回の会合を設け、各病院の現状報告や最新の知見にもとづく講演、懇親会などを通じ、メンバーの交流を深め、切磋琢磨しながら診療の質を向上させます。

徳洲会外科部会ではマンパワーが充実している基幹病院が、人員不足や脆弱な診療体制の病院を支援する取り組みを進めています。先日も外科医が10人以上在籍する基幹病院の外科医が集まり、外科医不足の病院への応援や移籍について協議しました。すでに多くの基幹病院が支援を行っていますが、今後は、さらに外科のサポート体制拡大を推進します。

基幹病院の診療科には、手術支援ロボットなど先進的な医療機器を優先的に配置し、魅力的な先進医療を提供、スタッフの教育も愛情をもって行うとともに、多くの医師を集め、発展途上の連携病院への技術的・人的支援を行うことで、徳洲会グループのさらなる進化を担っていただきます。

基幹病院は症例数増とマンパワー 強化し離島・へき地など支援拡充

今後、「働き方改革」が進展していくことから、余裕のある診療体制が不可欠となり、各診療科では、より多くのスタッフを確保し、さまざまな緊急手術に対応できる体制を整えることが重要です。その結果、地域の集約化した中核病院として選ばれ、さらなる発展につながることが期待されます。都市部の徳洲会基幹病院は、症例数の増加に加えスタッフの充実を図ることで、離島やへき地、診療体制が不十分な病院への支援、新規診療科の開設を推進していただきます。これにより徳洲会全体の診療科の充実と発展が望めます。

学術面では、徳洲会のビッグデータを活用した研究成果が発表されています。昨年、名古屋徳洲会総合病院の景山聡一郎先生の論文「A型大動脈解離1000例の経験」が、世界的に権威のある米国胸部外科学会の公式ジャーナル『JTCVS』に掲載されました。この研究では同院、松原病院、宇治病院、大垣病院、東京西病院の各徳洲会病院での手術例を分析し、徳洲会の豊富な症例数と統一されたカルテによるデータ管理の強みを生かし、優れたエビデンス(科学的根拠)が示されました。

また、榛原総合病院の植木力先生も、徳洲会データベースを用い「B型大動脈解離のステントグラフト治療後の予後」に関する研究を行い、その成果が権威ある欧州心臓胸部外科学会(EACTS)誌に掲載され、高い評価を受けています。データベース研究で優れた実績をもつ植木先生には、今春から徳洲会学術顧問として、各病院でのデータベース研究の指導や論文作成の支援を行っていただきます。

医療分野では技術革新の速度が速く、医学のエビデンスも常に更新され続けています。このため今後も最新の知見を積極的に取り入れ、日常診療に反映し、発展させることが求められます。

医師のみならず全ての職種が 部会・分科会で研鑽を重ねる

こうした取り組みは看護部門や薬剤部をはじめ全てのコメディカル、事務部門でも推進すべきです。徳洲会グループの各職種で組織する部会・分科会で、研鑽を重ね、さらなる成長を遂げることを大いに期待します。

1月度の徳洲会医療経営戦略セミナーで、大阪大学の宮川周士先生が「異種移植の現状と今後」と題し講演されました。この分野は日本では研究が進んでいませんが、多くの患者さんが移植医療を必要としています。徳洲会が、こうした夢のある革新的な医療に少なからず関与し、新たな医療技術の発展に貢献することが大切だと考えます。

ただし、学術活動や高度医療に重点を置くあまり、日常診療がおろそかになることは本末転倒です。今後も徳洲会グループ全体で質の高い医療を提供し続けるため、技術向上と連携強化に向け、皆で頑張りましょう。

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