徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

神戸徳洲会病院 院長
新保 雅也(しんぼまさや)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

新保 雅也(しんぼまさや)

神戸徳洲会病院 院長

2023年(令和5年)05月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.1390

常勤医師数を増やすことが根本的な課題
現職員が高い志と能力を持つことが前提
医療の質向上で新病院投資に見合う成果を

当院は神戸市内にあるとはいえ明石市に近く、淡路島とつなぐ明石海峡大橋が自然景観の一部のように見え、シンボルとなっています。当院がある垂水区は道が細く曲がりくねり、びっくりするほど急勾配の坂が多いのですが、少し上ると瀬戸内海と淡路島が見える面白い場所です。当院は今年で築37年、建物はかなり老朽化が目立っています。今後、神戸市より借り受ける駅側の土地に、約2年後、新築移転の予定で、目下、基本設計の真っ最中です。市からは産科と小児科の充実を強く要請されており、現在の産科医師2人(出産は昨年度33件)、小児科医師3人の常勤体制からさらに拡充を図ります。新病院は309床でオープン、年間4,000台以上の救急車受け入れ(2022年度は約3,600台)、心臓外科再開を含めICU10床、HCU20床の急性期体制を整えます。放射線治療を含めたがん治療の充実や口腔外科の新規開設、療養病棟も引き続き運営し、幅広い地域医療ニーズに応えられるようにします。現時点では、昨年、脳外科、整形外科の常勤医師入職により、これら科の手術も可能となり、本年1月からは循環器内科の常勤医師入職にともない心臓カテーテル検査・治療、下肢血管の処置、不整脈に対するアブレーション(焼灼)治療なども積極的に行っています。

地域連携会議をWEB開催 紹介患者の増加に力尽くす

3月18日に地域連携会議をWEBで行い、約20施設に当院の現状を伝えました。今後も診療所への訪問など近隣医師会への働きかけを続け、当院の診療内容を周知し患者さんを紹介していただけるよう尽力します。7月には今年半期分の診療実績をまとめて資料として配布、9月には対面での地域連携会議を予定しています。

当院には院内救急救命士が10人以上おり、救急受け入れ時には中心的な役割を担っています。診療所や施設からの依頼により、救急車で迎えに行くプレホス対応も行っています。昨年度は73件の依頼搬送がありました。救急の断りは新型コロナによる院内クラスター(感染者集団)発生などにより、昨年度は約3割に達しましたが、今年4月単月では受け入れ率94%です。

根本的な課題としては、現状20人と少ない常勤医師数を増やすことが挙げられます。4月に名古屋徳洲会総合病院から亀谷良介院長に院長代行として異動していただき、諸制度を勘案したうえで初期研修医や専攻医の研修連携施設への登録のため、大学病院や他病院に精力的にコンタクトを取り、人材確保に動いています。もちろん私も亀谷・院長代行も単に外部から人を集めればいいのでなく、現職員が高い志と能力をもつことが前提との認識で一致しています。将来的には十分な教育を提供でき、多くの医師が勤務を希望する魅力ある病院を目指します。

高砂西部病院と連携・協力 共に発展していくこと理想

近隣の競合病院とは良い意味で医療レベルを争い、高め合うことが結果的に地域医療の底上げにもつながると思います(最後は勝ちたいのが本音です)。個人的には医師となって34年となり集大成となるはずですが、臨床現場では情けない思いをすることも多々あり、若手の外科手術のサポートや救急の初療診療に注力するなど、つねに新たなことを学び続けていきます。

私が10年間勤務した前任地の高砂西部病院へは1時間以内に行ける距離で、同院の牧本伸一郎院長は私のかつての外科師匠でもあります。できるだけ連携・協力し、名古屋病院と大垣徳洲会病院のように共に発展していくことを理想としています。

新型コロナも5類となり、これから本当の医療の勝負が始まります。「医師の働き方改革」も来年から施行され、昭和的な奮闘が終焉を迎えます。間延びした勤務(私もそれに浸っていたかと思います)から労働時間は短くなるものの、目標設定をより鮮明にし、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルをより早く回すなど、戦略的なメリハリのある勤務で適応していかねばなりません。

今年で創立50周年を迎えた当院の本体でもある徳洲会グループからは、多大な支援を受けています。新病院プロジェクトも当院単体では、とてもできない大規模投資です。ただ、お金で立派な箱はつくれても決して買うことのできない医療の質は当院独自に高め、最終的に投資に見合う成果を上げたいと思います。皆で頑張りましょう。

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