直言

Chokugen

天使病院(北海道) 院長
山本 浩史(やまもとひろし)

直言 ~ 生命 いのち だけは平等だ~

山本 浩史(やまもとひろし)

天使病院(北海道) 院長

2026年(令和8年)10月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1565

小児外科手術数・斜視手術数・NICU
「ほかいち」=北海道で一番が3つある
115年の歴史をもつ「お産と子ども」の病院

2025年11月から、徳洲会グループの仲間にしていただきました天使病院です。どうぞ、よろしくお願いいたします。

当院は1911年に開設され、今年で115年になります。時を同じくして仲間入りした日鋼記念病院も、同じ年の開設です。私は2002年に北海道大学第一外科から天使病院に派遣され、以来、この病院で働いています。カトリックの「聖母会」に始まり、「カレスアライアンス」への経営譲渡、医療法人「母恋」としての独立、母恋の社会医療法人の認可を経て、14年に新病院が完成しました。25年11月に徳洲会に入りましたので、約20年で3回の経営母体の変更を経験しましたが、そのたびに地域の皆さまと職員に支えられ、今日があります。

初期臨床研修の受験者数 今年は過去最高の29人に

1970年頃には、年間分娩数が3,000件を超えて日本一になったそうです。当時の札幌市の出生数の6分の1にあたります。現在は年間700件ほどですが、「地域周産期母子医療センター」として、北海道で最初に認可されたNICU(新生児集中治療室)15床、妊娠中のお母さんのためのMFICU(母体胎児集中治療室)6床、退院前の準備をするGCU (新生児回復期治療室)11床を備えています。産科医と小児科医が24時間常駐し、高齢での出産や、糖尿病や高血圧を合併した妊娠にも対応しています。無痛分娩のご希望も増えており、麻酔科医と協力して取り組んでいます。小児科は札幌市の二次救急当番も週1回担当し、NICUの24時間体制を守っています。

小児外科の患児の主治医は小児科医です。新生児や小児の全身管理に慣れた専門家が診ていることも、当院の特徴です。釧路や函館、帯広など全道各地からの搬送も受け入れています。

「ほかいち」とは「北海道で一番」を表す言葉で、この「ほかいち」が当院には三つあります。小児外科の手術件数、眼科の斜視手術件数、そして15床のNICUです。私が小児外科を開設した2002年、全身麻酔の手術は年間80件ほどでしたが、今では約330件になり、そのうち約20件は新生児の手術です。眼科は子どもの斜視手術に力を入れ、年間約120件行っています。どれも、お子さんとご家族の安心につながる仕事だと思っています。

04年度に始まった新医師臨床研修制度では、初年度は採用2人から手探りで取り組みました。現在は14人の初期研修医が学び、これまでの修了者は約100人になりました。他の病院で経験を積んで戻り、中心となって活躍している医師もたくさんいます。今年の受験者は過去最高の29人で、7人の枠に対し中間公表は11人でした。うれしい悲鳴です。他の職種の見学・実習も含めると、年間約800人が各部署を訪れます。若い力は、病院全体を元気にしてくれます。

徳洲会入りし救急応需が急伸 当院は確実に良い方向へ進行

徳洲会に入って一番変わったことは、救急です。25年4月に救急専門医が常勤となり、体制づくりを進めていましたが、徳洲会入りで一気に加速しました。救急救命士を採用し、今年8月に救急車を購入して、9月から稼働しています。昨年、1,750件だった救急車の受け入れ台数は、過去1年で2,000件を超えました。これから冬を迎え、さらに増えると思います。

当院は「お産と子ども」の印象が強く、成人医療は目立ちません。がんの化学療法や肝臓・膵臓・肺の手術など、当たり前に行っていますが、札幌の中心部には、がん、脳血管疾患、循環器疾患に強い病院が数多くあります。当院には脳神経外科も循環器外科もありません。整形外科、麻酔科、内科、外科、NICU、産科の医師、そして看護師も足りていません。雪が降ると、高齢の方の転倒が増え、救急要請が急増します。受け入れきれずに悔しい思いをすることもあります。経験できる症例は豊富ですので、全国の先生方、ぜひ当院にいらしてください。

最後に、徳洲会の仲間になって約1年、病院は確実に良い方向に進んでいます。職員の頑張りと、徳洲会のサポートのおかげです。“生命だけは平等だ”の理念の下、「母恋」から受け継いだ“皆さまに「ほっ」としていただける病院を目指し、「一歩前へ」”、そして“職員は財産”という言葉を大切に実践してまいります。

皆で頑張りましょう。

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