徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2022年(令和4年)11月28日 月曜日 徳洲新聞 NO.1366 4面

読み解く・読み得 紙上医療講演60
時間栄養学で食生活を工夫

仕事で帰宅が午後9時、10時になり、そこから晩ごはんの支度をして……というのは、そう珍しいことではありません。ましてや夜勤の仕事であれば、なおさら生活リズムが不規則になりがちです。当然、食事を摂る時間帯も毎日決まった時間にきっちり、というわけにはいかないでしょう。そうした方に参考になるのが「いつ、どのように食べたら良いか」を考える“時間栄養学”です。湘南厚木病院(神奈川県)栄養室の高谷美咲都・管理栄養士が解説します。

高谷美咲都・湘南厚木病院 管理栄養士

時間栄養学は、体内時計を考慮に入れた栄養学のことです。従来の栄養学では「何を、どれだけ食べたら良いか」ということに重点を置いていました。これに対し「いつ、どのように食べたら良いか」という新たな視点を加えたのが時間栄養学です。

体内時計には親時計と子時計があるのをご存じでしょうか。どちらも1周期約25時間と言われており、日々調整が必要です。親時計は脳内にあり、朝、太陽の光を浴びることで調整され、子時計は体内の各臓器にあり、朝食を食べることで調整されています。

このような身体のリズムを無視し、朝食を欠食したり、夜更かしや朝寝坊を繰り返したり、不規則な生活をしていると、体内時計がずれてしまいます。たとえば朝食を欠食すると、糖尿病の発症リスクが高まることがわかっています。そのほかにも体内時計がずれることで、さまざまな生活習慣病のリスクも高まるとされています。

体内時計は1日ごとにリセットすることが大切です。親時計は朝日を浴び、眼から入る光によってセロトニンの分泌が促され、リセットできます。一方、子時計は起床後、1~2時間以内に朝食を食べることでリセットされます。たとえば午前6時に起床したとしても、その日最初の食事が正午だと、親時計と子時計がバラバラに動き出してしまい、身体の不調につながることがあります。

夜の遅い時間に食べるのは良くないというのは、皆さん自覚されていることと思いますが、それを裏付けるのが、食事誘発性熱産生(DIT)とBMAL1です。

食事を摂った後は、消化・吸収など身体の働きにより体熱としてエネルギーが消費され、安静にしていても代謝量が増えます。この代謝の増加がDITです。DITは朝には高く、逆に夜には低下し、エネルギー消費量の差は4倍にもなります。

BMAL1は脂肪合成に関連するタンパク質のことで、時間帯によって増減します。このBMAL1の作用によって、同じものを食べたとしても、午後2時前後が最も脂肪として蓄積しにくく、一方、午後10時~午前2時頃は最も脂肪として蓄積しやすくなります。

仕事柄、どうしても不規則な食生活になってしまう場合は、夕食の“分食”をおすすめします。夕方のうちに、炭水化物を中心とする主食(食べやすいように、たとえば、おにぎりやサンドイッチなど)を摂り、帰宅後の遅い時間には、できる限り低カロリーで、糖質や脂質よりもタンパク質やビタミン、ミネラルを摂るよう心がけてください。

間食は午前中か午後3時頃までにし、夜食は極力避けることが望ましいです。ただし脂肪蓄積が少ない時間帯だからといってたくさん食べては意味がありませんし、そもそも1日の必要エネルギーの目安は変わりません。

それから睡眠不足の状態は、食欲増進ホルモンが活発化し食べすぎの原因となります。規則正しい生活を送り睡眠時間を確保することも食べすぎを抑えるうえで大切です。

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