
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)11月11日 月曜日 徳洲新聞 NO.1466 3面
徳洲会リアルワールドデータ・プロジェクトが、またひとつ研究成果を発表した。第7回日本腫瘍循環器学会学術集会で、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の下山ライ副院長兼外科部長が「転移性消化管がんにおける動脈血栓塞栓症(ATE)とその予後の解析:徳洲会リアルワールドデータ・プロジェクト(TREAD07)」をテーマに一般口演を行った。同プロジェクトは、がん医療強化のために推進している徳洲会オンコロジー(腫瘍学)プロジェクトの一環で、グループのスケールメリットを生かし、10年間分の臨床ビッグデータの解析を通じ、新たなエビデンスを構築、がん医療の進歩に貢献するのが目的だ。
「予後予測モデルの作成を試みていきたい」と下山副院長
今回発表した研究は、がんと循環器疾患が重なる症例を扱う腫瘍循環器(Onco-cardiology)と呼ばれる領域のものだ。
下山副院長は「過去の研究報告から、静脈血栓症と動脈血栓症を含む腫瘍関連血栓塞栓症は、進行がんでは頻度の高い合併症として知られていましたが、以前、徳洲会リアルワールドデータ・プロジェクトで、ステージⅣの膵がんを対象とした研究を行ったところ、想定よりも動脈血栓症の発症頻度が高いことがわかりました。日本では動脈血栓症の発症率に関する報告は少ないため、『では、他の消化管がんの場合はどうなのか』というクリニカルクエスチョン(臨床疑問)に答えるために、消化管がんの動脈血栓症の頻度と生命予後への影響など検討しました」と企図を明かす。
具体的には、心筋梗塞や狭心症など急性冠症候群、虚血性脳卒中、末梢動脈閉塞をATEと定義し、遠隔転移を有する食道がん、胃がん、小腸がん、大腸がんと診断された症例を抽出。患者背景や併用薬を調べ、原発部位別の症例数、累積発症率などを検討した。その結果、1年累積発症率(1年間のうちに対象集団の中から当該疾患が発症する率)は5.2%であり、ATEを有すると死亡リスクは約1.5倍になることがわかった。
下山副院長は「ステージⅣを対象としたことから、国内の先行研究(全ステージ対象)の1.29%よりも1年累積発症率は高い傾向が出たと考えられます。胃や大腸など部位別では、有意差はありませんでした。今後、採血データなどから、予後予測モデルの作成を試みていきたいと考えています」と力を込める。