
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2025年(令和7年)06月02日 月曜日 徳洲新聞 NO.1494 3面
徳洲会外科部会は4月12日、仙台市内で第3回学術集会を開催した。同10日から3日間開かれた第125回日本外科学会定期学術集会に合わせた。同部会では症例発表15演題に加え、外部講師を招聘し特別講演など実施。全国の徳洲会病院から約50人の医師が参加し研鑽を積むとともに、積極的に意見交換を行い連携強化に努めた。日本外科学会定期学術集会では、徳洲会グループから36演題と多数の発表を行い存在感を示した。
「同じ徳洲会の外科医として親睦を深めてください」と外科部会長の乘富院長
徳洲会外科部会学術集会の冒頭、部会長の乘富智明・福岡徳洲会病院院長は「施設の枠や地域を越えてグループ病院同士で助け合うことが必要な場面もあります。同じ徳洲会の外科医として、ぜひ親睦を深めてください」と挨拶。仙台徳洲会病院の神賀貴大・外科部長が司会を務めた。
質疑応答が活発に行われ盛り上がる症例発表
症例発表は「救急外傷外科」、「肝胆膵」、「下部消化管Ⅰ」、「下部消化管Ⅱ」の4つのセッションに分けて実施。
救急外傷外科では、まず福岡病院の中村廉・外科医長が、離島応援先の与論徳洲会病院(鹿児島県)で経験したS状結腸がんや壊死性筋膜炎の症例を紹介した。次いで、札幌東徳洲会病院の佐藤進之介・初期研修医が、腹部CTでfree air(腹腔内に空気が漏れ出た状態)を認め、open abdominal management(腹部開放管理)で治療した壊死性膀胱炎について発表。
日本外科学会定期学術集会の特別企画に登壇する藤岡医師
福岡病院の松岡景馬・内科専攻医はdamage control surgery(救命を目的とした外傷治療戦略)中に、外科医と内視鏡医が共同で膵管ステントを留置することにより、膵切除を回避し得た外傷性膵損傷ⅢB型の完全断裂例を報告した。
肝胆膵では、福岡病院の中川侑太郎・外科医師が急性胆嚢炎に対する経皮経肝胆嚢ドレナージ後の至適手術時期をテーマに発表。札幌徳洲会病院の倉内宣明・胆道外科顧問は、胆嚢総胆管結石症に対するより良い治療の追求を目的として、腹腔鏡下総胆管切石術または腹腔鏡下胆嚢摘出術を実施した症例の治療完了までの介入セッション数を調べ、考察した。
パネルディスカッションで乳腺内視鏡手術について発表する山下部長
八尾徳洲会総合病院(大阪府)の藤井貴子・肝臓外科部長は、同院で実施しているロボット支援下肝膵手術の手術成績など紹介。和泉市立総合医療センター(大阪府)の田中肖吾・肝胆膵外科部長は、2023年4月に肝胆膵外科を立ち上げ手術を開始して以降の開腹・腹腔鏡、ロボット支援下による肝切除術の治療成績など発表した。
下部消化管Ⅰでは、八尾病院の大田修平・外科医長が、徳之島徳洲会病院(鹿児島県)での腹腔鏡下大腸がん手術の手術成績を紹介。同院の松岡信子・外科医長は、高度肥満患者さんのS状結腸がんに対し、術前減量を行ったうえで、ロボット支援下手術を施行した症例を報告。中部徳洲会病院(沖縄県)の鹿川大二郎・消化器外科医長は、ロボット支援下右側結腸手術での体腔内吻合の短期成績を発表した。
全国から約50人の外科医師が仙台に集結
南部徳洲会病院(同)の宮城幹史・消化器外科部長は、大腸疾患に対するロボット支援下手術を含む低侵襲手術の治療成績を紹介した。
下部消化管Ⅱでは、千葉西総合病院の浅井大智・外科医師が、同院の消化器外科領域でのロボット支援下手術の現状を発表。中部徳洲会病院の村上優太・外科医師は、若手ロボット外科医の立場から、ロボット支援下手術の利点や手応えについて報告。福岡病院の森本光昭・外科部長は、約1,300例に上る症例と気象データから構築を試みた虫垂炎患者さんの来院予想モデルを説明した。
白根徳洲会病院(山梨県)の石川真院長は、腹腔内遊離ガスをともなった特発性腸間膜気腫症と子宮広間膜ヘルニアに関して、緊急手術の必要性とタイミングについて検討を行った。
特別講演は2題実施。はじめに、東北大学大学院・消化器外科学分野の大沼忍・特命教授が『大腸癌治療ガイドライン』や豊富なデータをふまえ、直腸がんに対する外科治療の最前線をテーマに講演した。
