徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2026年(令和8年)01月26日 月曜日 徳洲新聞 NO.1527 1面

湘南鎌倉総合病院
成人心房中隔欠損症にカテーテル治療
徳洲会グループで初めて施設認定を取得

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は、成人期の心房中隔欠損症(ASD)に対するカテーテル治療を開始した。同治療はこれまで小児に実施するのが一般的だったが、日本心血管インターベンション治療学会が成人に対する施設認定基準を緩和、同院は昨年4月に徳洲会で初めて施設認定を取得し、12月に治療を開始した。これにより、成人期のASDに対し外科手術とカテーテル治療の両方が対応可能となった。

治療当日から歩行開始し翌々日には退院

カテーテル治療を行う松本部長(右から2人目)と水野部長(その左) 「カテーテル治療の最大のメリットは低侵襲であること」と松本部長

ASDは心房を隔てる壁に穴が開く先天性疾患で、小児期に無症状で経過し、成人期、あるいは高齢期に入って初めて発見される症例も多い。近年、成人期での診断が増加している背景には、心エコーをはじめとする診断機器の精度向上に加え、循環器分野での啓発活動が結実し、多くの医師が「見逃さない」視点をもったことが挙げられる。

放置すれば、長期的な容量負荷による心拡大を経て、最終的には心不全を引き起こす。また、肺高血圧症を合併し、根治治療の適応外となるリスクもある。早期発見・治療の確立は、患者さんの生活の質(QOL)維持に資する重要なポイントだ。

ASDに対するカテーテル治療は、従来の施設認定基準では先天性心疾患の手術実績などが厳格に求められ、成人の循環器診療を主軸とする総合病院では、治療の提供が難しい状況が続いていた。これを打開するため2025年4月、構造的心疾患に関連する学会の施設認定基準が緩和され、成人専門施設でも一定の基準を満たせば認定取得が可能となった。同院はこの変革をいち早く捉え認定を受けた。

カテーテル治療の最大のメリットは低侵襲であること。ディスク状の専用デバイスで欠損孔をサンドイッチ状に閉鎖する手法で、開胸や人工心肺をともなわず、身体的負担を最小限に抑えることが可能だ。ただし、すべての症例が適応するわけではなく、欠損孔の大きさに加え、デバイスを固定するためのリム(縁)が健全に存在するかという解剖学的制約がある。こうした症例では、外科手術が安全かつ確実な方法となる。

同院では、心臓血管外科医とカテーテル治療医による「ハートチーム」が、術前評価の段階で、どちらの治療が患者さんにとって最適か議論している。松本崇・循環器内科部長は「外科手術、カテーテル治療のどちらにも対応していれば、紹介した患者さんがどのような状態であっても、ひとつの病院内で完結して治療できるので、地域の医療機関にとっても紹介しやすいと考えています」と力を込める。

同院では25年12月、松本部長と水野真吾・循環器内科部長がオペレーターになり、1例目および2例目を実施。患者さんはいずれも治療当日から歩行を開始、翌々日には退院した。松本部長は「大学病院や遠方の専門施設に行くことなく、住み慣れた地域で治療を受けられることは、患者さんやその家族にとって負担が少なくなると思います」と強調する。

今後、地域完結型の医療をさらに深化させるため、啓発活動を強化。地域連携室と近隣の診療所や検診施設を訪問し、同治療の開始を周知していく。これまで大学病院や東京都内に流出していた患者さんを、地域内で治療していきたい考えだ。また、定期的な勉強会や市民公開講座を通じて、潜在的なASD患者さんを掘り起こし、見逃しを防ぐ取り組みも拡充していく。

松本部長は「院内の多職種チームの結束と、地域社会との密接な連携を両輪として、当院はASD治療の先駆者として、地域の方々に貢献していきたいです」と意気軒高だ。

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