徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2022年(令和4年)06月20日 月曜日 徳洲新聞 NO.1343 4面

徳洲会放射線部会
医療被ばくの最適化目指す
線量管理システムを全施設導入

徳洲会放射線部会は、「診療用放射線に係る安全管理体制」について医療法施行規則の一部が改正されたことを受け、対象となる放射線診療機器を使用するグループ全施設(施設)に放射線量管理システムを導入した。同システムは、画像データを自動的に分析して線量情報をモニタリング、目標値に対する評価も行う。線量データは同部会が一元管理し、医療被ばくの最適化を目指す。

「線量の最適化への意識付けにも」と服部部会長

日本の医療被ばくの線量は、世界的に見ても高いのが現状で、こうした状況を改善するため、2019年3月に「診療用放射線に係る安全管理体制」について医療法施行規則の一部が改正、20年4月から医療被ばくの線量管理が義務化された。具体的には①診療用放射線に係る安全管理のための責任者の配置、②診療用放射線の安全利用のための指針の策定、③診療用放射線の安全利用のための研修の実施、④対象機器などの医療被ばく線量の管理および記録。

同施策は「医療被ばくの適正管理」が目的。放射線防護の三原則とは正当化、最適化、線量限度で、正当化とは個々の患者さんに対し、放射線検査の必要性を判断するプロセス(医師・歯科医師)、最適化とは放射線検査で必要最小限の放射線量を決定するプロセス(診療放射線技師)を言う。医療被ばくの放射線防護では、正当化されたうえで最適化される必要があり、正当化と最適化が達成されていれば、線量限度の設定はない。

線量管理システムを確認する服部部会長

同部会長である鎌ケ谷総合病院(千葉県)の服部篤彦・放射線科技師長は「正当化された検査をALARA(As Low As Reasonably Achievable=合理的に達成可能な限り低く)の原則により、最適化することが重要です。医療被ばくの最適化とは、線量の最小化ではありません。線量を下げすぎて不十分な画質になっては、無駄な被ばくになります。また、求めるべきは診断に必要十分な画質であって、最高の画質ではありません」と説明する。

同部会は医療被ばくの最適化に向け、対象機器を使用するグループ全施設(66施設)に放射線量管理システムを導入した。対象機器とはCT(コンピュータ断層撮影)装置、血管造影検査に用いる透視用X線装置、診療用放射性同位元素または陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を用いた撮影装置(PET─CT、SPECT─CT)。同システムは、まず20年12月に鎌ケ谷病院で試験運用が開始、21年以降に対象病院へ随時導入し、22年4月に全66施設への導入が完了した。

医療被ばくの最適化は、関連学会が策定したDRL(診断参考レベル)を基準にする。同数値は標準的な体格の患者さんの検査で適応するには“高すぎるかもしれない線量”の目安となり、著しく高い線量を用いている施設が、それを自覚するために用いる。放射線治療には適用しない。

服部部会長は「線量データを記録・保管するだけではなく、DRLをもとに、定期的に医療被ばくの最適化に向けた方策を検討することが必要です。システム導入は線量の最適化に対する意識付けにもつながりました。これまで線量データは手入力で電子カルテに記録していたので、システム導入により、自動化されるのは大幅な負担削減になります」と強調する。

事前準備として、撮影部位・範囲の識別が必要となるため、グループ共通の撮影プロトコル(計画)を作成。これはDRLの撮影範囲区分にも対応していることが必須となる。

同システムでは、設定した撮影プロトコルごとに、自院とDRLとの線量比較が一覧表やグラフで表示できるため、どれが適正値を超えているか一目瞭然だ。結果を参考に、あらためて線量を低くして撮影を行い、仕上がった画像が診断に資するか検証する。逆に自院の線量がDRLを大幅に下回った場合も、診断に使用する画像として適正か、設定が間違えていないかなど検証する。

こうした作業を、導入66施設すべてが完了することにより、グループ内での一元管理が可能になる。服部部会長は「早い段階に導入した病院が、最近導入した病院に設定のアドバイスをするなど、急ピッチでセットアップを進めています。また、早く導入した病院は、まずは自施設内で線量の最適化に向け取り組みを始めています」と明かす。

今後について服部部会長は「すべての病院で足並みがそろったら、まずは半年分のデータを集め検証する計画です。同じ尺度でデータが集まれば、グループ内で情報共有しやすく、指導もしやすいと考えています。さらに多くのデータが集まったら、研究などにも活用していけたらいいです」と展望している。

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