徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2026年(令和8年)10月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1565 1面

宇治徳洲会病院
地域のがん医療拠点を目指す
ダヴィンチ5導入し3台体制へ

宇治徳洲会病院(京都府)は「ダヴィンチ5」を新たに導入、以前から有しているダヴィンチXi、ヒューゴと合わせ手術支援ロボット3台体制になった。救急医療で高い実績をもつ同院は、がん治療を新たな柱に据え、積極的な機能強化を推進。特徴の違う3台の手術支援ロボットを使い分け、各診療科で低侵襲手術を提供すると同時に、若手医師の教育や地域医療連携の推進に拍車をかける。

3台の手術支援ロボットを背景に坂井センター長 新たに導入したダヴィンチ5による大腸がん手術の様子

同院が導入したダヴィンチ5は、従来のダヴィンチXiから進化を遂げた最新世代機。1例目を9月29日、大腸がん患者さんに行い奏功した。

坂井義治・統括がんセンター長は、「Xiと比べても画面で見える精細さが違い、切除したい箇所や剝離すべき層、細かな神経や血管が非常にクリアに認識できます。これまでは執刀医の熟練した『暗黙知』に頼っていた部分が、誰もが視覚的に理解できる『形式知』に変わるような感覚です。視野が明瞭になることで、無駄な出血を防ぎ、より安全で精度の高い手術が可能になります」と強調する。

機能面では、臓器や組織を引っ張った際の抵抗感を手元に伝える「フォース・フィードバック(力覚伝達)」や、先端がしなやかに曲がり、血管の凝固と切離をスムーズに行える最新デバイスも搭載し、安全性が格段に向上した。

若手医師の育成にも効果を発揮。ダヴィンチ5では指導医と若手医師が同時に操作・指導を行える「デュアルコンソール」を採用。また、従来機ではシミュレーターを使用する際、外部機器の接続や配線替えが必要だったが、ダヴィンチ5では練習プログラムが本体に内蔵してあり、手術室に患者さんが入室して麻酔がかかるまでのわずかな空き時間でも、操作トレーニングを行える。

坂井センター長は「2台のコンソールを使って指導医の監視の下で安全に執刀でき、直前まで何度も手技を練習できます。効率的なトレーニングプログラムと相まって、若手外科医の成長スピードは確実に加速すると考えます」と手応えを語る。

将来的にはデジタル技術を活用した次世代の教育システムとしても期待を寄せる。ダヴィンチ5では、手術中の映像や操作ログデータが、匿名化されたうえで自動的にクラウドに集積される仕組みとなっている。世界中の何万件もの手術データやAI(人工知能)解析を活用することで、執刀医の操作の弱点を分析して最適な訓練プログラムを提示したり、手術中にリスクを事前に警告したりする高度な教育・支援機能の構築が見込まれる。

同院の3台体制化はダヴィンチ5とXiに加え、アームが独立して広い可動域をもつヒューゴを併用する点が大きな特徴だ。患部の位置や解剖学的アプローチ、手術空間の広さなど、症例ごとの特性に応じて最適なロボットを選択して使い分けることができる。複数の診療科でロボット手術の需要が高まるなか、3台の機器をフル活用することで、手術室の稼働率向上と待機期間の短縮を図る。

現在、同院では消化器外科を中心に、婦人科、泌尿器科、呼吸器外科など多岐にわたる診療科でロボット手術を実施。2025年度は年間200件を超える実績を上げ、今年度は300件超えを見込むなど、拡大基調を堅持。また、同院は「がんゲノム医療連携拠点病院」の指定申請に向けた準備も進めており、大学病院や基幹病院との人材・技術交流を強化しながら、包括的ながん診療体制の確立を目指す。

坂井センター長は「早期回復・早期社会復帰を可能にする最新の手術環境が整いました。当院は救急医療で非常に高い知名度がありますが、これからは地域のがん治療の拠点としても大きな信頼を得たいと考えています」と意気軒高だ。

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