徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2026年(令和8年)01月26日 月曜日 徳洲新聞 NO.1527 4面

日鋼記念病院
口腔がん専門医指定研修施設に認定
道南・西胆振の「最後の砦」として評価

日鋼記念病院(北海道)は、徳洲会で初めて口腔がん専門医指定研修施設に認定された。道南・西胆振地域の空白地帯を埋める「最後の砦」として、高い専門性が認められた形だ。同認定により、進行がんや再発がんの新たな選択肢となる「アルミノックス治療(光免疫療法)」の実施も可能となった。形成外科との強固な連携による再建手術や、徳洲会グループ初となる先端的な治療を通じ、地域で完結する高度な医療と若手医師の育成に注力していく。

徳洲会グループ初・光免疫療法も可能に

認定証を手に「若手医師の育成に注力します」と榊原・院長補佐 専攻医(中央)に手術を指導する榊原・院長補佐(右)

施設要件では、過去5年間で100例以上の新規口腔がん症例を数えるなど高いハードルを越えなければならない。榊原典幸・院長補佐兼歯科口腔外科主任科長は、認定に至る道のりの険しさを「じつは一度『保留』となり、2度目の申請で認定されました」と振り返る。同院が道南・西胆振地域の口腔がん診療の「最後の砦」であることを日本口腔腫瘍学会に、ようやく認められた形になった。

現在、北海道全体で口腔がん専門医は10人以下。その大半が札幌や旭川の大学病院、がんセンターに集中。室蘭から函館、さらにその先の松前に至る広大なエリアは、専門医が不在の「空白地帯」となっている。

榊原・院長補佐は同施設認定を申請するにあたり同専門医を取得。「日本口腔腫瘍学会の上田倫弘理事長から『北海道に、これほどの空白地帯があるのは大きな問題であり、この穴を埋められるのは、あなたしかいない』と、地域医療の未来を託される形で専門医を取得しました。地域の方々が、地元で安心して高度な治療を受けられるようにするため、当院への期待は大きいと思います」と明かす。

同施設認定の取得により、同時に口腔がんに対する次世代の革新的治療法である「アルミノックス治療」導入に必要な施設要件も満たした。同治療を保険診療として実施するためには、口腔がん専門医が在籍し、かつ指定研修施設であるという厳しい施設要件を満たさなければならない。

同治療はアキャルックスという薬剤を用い、がん細胞に特異的に発現するEGFR(上皮成長因子受容体)を標的とした抗体薬に、光感受性物質である色素IR700を結合させた複合体を使用。これを点滴投与した後、690ナノメートルの波長をもつレーザー光を照射することで、がん細胞を選択的に破壊するという精密なメカニズムをもつ。

榊原・院長補佐は「正常細胞へのダメージを極限まで抑えながら、がん細胞の細胞膜を物理的に破壊する治療で、標準的な治療が困難な進行がんや再発がんに対する希望の光となります」と強調。道内では北海道大学、札幌医科大学、北海道がんセンター、北斗病院に次ぐ数少ない実施施設として日鋼記念病院が名を連ねた。

同院が高い専門性を維持できる背景には、大学病院のような巨大組織にはない民間病院ならではの機動力と診療科間の垣根の低さがある。とくに口腔がん治療の成否を分ける切除後の「食べる」、「話す」などの機能回復を目的とした再建手術では、形成外科との20年に及ぶ密接な連携が強みとなっている。

榊原・院長補佐は「チームとして手術に臨む文化が定着しています。複雑な微小血管吻合をともなう再建症例であっても、大学病院と同等、あるいはそれ以上の精度で治療を完結できるのは、強固な連携があるからだと考えます」と力を込める。

また同院は患者さんを24時間365日受け入れる体制を堅持し、口腔顎顔面外傷を含む救急医療のインフラとして機能している点も、地域での存在価値を高めている。「断らない医療」の精神は、がん診療の現場でも患者さんの不安を払拭する力強い支えとなっている。

徳洲会グループで口腔がん専門医 目指す歯科医師研修受け入れたい

こうした臨床の充実を持続可能なものにするため、若手医師の育成にも注力。若手が自立的に「考える余地」を尊重する教育哲学を実践しており、榊原・院長補佐は「単に技術を指導するだけでなく、患者さんが病によって失うリスクのある『食べる』、『話す』といったQOL(生活の質)の重要性を深く理解し、患者さんの人生の背景までも共に考える医療者を育てたいと考えています」と語気を強める。

一方、近年の病院経営で重要性を増している広報活動を「必ず回収できる戦略的投資」(榊原・院長補佐)ととらえ、専任担当者と組み、SNSやホームページを通じた積極的な情報発信も実施。学会誌の裏表紙に掲載したシニアレジデント募集広告をきっかけに、志の高い若手医師が応募してきた実例もある。

榊原・院長補佐は「北海道の豊かな自然と温かい人情にあふれる室蘭は、高い志をもつ若手医師を育てる土壌が整っています。ぜひ、徳洲会グループで、口腔がん専門医を目指す歯科医師の研修を受け入れていけたらと思います」と意欲的。

さらに「口腔がん専門医指定研修施設の認定、アルミノックス治療の導入は、地域完結型医療の理想を具現化する大きな一歩であり、今後も当院は地域の方々のニーズに応え、医療の質向上へと挑戦を続けていきます」と抱負を語る。

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