次に、マラヤ大学(マレーシア)のキム・ソンハン教授が「Why robotics for rectal cancer?」(なぜ直腸がんにロボットなのか)をテーマに、エビデンス(科学的根拠)を提示しながら直腸がん手術での手術支援ロボットのメリットなど解説した。
最後に、宇治徳洲会病院(京都府)の長山聡・外科部長が、手術視覚支援AI(人工知能)による術中ナビゲーションを紹介し、学術集会は終了。
この後の交流会では、はじめに医療法人徳洲会の大橋壯樹・副理事長(名古屋徳洲会総合病院総長)が挨拶し、「徳洲会の外科は年々ステップアップしています。これからも外科のグループを大きくしていき、日本や世界の外科医療を牽引し、より患者さんに貢献していけるようになることを期待しています」と激励。参加した各病院から外科の近況報告などがあり、盛会となった。
乘富院長は「年々、発表演題の質が上がっており、医師同士で顔の見える関係を築くことにより、徳洲会の外科の雰囲気も良くなっています。患者さんのため“オール徳洲会”で力を合わせて活動していければと考えています」と抱負を語った。
第125回日本外科学会定期学術集会では、徳洲会グループから「特別企画」1演題、「シンポジウム」2演題、「パネルディスカッション」1演題、「ワークショップ」2演題、「サージカルフォーラム」4演題、「研修医の発表セッション」5演題、「ポスターセッション」21演題の計36演題の発表があった。
「女性医師が安心して外科医を目指せる労働環境を考える」をテーマとする特別企画に登壇したのは、宇治徳洲会病院の藤岡祥恵・外科医師。「外科専攻医としての妊娠・出産 当科の取り組みと普遍化にむけて」と題し、多様なライフプランの実現を可能とする同院外科の取り組みを紹介した。
シンポジウムは、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の長塚大毅・心臓血管外科医長が「急性大動脈解離Stanford B 型に施行したzone 2 およびzone 3 TEVAR の中期成績―proximal neck angle の検討を加えて―」、宇治徳洲会病院の武内悠馬・外科医師が「銃創、爆傷から国民を守るには~特殊外傷と多数傷病者への処方箋は?~」を発表。
パネルディスカッションには千葉徳洲会病院の山下浩二・乳腺外科部長が登壇、「乳腺内視鏡手術による乳腺手術後の侵襲性・整容性の改善」をテーマに発表した。山下部長は乳腺内視鏡手術を開始してから24年が経ち、700例以上の同手術を手がけるなかで改良を重ねてきた。手術手技の変遷と評価について再検討を行い、ロボット手術への応用を含め今後を展望した。
ワークショップでは、千葉西病院の中村喜次・心臓血管外科主任部長(副院長)が「MICS-AVRのベストアプローチ」と題し発表。大動脈弁置換術は近年、肋骨の隙間から小切開で行う低侵襲のMICS-AVRが主流になりつつある。
同院で施行したMICS-AVR38例について、前方アプローチ17例と、側方アプローチ21例を比較した結果、側方群のほうが術野の確保が良好で、術中の出血量も少なかった。侵襲性、整容性、他の弁膜症への汎用性、直視下あるいは内視鏡手術などの適応性といった観点からも、側方群が優位であることがわかった。
札幌東徳洲会病院の萩原正弘・外科主任部長は「北海道でAcute Care Surgeonになるには」と題し発表した。Acute Care Su-rgery(ACS)は外傷外科、内因性救急外科、外科的集中治療、合併症に対する緊急外科的救済処置を網羅する診療概念。
「救急医療に積極的に取り組み、開腹を含む手術症例が豊富で、かつ外傷手術の経験もでき、多発外傷に対し整形外科やIVR(画像下治療)センターなどと円滑に連携する施設での研修が重要」とまとめた。
サージカルフォーラムに登壇した東京西徳洲会病院の佐藤一彦・名誉院長(乳腺腫瘍センター長)は「乳房温存療法におけるマルチカテーテル小線源治療を用いた乳房部分照射と全乳房照射の主観的および客観的評価法による長期整容性の比較」をテーマに発表した。
乳房温存療法には全乳房照射(WBI)を要するが、照射野を縮小し短期間に治療する乳房部分照射(PBI)が注目されている。佐藤・名誉院長は、これらを比較検討した結果、マルチカテーテル小線源治療(MIB)を用いたPBIは、長期にわたる良好な整容効果を示し、臨床的にはWBIと同等であることを明かした。