徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2023年(令和5年)05月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.1390 1面

宇治病院・和泉医療センター・岸和田病院
胃がん診療の質を維持・向上
日本胃癌学会「認定施設B」取得

宇治徳洲会病院(京都府)、和泉市立総合医療センター(大阪府)、岸和田徳洲会病院(同)は日本胃癌学会の「認定施設B」を取得した。これは同学会が4月にスタートした制度で、今年度は認定施設Aに127施設、Bに179施設を認定。患者さんが胃がん診療を受ける病院を選ぶための指標のひとつになると同時に、認定施設が胃がん診療の質を維持・向上するのに寄与する。今回、認定施設となった徳洲会グループ3病院も、より安全で質を担保した胃がん診療を目指す。

より安全で低侵襲な手術心がける

橋本部長(左から2人目)を中心とした胃がん治療チーム

近年、医療の急速な進歩により、胃がん診療は多様化、複雑化している。たとえば、内視鏡治療の適応拡大、ロボット手術など低侵襲手術の普及、免疫治療など薬物療法の専門化などだ。また、胃がん診療は消化器外科医に加え、内視鏡医、腫瘍内科医、病理医など複数の診療科医師が関与し、診断・治療を進めていくことが求められる。

「来年度には認定施設Aに更新したい」と玉森部長

一方、ピロリ菌感染率の急速な低下により、日本での胃がん罹患率の低下、症例数の減少が予想され、胃がん診療レベルを維持するためには、一定の施設集約化が必要と考えられていた。

こうした背景から日本胃癌学会は、①日本の胃がん患者さんに安心して胃がん診療を受けることのできる情報を提供する、②多様化、専門化する胃がん診療に対応すべく学会員の知識技術の向上に貢献する、③適切な胃がん診療を提供できる施設を認定することにより、日本での胃がん診療の維持向上に貢献する――を目的に施設認定制度を創設した。

「早期胃がんに対するESDは毎年150症例以上」と井上副院長

同制度は「認定施設A」と「認定施設B」の2種類。共通の施設基準として①緊急手術および緊急内視鏡が実施可能な体制を整えていること、②倫理委員会が設置されていること、③合同カンファレンスが定期的に開催され、かつその記録が整備されていること、④認定施設取得後から更新時までの期間にNCD(National Clinical Database)胃がん登録を行っていること。

これらの施設基準に、専門医の種類や人数、同学会総会での発表件数、手術や化学療法の実績などを加味して、認定施設Aと認定施設Bが決まる。認定期間は3年で、施設基準を満たさなくなった時や、認定施設の更新を受けない時などに資格喪失となる。

「可能な限りの低侵襲手術を心がけています」と片岡・主任部長

宇治病院の橋本恭一・消化器外科部長は「認定施設Bでも施設基準のハードルは高い印象です。当院には専門医資格をもつ医師が多く、学会や論文発表など学術活動も積極的。若手医師が学会発表する際のサポート体制も万全です」とアピールする。

胃がん診療に対して「安全に手術を終わらせて、合併症なく、速やかに退院できるように心がけています。とにかく手術は安全第一です」と強調。さらに「認定施設を取得したことで、地域へのアピールになります。今後は認定施設Aを目指し、より地域に信頼される病院になりたいと考えています」と意気込みを話す。

和泉医療センターの玉森豊・上部消化管外科部長は「今年度の申請には間に合いませんでしたが、2月に開催された第95回日本胃癌学会総会で、当院から2演題の発表があり、認定施設Aの施設基準をクリアしました。来年度の審査で更新したいと考えています」と明かす。

同センターは、2021年4月に内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」による胃がん手術をスタート。同年8月には、がんゲノム医療連携病院の指定も受けている。玉森部長は「集学的治療を行い、胃がん診療の質を担保しています。また、地域での差別化としてロボット手術を強みにしていますが、患者さんに押し付けるわけではなく、その人にとってのベストな方法で治療していきます」と意気軒高だ。

岸和田病院の井上太郎・副院長兼内視鏡センター長は「当院では古くから内視鏡診療に力を入れており、胃がんに対する内視鏡診断と治療は、つねに最新の機器で行っています。早期胃がんに対する内視鏡治療(ESD:内視鏡的粘膜下層剝離術)は、毎年(1年間で)150症例を超える件数を行っています。認定施設となり、さらに胃がん診療に邁進していきます」。

片岡直己・外科主任部長は「当院は、胃がんの症例が比較的多いのが特徴。たくさんの執刀を行うなか、安全性を担保したうえで、腹腔鏡手術など可能な限りの低侵襲手術を心がけてきました。23年1月からはダヴィンチによるロボット手術も導入し、さらなる低侵襲手術を行っていきたいと考えています」と決意を新たにしている。

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