徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)10月07日 月曜日 徳洲新聞 NO.1461 1面
徳洲会オンコロジープロジェクト代表者会議が8月30日に開かれ、同プロジェクトの担当理事に大橋壯樹・医療法人徳洲会副理事長(名古屋徳洲会総合病院総長)が就任した。会議では、同プロジェクトの推進に大きな役割を担う呼吸器部会、乳がん部会、消化器がん部会の各部会長に大橋・副理事長が任命書を授与。同プロジェクトの運営規程や各部会の会則の制定に向け事務局が草案も提示した。各部会長から活動報告もあった。グループ全体のがん診療レベルを一層向上し患者さんに還元していく考えだ。
部会長の任命書授与を終えた(右から)大橋・副理事長、間瀬院長、下山副院長、日比野部長
総括で各部会長にエールを送る大橋・副理事長
徳洲会オンコロジー(腫瘍学)プロジェクトはエビデンス(科学的根拠)に基づく安全で質の高いがん医療を提供するため2004年に発足。院内がん登録の整備や、徳洲会統一の標準レジメン(治療計画書)の整備などを行ってきた。
代表者会議には大橋・副理事長、消化器がん部会長の下山ライ湘南鎌倉総合病院(神奈川県)副院長兼外科部長、呼吸器部会長の日比野真・湘南藤沢徳洲会病院(同)呼吸器内科部長、乳がん部会長の間瀬隆弘・大垣徳洲会病院(岐阜県)院長、一般社団法人徳洲会職員や未来医療研究センターの事務局員らが出席した。
はじめに活動報告があり、プロジェクト発足時からの中心メンバーである下山副院長が「徳洲会オンコロジープロジェクト20年の歩み」と題し発表。プロジェクトの趣旨や実施体制、標準レジメンの申請・承認の流れや審査委員(医師)・作成委員(薬剤師)など体制にも言及。
続けて、これまでに登録したレジメン数が20がん種・427件に上り、導入病院数は54施設にまで拡大したことを紹介。「離島・へき地病院への導入も進み、実際に治療に活用され、レジメンに基づいて治療を行った患者さんの数も増加傾向です。徳洲会のがん治療の均霑化が進んでいると言えます」(下山副院長)。
また、消化器がん部会の活動も説明したうえで、徳洲会リアルワールドデータ研究(TRE-AD)を紹介。これは、臨床で得た膨大な診療データを有効活用し、新たなエビデンスの構築を通じ、がん医療の進歩に貢献する取り組みだ。部会横断的な活動で、幅広いがん種に関して学会発表や論文発表を行っており、国内外の医学ジャーナルに、これまで9本の論文を掲載済み。
間瀬院長は乳がん部会の活動を報告。天候不良(台風)の影響でWEB参加となった。同部会は症例発表などを行う乳がん研究会を年1回開催、これまでに5回の実績があり、主に臨床検査技師を対象とした乳房超音波セミナーも開催している。
「乳がん部会は多職種の参加が多いのが特徴です。今後は日本乳癌学会との連携をより強化するため、さらに同学会の評議員を増やしていきたい」。リアルワールドデータを活用した研究と発信にも力を入れていく考えを示した。
この後、日比野部長が呼吸器部会について説明。肺がん研究会&呼吸器部会症例検討会は年2回開催し、これまで研究会17回・検討会15回まで積み重ねてきた。同部会ならではの取り組みとして「徳洲会肺がんWEBキャンサーボード」を毎週開催。学術活動にも注力してきた。
「呼吸器部会は、がん以外の疾患も対象としており、特徴は外科や内科、病理など幅広い医師が参加していることです。WEBキャンサーボードは、通算375回開催し、600例以上の症例を検討しました。これからも臨床・研究・教育の各領域で活動し、徳洲会の呼吸器診療の質の向上を図っていきます」(日比野部長)
活動報告後、事務局からオンコロジープロジェクトの運営規程案が示された。活動内容は実態を踏まえ、①徳洲会オンコロジー統一レジメン審査・登録・データ管理、②各がん種(呼吸器・乳腺・消化器)部会運営支援、③徳洲会オンコロジーに関する臨床研究の実施及び支援、④TREADの実施及び支援、⑤各種がん診療に携わる医療従事者の教育・育成支援――などを盛り込んだ。これに準じた部会の会則案も提示。会議参加者で共有後、適宜修正し正式に制定する見込みだ。
続いて任命書の授与を行い、大橋・副理事長が各部会長に手渡した。最後に大橋・副理事長が総括で「皆さんの活躍に大いに期待しています。参加施設を拡大し幅広いメンバーを集め、切磋琢磨しながら臨床レベルの向上を図ると同時に、膨大な臨床データを生かした論文発表など学術レベルの向上、優秀な医師のリクルートや若手医師の教育、応援体制の構築など、日本のがん医療を牽引する意気込みで取り組んでください」とエールを送った。