
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)03月03日 月曜日 徳洲新聞 NO.1481 3面
徳洲会呼吸器部会は第18回肺がん研究会および第16回症例検討会を開催した。一般演題9演題に加え、今後、グループ全体への導入を計画している内科系・外科系肺がんテンプレートやクリニカルパス(標準治療計画)、さらに分子標的治療薬を用いた症例に関する臨床研究の紹介など、充実したプログラムを実施。会場とオンラインを合わせて約30人が参加、互いの知見を共有、研鑽を積んだ。
「臨床・研究・教育に、しっかりと重点を置き活動」と日比野部長
同研究会・症例検討会は徳洲会オンコロジー(腫瘍学)プロジェクトの一環として、診療科や職種の垣根を越え、肺がんや呼吸器疾患全般の診療の質向上を図るのが目的。はじめに部会長の日比野真・湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)呼吸器内科部長が登壇し、オンコロジープロジェクト発足から肺がん研究会の開催、呼吸器部会の発足、徳洲会リアルワールドデータ(TREAD)プロジェクトの開始など、これまでの経緯を概説した。
また呼吸器部会の活動として取り組んできた研究に言及し、英文医学ジャーナルへの発表論文や研究計画・進捗を紹介。そのうえで「呼吸器部会としては肺がんWEBキャンサーボード(多診療科・多職種によるカンファレンス)、研究検討会、本日開いている肺がん研究会を通じた臨床・研究・教育に、しっかりと重点を置いて活動していきたいと考えています」と方針を掲げた。
一演題ごとに活発な質疑応答が行われた症例検討会
続けて、肺がん薬物治療前テンプレート(案)を説明。患者さんの基本情報、治療目的、患者背景、臨床病期や組織型、遺伝子変異などの情報を入力するテンプレートを今後、電子カルテに実装することを計画している。「これにより、構造化されたデータとして、われわれの日常診療の結果をしっかりと効率よく振り返ることができるようにしていきたい」と語った。
このほか、徳洲会がグループを挙げて取り組んでいるCOVID-19を対象とした前向き観察研究や、免疫化学療法による肺がん患者さんの末梢神経障害をテーマにした研究を紹介した。
症例検討会では、千葉西総合病院の岩瀬彰彦・内科部長(呼吸器内科)、八尾徳洲会総合病院(大阪府)の瓜生恭章・副院長兼腫瘍内科部長、日比野部長が順に座長を務め、一般演題9題の発表があった。最初に登壇した野崎徳洲会病院(大阪府)の平山伸・呼吸器外科部長は、右再発気胸をテーマとし、右下葉広基性肺嚢胞に対する外科治療の経験について発表。次いで、同院の篠原拓真・初期研修医が、敗血症になりかけた対側肺化膿症に対する治療と、同時併発した左続発性気胸に外科的治療を施行した一例を紹介した。
湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の鎌田理子リウマチ膠原病内科医員は、前任地である湘南藤沢病院呼吸器内科で経験した血球貪食症候群を合併した抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎の一例について発表。湘南鎌倉病院の渡邊智博・呼吸器外科医員は、永久気管孔があり呼吸機能検査を行うことができなかったことから、運動負荷試験のみで耐術能を評価し、安全に肺の手術を行うことができた一例を報告。同院の奥田耕司・理学療法士(PT)は、同院で肺がん患者さんへの術前評価として取り組んでいる簡易型運動負荷試験について発表した。
千葉西病院の小嶺将平・内科医師(呼吸器内科)は、進展型小細胞肺がんの治療中に脊髄内転移を呈した症例の治療経験を報告。鎌ケ谷総合病院(千葉県)の大渕俊朗・副院長兼呼吸器外科部長は、リウマチ治療中の定期検査(全身CT)で偶然発見された悪性胸水の一例について発表した。
千葉西病院の岩瀬部長は、気管支鏡での生検から肺腺がんと診断した一例を紹介。同症例は7年前に脳転移に対する手術が行われており、取り寄せた標本から肺がんが原発と考えられた。福岡徳洲会病院の久良木隆繁・副院長(呼吸器内科)は、休薬中に縮小傾向を認めた肺腺がんの一例について発表した。
一演題ごとに活発な質疑応答を行い、会場は熱気に包まれ、盛況裏に終了。
この後、グループ横断的に周知する必要のある共有情報として、湘南鎌倉病院の深井隆太・呼吸器外科主任部長が「肺がん外科用テンプレート(仮)」についてプレゼンテーション。肺がん薬物治療前テンプレートの外科版だ。術前病理診断やPS(全身状態の指標)、喫煙歴・量、画像所見、術前治療、臨床病期、遺伝子変異、PD-L1発現率などをチェック方式で入力する。
今後、グループの電子カルテへの実装を目指す。事後的にカルテを振り返って各種データを収集する手間を省き、より効率よくデータ収集を行い、論文など学術・研究活動を後押しするのが狙いだ。
続いて、千葉西病院の小嶺医師が「抗線維化薬クリニカルパス」について説明。特発性肺線維症や進行する間質性肺疾患を対象に、まず同院で、4日間の診療計画からなるクリニカルパスを運用し、その後、グループ全体に広げていく考えを示した。
最後に、湘南鎌倉病院の野口雅之・病理診断部部長が、EGFR変異特異的抗体とRBM10特異的抗体を用いた生検材料の免疫染色を行い、タンパク発現の程度と治療効果の関連性を検討する臨床研究計画について説明。具体的には、生検または細胞診で診断されたEGFR遺伝子変異を有するⅣ期肺腺がん症例で、一次治療として分子標的治療薬のオシメルチニブを使用した症例が対象だ。野口部長は同研究への協力・参加を呼びかけた。
次回は第48回日本呼吸器内視鏡学会学術集会に合わせ、6月12日17時から仙台市で開催予定。