
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2024年(令和6年)07月01日 月曜日 徳洲新聞 NO.1447 4面
中部徳洲会病院(沖縄県)は“院内セントラルキッチン”を開始した。自院以外に、隣接する関連施設の介護付き有料老人ホームイーストテラスライカム(特定施設)の食事も手がける。調理後に急速冷蔵(冷凍)して保管し、食事の時間に合わせて再加熱する「クックチルシステム」を活用する。病院を中心とした配送は徳洲会初の試みで、同ホームが開所した5月1日から実施。人材や食材を集約化し、給食部門の効率化を図るのが狙い。徳洲会栄養部では今後、他のグループ病院でも院内セントラルキッチンを展開していく考えだ。
初の試みに挑戦する中部徳洲会病院の調理師
中部徳洲会病院(右)と介護付き有老ホームイーストテラスライカム
病院に引き取りに行き中心温度を確認
黄色の専用ボックスに入れて車で運搬
セントラルキッチンは1カ所の施設で大量調理を行い、必要な場所に必要な量を届ける方式を言い、大手外食産業や卸売・小売業、学校、病院、介護施設など多岐にわたる業界で採用している。一般的に、調理を行う施設は大規模かつ独立したタイプだが、中部徳洲会病院の場合、院内の厨房がその役割を担い、自院以外に介護付き有老ホームイーストテラスライカムの入居者さんと職員の食事も調理する。
食事はクックチル。加熱調理後に急速冷却して冷蔵保存し、食事を提供するタイミングで再加熱する手法だ。一般的なクックサーブ(調理したばかりのものを盛り付けて提供する方式)よりも、①食中毒の原因となる細菌などが増殖しにくい環境のため安全性が高い、②計画的に調理業務を行えるため、厨房業務の効率化が図れる、③チルド保存の料理は最大5日程度の保存が可能なため、必要な食数を計算することでフードロス低減につなげやすい――といったメリットがある。
同院では、同ホームの1日分の食事(3食)を前日に調理し冷却保存。毎日、午後3時半に同ホームの厨房スタッフが引き取り、ホーム内の厨房で保存しておく。翌日、喫食時に盛り付けて再加熱し、入居者さんに提供する(主食と汁物は同ホームで用意)。同ホームの厨房スタッフは1日2人体制とし、同院のスタッフがローテーションで担当する。
厨房スタッフが最も気を配るのが温度管理だ。食品衛生法やHACCP(国際的な衛生管理手法)では、クックチルの場合、加熱調理後30分以内に急速冷却を開始し、90分以内に食品の中心温度を3℃以下にまで下げ0〜3℃で保存。再加熱時は中心温度75℃以上(食中毒菌が死滅する温度)で1分以上、ノロウイルスの可能性がある二枚貝を使ったものなどは中心温度85℃以上で90秒以上加熱しなければならない。
温度管理を徹底するため、同院から食品を引き取る際は専用の車を使用。わずか1分の距離だが、同院の厨房で中心温度がクリアしていることを確認した後、保冷機能を備えた専用ボックスに入れ、同ホームに戻る。すぐにボックスから取り出して再度検温し、3℃以下であることを確認したうえで保存する。再加熱時も含め、検温した時間や温度、運んだ時間もすべて記録に残す。
開始から約2カ月経過したが、トラブルもなく順調に運用。食形態も入居者さんの状態に合わせ変えている。同院の厨房リーダーを務める北澤賢二・栄養管理部副主任(調理師)は「良いスタートが切れたと思います」と胸をなでおろし、同ホームの厨房スタッフを務めた同院の仲間淳也副主任(同)は「初の試みでとまどうこともありました。沖縄は気温が高いので、とくに病院からの移動には神経を使いました」と述懐。「病院に比べて高齢者施設は緊急入院などがないため、食数の見込みが立てやすく、フードロスが少なくなると思います」と期待を寄せる。
再加熱時にも検温
ブロックの調理師リーダーが見学に訪れることも
こうした“院内セントラルキッチン”のシステムを、「他の徳洲会グループ病院でも推進していく方針」と、一般社団法人徳洲会の鑓水弘樹・栄養部長は説明。背景に「顕著な調理師不足」を挙げる。「厚生労働省の資料を見ると、調理師試験の受験者数は減少傾向。とくに地方は元々の受験者数が少ないうえに減少しています。また、一部の著名な調理師養成校では、調理師免許取得後、学校や病院といった集団給食を就職先に選ぶ割合が1割以下というデータもあります」(鑓水部長)。
同院の“院内セントラルキッチン”により、同ホームでは開所にあたり厨房スタッフの採用は行っていない。鑓水部長は、施設ごとに人材を配置する従来のスタイルではなく、人材を集約し、必要な時間帯などに応じて配置を変える同システムの有用性に手応えを感じている。「徳洲会には各地域に必ず病院と関連施設があります。配送の仕組みが構築できれば、とくに、新築移転を予定し近隣に介護施設が多い病院で検討していきたいです」(鑓水部長)。