徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2026年(令和8年)09月07日 月曜日 徳洲新聞 NO.1559 4面

TMAT
国内外の相次ぐ巨大地震に隊員派遣
ベネズエラ地震&令和8年熊本地震で医療活動

国内外の被災地で災害医療支援活動を行うNPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)は、今夏、巨大地震が発生したベネズエラと熊本に相次いで隊員を派遣した。ベネズエラでは日本時間6月25日午前7時頃に北部カリブ海沿岸のモロン周辺を震源とするマグニチュード7超の連続巨大地震があり、多くの建物が倒壊、死者6,000人超の甚大な被害が発生した。先遣隊と本隊を派遣し、現地医療機関や他の支援チームと連携して懸命に診療にあたった。7月28日には熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の巨大地震が発生、多くの被災者の方々が避難所に身を寄せた。TMATは多数の支援団体と協働し、大規模避難所を拠点に診療や環境整備など多岐にわたる活動に取り組んだ。発災当日に先遣隊を派遣し、リレー形式で本隊第5陣まで計56人が8月30日まで34日間にわたり、切れ目なく活動した。

夜間の緊急受診にも医師、看護師、薬剤師が対応

「関節が痛んだりはしていませんか」――。令和8年熊本地震の先遣隊メンバーである町田崇医師(福岡徳洲会病院救急科医員)が優しく語りかけた。相手は、TMATが活動拠点とした八代市にある大規模避難所「八代トヨオカ地建アリーナ」の一角に設けた救護所を訪れた避難者さんだ。

7月30日、時刻は午後3時半。この直前、本隊第1陣が同アリーナに到着し、先遣隊および先行して到着していた本隊宇治チームと合流。情報共有と今後の方針を話し合うため、計15人の隊員がそろって全体ミーティングを行ったばかりだった。

患者さんの容態に応じTMAT緊急車両で救急搬送も

この避難者さんは地震発生時に落下物に当たった衝撃により、脚や臀部などに痣ができていた。町田医師は避難者さんの声に耳を傾けながら、「痣は徐々に色が変わり良くなっていきます。時間が経つのを待つしかありませんが、痛みが強いのでしたら痛み止めの薬を使いながら様子を見ていきましょう」と治療方針を伝えた。

TMATが活動拠点とした八代トヨオカ地建アリーナ

救護所の外に並べたパイプいすには、順番待ちをしている方々の姿があり、その後も途切れることなく創傷、裂傷、骨折、打撲、腰痛、身体のこわばり、便秘、下痢症状などを訴える患者さんの診療を、看護師や薬剤師の隊員とともに続けた。途中、町田医師から第1陣の伊藤真之介医師(宇治徳洲会病院総合診療科医員)にバトンタッチ。

DMAT本部を訪れたり八代市地域保健医療福祉調整本部会議に連日参加したりし、関係機関と密に連携

第1陣の合流で診療体制が拡充したため、夕診の開始を決定し、この日は第1陣リーダーの合田祥悟医師(札幌東徳洲会病院集中治療センター副センター長)が担当して診療に尽力した。夜間に重度の脱水症状を疑う患者さんの受診があり、地域の拠点病院である熊本労災病院に救急搬送を行う場面もあった。

24時間診療・当直体制を構築 環境整備など幅広い活動展開

他の支援団体やボランティアの方々と協力し、ダンボールベッドを設営

TMATは地震発生から間もない7月28日午後7時頃、先遣隊の派遣を直ちに決定。福岡病院の緊急車両で4人が被災地へと向かった。夜を徹して八代市役所災害対策本部を訪問し、八代市・氷川町の避難所アセスメント(評価)を行って医療ニーズなど調査。同本部の許可を得て、翌29日午前9時頃には八代トヨオカ地建アリーナを活動拠点とすることを決定し、9時半から早速診療を開始した。

避難所(アリーナ)支援の関係者が一堂に会して情報・課題などを共有

また、インフラが停止し透析実施が困難となった八代市内にある徳洲会グループの鏡クリニックに対し、29日に大隅鹿屋病院(鹿児島県)から隊員を緊急派遣。他医療機関への透析患者さんの受け入れ調整を行った。

じほうの田中士郎メディファクス編集長(写真中央)の密着取材や、エムスリーの取材にも対応

本隊第1陣の合流にともなってTMATは救護所での24時間診療・当直体制を確立。発災直後の創傷や骨折といった急性外傷の処置や救急患者対応・搬送に追われる一方、避難生活の長期化を見据えた環境整備にも早期から着手、日本赤十字社や地元ボランティア、中学生らと協力し、アリーナ内に計280床におよぶダンボールベッドを設営。

また、要配慮者のスクリーニング(拾い上げ)やアセスメントを行い、福祉避難所への移送、同避難所への往診も実施。アリーナ内に要配慮者向けの福祉スペースや、感染症対策の隔離スペースを設定するなど区画整理(ゾーニング)にも取り組んだ。大量に届く支援物資の搬入作業や清掃、食糧配給のサポートなど幅広い避難所支援も実践。こうした取り組みと並行して八代市・氷川町にある周辺避難所の調査や巡回診療を行った。深部静脈血栓症(DVT)予防のエコー検査、弾性ストッキング配布、ラジオ体操なども実施した。

救護所での診療については8月20日に終了し、有事対応を行う体制へと移行。その後、現地では地元の病院やクリニックが再開し始め、避難所の医療ニーズの低下をふまえ、八代市や引き続き現地で活動する支援機関への確実な引き継ぎを完遂し、30日をもってTMATは活動を終了。34日間、先遣隊から本隊第5陣まで56人を派遣し、延べ501人の傷病者の診療を行った。

ベネズエラでは病院や仮設診療所 拠点とし避難所に巡回診療も行う

ラ・グアイラ州の避難所キャンプに開設した仮設診療所で診療

南米ベネズエラ北部で6月24日に巨大地震が発生。直後からTMATは情報収集を続け、29日、村田宇謙医師(湘南鎌倉総合病院救急総合外科部長)ら先遣隊3人を派遣した。翌30日(現地時間)にベネズエラに到着後、首都カラカス近郊や被害の甚大な沿岸部ラ・グアイラ州などで被災状況の調査や医療ニーズのアセスメントを実施。

現地では国際緊急援助隊(JDR)やベネズエラ当局のCICOM(医療情報・調整セル)と密に連携し、拠点病院であるカラカス市内のドミンゴ・ルシアーニ病院の救急外来での診療やトリアージ(重症度・緊急度選別)を実施、駐車場に設置した仮設診療所でも診療にあたった。救急外来では搬送患者さんや急患への対応にあたり、診察や処置など診療支援を実施。仮設診療所では内科疾患の患者さんへの対応が多かった。

ベネズエラの現地医療チームと巡回診療を実施

7日まで活動した先遣隊に続き、中山文彦医師(東京西徳洲会病院外科部長)ら4人からなる本隊を19日に派遣。日本のNGOであるピースウィンズ・ジャパン(PWJ)や現地の医療チームと協働し、ラ・グアイラ州にある避難所キャンプに仮設診療所を設営して診療を行ったり、ドミンゴ・ルシアーニ病院の医療スタッフとともに同州内の避難所キャンプへの巡回診療を行ったりした。

避難生活にともなう内科疾患や環境変化による体調不良が多く見られた。現地の医療機関が業務を再開し、災害に起因する疾患が減少していることをふまえ26日(現地時間)に活動を終了した。先遣隊と本隊で計120人超に診療を行った。

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