
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)02月10日 月曜日 徳洲新聞 NO.1478 4面
葉山ハートセンター(神奈川県)はハイブリッド手術室を開設した。これは心臓や大血管の撮影に対応した高性能の透視装置(血管X線撮影装置)を配備した手術室。徳洲会グループで、同手術室を開設しているのは18施設に上る。目下、同院は改修工事が進行中で、5月頃にHCU(高度治療室)が7床から8床に拡大、外来ブースも拡張する予定だ。さらに、地域包括ケア病棟(32床)オープンに向けた準備も進めている。診療機能を向上し、地域医療と循環器医療の“二刀流”を目指す。
「地域のなかで存在感を高めていきたい」と飯田院長
葉山ハートセンターは2000年5月に開設。これまでは故障箇所の修繕などを行うのみだったが、2年前から大規模な改修工事プロジェクトがスタート。飯田浩司院長は「手術室、カテーテル室、HCUなどハートセンターの“心臓”というべき部分を中心に、大規模な改装と人員整備を行います」と説明。
さらに、「当院は左室形成術(SAVE手術)、心房細動に対するホットバルーンアブレーションなど独自の治療法を開発し、世界をリードしてきました。今回の改修工事を機に、あらためてハートセンターとしての輝きを取り戻すことを目標としています」と力を込める。
改修工事は24年5月にスタート。手術室は、これまでの2室から3室に拡張、空調や無影灯なども入れ替え、清潔度や明るさを保てるようにした。このうち、昨年末に終了した前期工事後に、ハイブリッド手術室を含む2室が稼働開始。残り1室は後期工事で行うため、5月頃に完成予定だ。
血管X線撮影装置を備えたハイブリッド手術室を新たに開設
工事期間中、外科を常勤医師3人体制に強化したことに加え、地域の診療所の整形外科医師が、非常勤として同院で手術を行うことになったことから、今後の手術件数アップを見込む。
飯田院長は「循環器内科、心臓血管外科が中心の病院として、ハイブリッド手術室は必要不可欠だと考えます。今後、ステントグラフト内挿術やTAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)を実施できるように整備していきたい。また、診療の幅が広がることで、リクルートにも生かしていきたいと思います」と展望する。
ステントグラフト内挿術とは、血管内にステントグラフト(金属製の骨格がついた人工血管)を留置する治療で、大動脈瘤と大動脈解離が対象。すでに施設認定を取得し、近いうちに1例目を実施予定だ。
前期工事では、検査にかかわる動線も整備。これまでは検体検査(患者さんから採取した血液や尿などの検査)と、生理検査(心電図や超音波など患者さんに接して行う検査)が別のところにあったため、効率が悪かった。工事により、両検査に加え採血室もひとつの場所にまとめ、スタッフの動きがスムーズになった。
また、HCUは7床から8床に拡大するが、このうち前期工事後に4床が稼働開始。将来的にICU(集中治療室)に変更できるよう、1床当たりの広さを確保した。
後期工事は5月頃に完了予定。手術室、HCUに加え、外来ブースの拡張や救急外来の整備も行う。その後は、地域包括ケア病棟オープンに向けた工事が始まる。同病棟は急性期治療が経過し、病状が安定した患者さんに対して、安心して在宅復帰できるようにサポートする病棟だ。
今回の一連の改修工事を機に同院は、あらためて地域医療と循環器医療のさらなる充実を視野に入れている。
同院が立地する逗子・葉山地区の高齢化率は30%を超え、山間部を除けば神奈川県内で最も高い。高齢者施設は多くあるが、救急病院は同院のみ。また、同地区は低い山に囲まれ、交通の便が良いとは言えない。
飯田院長は「地域外まで救急搬送すると往復1時間以上、救急車が占有されます。葉山町に救急車は2台しかありませんので、消防署、役場、医師会などを訪問すると、徳洲会病院として、すべての救急患者さんを受け入れる医療が強く期待されています」と強調。「現在は救急に専従する医師はいないので、助け合い、交替しながら対応していますが、院内は良い雰囲気だと思います」と明かす。
地域のニーズに応えた救急医療への尽力もあり、24年には救急車受け入れ数が1,493台になった。今後も、さらなる件数アップを目指していく考えだ。
一方、循環器医療に関し、飯田院長は「当地区は約9万の人口を有し、厚生労働省の統計では心臓病患者数は全国で173万人、当地区では1,200人程度の計算になります。この患者さんが月1回受診するとしても1日50人程度にすぎません。ハートセンターとして実力を付け、他の地域からも患者さんに来ていただける病院にしなければなりません」と目標を掲げる。
また、現在は24時間の心臓カテーテル治療を行う体制が整っていないため、時間帯によっては胸痛の救急患者さんに対応できないが、今後、循環器医療体制を強化して地域で完結できるようにしたいと考えている。同院にはカテーテル室が2室あるが、そこが予定手術で埋まっていたとしても、ハイブリッド手術室でカテーテル治療ができるため、緊急手術にも対応しやすい。
飯田院長は「ハートセンターと地域の急性期病院の“二刀流”を目指していきます。地元の公的機関、医師会、FM放送局、スポーツ大会などのイベントには、できる限り参加し、広報誌、ホームページ、医療講演など、あらゆる機会を捉えて当院の存在感を高めていきます。それは患者さんだけでなく、優秀なスタッフを集めることにもつながると考えています」と未来を見据える。