徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

医療法人徳洲会 理事長
一般社団法人徳洲会 理事長
東上 震一(ひがしうえしんいち)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

東上 震一(ひがしうえしんいち)

医療法人徳洲会 理事長 一般社団法人徳洲会 理事長

2022年(令和4年)11月28日 月曜日 徳洲新聞 NO.1366

離島・へき地はもとより医療が必要な所に
最善の医療を届けるのが私たちの最終目標
より良い社会の実現へ「徳洲会は世界を癒す」

岸和田徳洲会病院の私の部屋には、50代半ばのエネルギッシュな徳田虎雄・名誉理事長の写真に、「小医は病を癒し、中医は人を癒し、大医は国を癒し」という言葉が添えられた大判のポスターが貼られています。実際には、この文言の最後に「徳洲会は世界を癒す」という壮大なフレーズが付け加えられています。まさに徳洲会の心意気、存在意義を掲げている印象的なポスターです。

私にとっては、また別の意味で心に残るポスターでもあります。心臓外科医としてのキャリアを積み、医療人としての自分を形づくったのは徳洲会という臨床の場ですが、17年前、突然、徳田先生から院長指名を受けた時、あらためて人生を賭し、徳洲会で生きていこうと、内なる決意を固めるきっかけとなった掲示物でした。

「小医、中医、大医」がもつ意味は非常に深いものです。医師は直接的には病気を診るのが役割ですが、全人的に病というものを捉え、患者さんその人をみる、人間をみることが必要だと述べているのです。

2200年以上前の医学書 『黄帝内経』に記された言

病気の機序や薬に没入するあまり、今で言うサイエンスマニアの如く振る舞う医師を“小医”と表現したことに歴史の妙を感じます。この言葉は中国で5世紀に記された書物『小品方』にある「上医医国、中医医民、小医医病」が由来とされています。しかし、その本意は2200年以上前のアジア圏最古の医学書『黄帝内経』にすでに表されています。ここでは“未病”を手当てし、人々の生活と養生への配慮(政治)を行うのが上医として尊ばれています。離島・へき地はもとより世界中の医療が必要な所に、最善の医療を届けるのが徳洲会の最終目標です。「徳洲会は世界を癒す」は徳洲会がもつ使命を示しています。

10月19、20日に独シーメンス社が主催する「エグゼクティブ・ミーティング2022 in ミュンヘン」に招待されました。40数カ国から医療グループの運営責任者が集まり、医療分野での問題を話し合いました。各国での多様な取り組みが発表されましたが、会議のメインテーマは「ヘルスケア:医療をどうやって、あらゆる困難(経済的、社会的、地理的)を乗り越え届けるか」でした。「徳洲会が実践していることが、ひとつの答えになるのではないですか」。同行した大橋壯樹・副理事長が思わず口にした言葉です。“徳洲会の価値は何なのか”をあらためて考えさせられました。

離島・へき地に病院をつくり、都市部にある基幹病院を中心に全徳洲会でそれを支え、さらに発展させていること、欧州の最貧国と言われたブルガリアに最新の医療機器を備えた1000床規模の病院をつくったこと、ブラジルのジャングルに心臓外科の世界的権威であるバチスタ医師が、徳洲会の支援でハートセンターをつくったこと、アフリカ17カ国で徳洲会のサポートにより透析センターが設立・運営されていること、さらにタンザニアでは腎移植プロジェクトが湘南鎌倉総合病院と東京女子医科大学の全面協力により進められ、今ではタンザニア人のみの医療チームが腎移植医療を行えるまでになったこと──など。

病床を使い切る努力と工夫を 社会医療法人化目指し検討も

全くの独立独歩で私たちは成長し、徳洲会の名の下で医療・介護・福祉を用い、より良い社会を実現しようと努力しています。大きすぎる夢をもつことは決して悪いことではありません。徳田先生の言葉「夢・希望・ロマン」は徳洲会の合言葉です。それと同時に、しっかりと自覚しなければならないのは、私たちが手にできる成果は、一人ひとりが努力した結果の積み重ねだということです。地道な努力と苦労のみが未来を約束します。「許可病床を使い切る努力と、そのための工夫」を、よろしくお願いいたします。

2007年の第5次医療法改正で、公益性の高い医療の担い手として「社会医療法人」が規定されました。たとえ採算が合わなくても取り組まなければならない医療、たとえば休日・夜間の救急診療、離島・へき地医療、精神救急医療などがその条件です。まさに私たちが実践している医療そのものが、社会医療法人として求められているものなのです。徳洲会を社会医療法人化しようと考えています。徳洲会は地域社会のため、それぞれの職員のために存在します。

皆で頑張りましょう。

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