徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2025年(令和7年)08月18日 月曜日 徳洲新聞 NO.1505 1面

徳洲会グループ
チュニジアで心カテ治療を技術指導
JICAが支援する「第三国研修」プログラムに協力

徳洲会グループはアフリカのチュニジアでJICA(国際協力機構)の支援の下、開催された第三国研修プログラムに協力、首都チュニスにあるラブタ病院を拠点に、同国や周辺諸国の医師に技術指導を行った。7月4日から6日間開催した「第1回アフリカ諸国のための心臓学・循環器学」というトレーニングコースで、循環器領域のなかでも、とくに心臓弁膜症に対するカテーテル治療技術の習得を主眼とするプログラム。これまで徳洲会は“生命だけは平等だ”の理念実践の一環として、アフリカやアジアなどで国際医療協力を展開。今回の取り組みも現地の医療水準の向上を通じた患者さんへの貢献が目的だ。

プロジェクト参加国・組織の代表者らで記念撮影(写真提供:JICA)イノウエ・バルーンを使ったムラリ部長によるPTMCをライブ中継(写真提供:JICA)チュニジアの医師からの強い要望で齋藤センター長がCTOの治療を実演

第三国研修プログラムはJICAや協力機関が、技術伝播の拠点となる途上国を支援し、周辺途上国からの研修員も受け入れて技術指導を行う国際貢献。「第1回アフリカ諸国のための心臓学・循環器学」と銘打ち、開催国であるチュニジアに加え、使用言語の観点からフランス語圏のブルキナファソ、カメルーン、コートジボワール、マリ、モーリタニア、ニジェール、セネガルの7カ国から、それぞれ複数の医師が参加した。

徳洲会からチュニジアを訪問したのは、東上震一理事長、小林修三・専務理事(湘南鎌倉総合病院院長)、今回の技術指導のテーマである心臓カテーテル治療のエキスパートである湘南鎌倉病院の齋藤滋・心臓センター長、水野真吾・循環器内科部長、宍戸晃基・循環器内科部長。

齋藤センター長は「高度な医療技術をチュニジアに伝承し、さらにそれを周辺国へと広げていくことで、アフリカの患者さんたちを助けることに貢献できます。また、チュニジアの日本に対する評価を高めることにつながり、両国の友好関係の強化という外交への寄与も望めます」と徳洲会が同プロジェクトに参画する意義をアピールする。

齋藤センター長は2004年と06年に、チュニジアの医療機関でカテライブを実施した経緯がある。カテライブは実臨床として行う心臓カテーテル治療の様子を、大型のモニターやスクリーンに投影し、多くの医師に手技を供覧することで教育的な効果を期待する試みだ。

これまでも徳洲会はJICAの国際的な医療支援プロジェクトに協力してきた。たとえば中南米諸国を対象とする「経橈骨動脈カテーテル治療法(TRI)による虚血性心疾患治療普及促進事業」に尽力。中南米は虚血性心疾患の罹患率が高い国が多いことから、患者さんの身体的・経済的負担の低減を図るため、各国の医療者にTRIを指導した。

徳洲会一行は7月7日の開会式に合わせて現地入り。式に先立って、東上理事長、小林・専務理事、斎藤センター長はJICAの原昌平理事、大菅岳史・駐チュニジア特命全権大使、アフリカ開発協会(AFRECO)の矢野哲朗会長とともに、ムスタファ・フェルジャニ保健相、ラブタ病院循環器科のモハメド・サミ・ムラリ部長らと意見交換。

開会式では東上理事長やフェルジャニ保健相が登壇して挨拶を行った。

齋藤・湘南鎌倉病院センター長 要請受けCTO症例の治療施行

同日午後から齋藤センター長らが参加各国の医師に、僧帽弁狭窄症の治療に用いるイノウエ・バルーンの歴史や手技などを講義。続いて各国の医師が自国の心疾患の現状などをプレゼンテーションしディスカッションした。イノウエ・バルーンは、僧帽弁狭窄症の治療用に開発された世界初の国産バルーンカテーテル。アフリカではリウマチ熱に起因する僧帽弁狭窄症の発症が多いことが知られている。

8日は、ムラリ部長がラブタ病院のカテーテル室から、イノウエ・バルーンを用いた僧帽弁狭窄症に対するPTMC(経皮的僧帽弁交連切開術)のライブ中継を実施。院内の講義会場に中継される映像を見ながら齋藤センター長が解説を加えた。シミュレータを用いて参加医師が演習を行う時間も設けた。

9日もPTMCのライブ中継を行い参加医師が研鑽を積んだ。シミュレータでの演習に加え、合併症のマネジメントなどの講義も実施。チュニジアの医師が講義を担当した。同日午後に閉会式を行い修了証の授与を行った。

翌10日にはチュニジア側からの強い要望により、齋藤センター長がCTO症例の治療を実演する機会が設けられた。チュニジア政府は、特別に同国内での医療行為を認めるテンポラリーライセンス(一時的免許)を発給。チュニジアの多数の医師が、CTOの難症例に対する齋藤センター長の手技を間近に見学し、スキルアップに励んだ。

「今回のプログラムのゴールは、参加した各国の医師が現地の医療機関で、独力で治療できるようになることです。3年ほどのプロジェクトになると思います。透視装置やカテーテルなど機器・材料の整備や流通・供給も乗り越えなければならない課題としてありますが、拠点となるチュニジアの医師には、プログラムの進展に応じて参加各国に対するプロクター(指導者)の役割を期待しています」と齋藤センター長は願っている。

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