
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2022年(令和4年)05月23日 月曜日 徳洲新聞 NO.1339 3面
札幌南徳洲会病院の前野宏総長が理事長を務めるNPO法人ホスピスのこころ研究所は、日本のホスピス50周年記念シリーズ講演会を開催している。第2回は北海道医療大学の石垣靖子・名誉教授を講師に招いた。オンラインによるライブ配信を中心とし、日本全国から325人が参加した。
講演会の司会を務める前野理事長
2時間立ち続け、穏やかな口調ながらも力強いメッセージを発する石垣・名誉教授
日本のホスピス緩和ケアは、1973年にスタートしたと言われている。2023年が50年の節目にあたることから、ホスピスのこころ研究所は「この半世紀で何を残してきたのか。ホスピスマインド(ホスピスのこころ)を中心に、この道のレジェンドたちの話をとおして検証する」(前野理事長)ことを目的に、シリーズ講演会を企画した。
同研究所が主催、ホスピス財団、日本ホスピス緩和ケア協会、日本死の臨床研究会が共催。第1回は昨年11月、第2回は3月12日に開催。札幌南病院の一部職員のみが会場参加し、300人超はオンラインで参加した。
北海道医療大学の石垣・名誉教授が「還りみて、いま~『ホスピスのこころ』に寄せて~」と題し講演した。石垣・名誉教授は北海道大学病院や道内のホスピス・緩和ケアを標榜する民間病院で臨床看護、看護管理、教育など豊富な経験をもち、日本のホスピス緩和ケアの先駆者のひとり。
講演は2時間にわたり、国内外での経験談を交えながら、ホスピス緩和ケアに傾倒したきっかけや取り組んできたこと、ホスピス緩和ケアで重要なポイントを示唆。痛みの緩和の重要性、全人的ケアでの看護の役割、基本的な臨床倫理の原則、意思決定のプロセスなど多岐にわたって解説した。
最後に「サイエンスとしての対象(patient)ではなく、一人の固有の人間(person)として尊重するアートとしてのケアを、ずっとケアの目標にしてきました」と明かし、医療に携わる専門職は職種を問わずサイエンス(科学性)とアート(人間性)を高めていくことが“使命”と強調した。
前野理事長との対談も行い、前野理事長が「後進、若い方々に向けてメッセージやエールを」と促すと、石垣・名誉教授は「まず専門職としてcompetent(有能)であること。専門職を選んだ以上、どの分野でも基盤になることです。そして心すべき態度としてcompassionate(思いやり)とunhurried manner(物静かな態度)。時代がどんなに変わっても、AI(人工知能)がどれだけ活用されても、この3つは医療専門職として変わらず目指していただきたいと思います」と結んだ。
終了後、前野理事長は「医療従事者だけでなく一般の方も数多く参加してくださいました。長崎県の離島や鹿児島県からも視聴してくださるなどオンラインの良さが見られたと思います。講演を拝聴し、私自身、反省を含め、あらためて、この半世紀で築き上げてきたさまざまなノウハウを普及していく大切さを感じました」と振り返った。第3回は7月を予定している。