2020年(令和2年)1月27日 月曜日 徳洲新聞 NO.1220 三面
地域のERとして機能
札幌東病院 年末年始も支障なく!
札幌東徳洲会病院は、救急患者さんが増える年末年始を地域の医療機関との強固な連携により乗りきった。同院の松田知倫・救急センター(ER)副センター長は、自院を「地域のER」として位置付けている。
「地域に根差したERの役割を果たす」と松田・副センター長
同院の病床数は325床。松田・副センター長は「ゴールデンウイークや年末年始など大型連休の場合、310~315床を超えてしまうと、その後の診療が成り立たなくなります」としつつも、年々、救急患者さんは増加、2018~19年の年末年始は同院ER入院の在院数が87人に上り、ほぼ満床状態になった。
ERが受け入れた患者さんの転送先が院内にあるのが理想だが、同院は総合内科のマンパワー不足により、ERが該当診療科のない救急患者さんの入院を引き受けている。そのためERの入院患者数を減らさないと、救急受け入れにも限界が発生する。
この一助となっているのが、3年前から始めた近隣の医療機関(現在12施設)との連携会議。3カ月に1度の頻度で実施し、挨拶だけで終わらせず、症例をベースに議論し、各施設の強みなど理解し合っている。
今回、19~20年の年末年始(12月28日~1月6日)に向け、連携会議に出席している医療機関に転院の受け入れ可能日をあらかじめリサーチ。転院を前提とした救急車の受け入れを行い、外来から、もしくは短期入院後に、転院して治療を継続することで、同院ERの入院患者数をコントロールすることを企図した。
結果、1日平均32件の救急車を受け入れ、13人が入院したが、うち同院ERへの入院は9人だった。期間中の転院は24人で、疾患は肺炎、尿路感染症、インフルエンザ。ER入院の在院数は最高53人だった。
松田・副センター長は「在院数が抑えられ、今回の対策は、ある程度有効だったと考えられます。患者さんにとっても、自宅に近い病院に転院できるなどメリットはありました」と強調。「救急を受け入れる当院ERのベッドだけがいっぱいになり、地域全体で見ると空床がある場合もあります。この状態を転院により解消することが、地域に根差したERとして、当院の役割だと考えます」とアピールしている。