
徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest

徳洲新聞ダイジェスト
Tokushukai medical group newspaper digest
2026年(令和8年)01月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1526 2面
札幌南徳洲会病院では、米本智昭・臨床宗教師が緩和ケア病棟での患者伴走や職員の心のケアなどに寄与している。地元紙でも、その活躍が大きく取り上げられた。癒やしきれない魂の苦しみであるスピリチュアルペインに寄り添うのが臨床宗教師の役割だ。
緩和ケア病棟で患者さんの話を聞く米本・臨床宗教師
米本・臨床宗教師(左)はチーム医療の一員としてカンファレンスに参加
米本・臨床宗教師の活動の根幹は「聞くこと」にある。「多くの患者さんは自らを『無宗教』と語りますが、特定の信仰がないだけで『無神論』ではありません」と説明。患者さんとの対話を通じ、無意識に抱く信条や大切にしてきたこと、つまり、その人固有のスピリチュアリティを共に見出し、肯定することこそが「尊厳」を支えると考えている。
そのかかわりは家族にも及ぶ。たとえば、かつて一族のまとめ役だった患者さんが、弱った姿を親族に見せたくないと面会を拒む。その意思を尊重したい娘と、最後のお別れを望む他の家族との間で葛藤が生じた際、米本・臨床宗教師が間に立ち、それぞれの思いや将来の後悔の可能性までを丁寧に整理し、皆が納得できる選択に導いたという事例がある。
さらに、医療スタッフの精神的支柱にもなっている。自身の母親に尽くせなかった後悔をもつ看護師は、無意識に「後悔のメガネ」をかけて患者さんに過度にかかわってしまうことがある。米本・臨床宗教師は、職員が自らかけている「メガネ」の存在に気付くよう促し、心の負担を和らげた。
「医療という武器をもたない」からこそもてる「違う視点」が、医療では解決できない苦しみに向き合う力となっている。しかし、こうした取り組みは「スタッフの素晴らしいケアがあってこそ可能」と米本・臨床宗教師。自身の役割は、すでにある優れたチーム医療に新たな奥行きを加えることであり、その信念の下、患者さんや支える方々と静かに伴走を続けることと考えている。