徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2019年(平成31年)1月1日 火曜日 徳洲新聞 NO.1166 三面

徳洲会 未来
難治疾患の克服へ新しい光
進化する再生医療

南部病院ではチームを組み再生医療の実証試験に取り組む 南部病院ではチームを組み再生医療の実証試験に取り組む

再生医療とは、病気やけがで損なわれた臓器や組織の働きを取り戻すため、細胞を体外で培養したり加工したりし、移植する医療。鍵を握るのは「幹細胞」で、同じ細胞を複製する「自己複製能」に加え、さまざまな種類の細胞に分化する「多分化能」をもつ。

幹細胞は①受精卵からつくるES細胞(胚性幹細胞)、②皮膚細胞などに特定の遺伝子を導入し樹立するiPS細胞(人工多能性幹細胞)、③各組織にあり、特定の細胞に分化する能力をもつ体性幹細胞――の主に3つに分類。

ES細胞とiPS細胞は、あらゆる種類の細胞に分化する能力をもつが、人工的につくるため倫理的な問題や安全性に課題を残している。同分野では京都大学が2018年11月、iPS細胞から育てた神経細胞をパーキンソン病の患者さんの脳に、世界で初めて移植したと発表。これは医師主導による臨床研究で、安全性や有効性を確かめて保険適用を目指している。

また、慶應義塾大学は同月、iPS細胞を使った脊髄(せきずい)損傷の患者さんへの臨床研究について学内の審査委員会を開くなど、難治疾患の治療に対する新しい動きが活発だ。

湘南鎌倉先端医療センターの完成予想図(赤線で囲んだ建物) 湘南鎌倉先端医療センターの完成予想図(赤線で囲んだ建物)

一方、体性幹細胞は体内で実際に働いている細胞で、実用化という面で期待が大きい。体性幹細胞には赤血球や白血球、血小板など血液の細胞をつくる「造血幹細胞」、神経細胞をつくる「神経幹細胞」、骨や脂肪、神経など組織をつくる「間葉系幹細胞」などがある。

なかでも脂肪組織中から発見した間葉系幹細胞である「脂肪幹細胞」は、脂肪組織だけでなく骨や軟骨、心筋細胞をつくる細胞などに分化する能力をもち、さまざまな組織への再生医療に応用できると見込まれている。

徳洲会グループでは、山形徳洲会病院が整形外科領域でPRP(多血小板血漿(けっしょう))療法を開始した。これは患者さん本人の血液から作成した高濃度の血小板を用い、組織の再生を促す治療法(保険適用外)。対象はスポーツ外傷・加齢などにともなう機能障害を来し、標準的治療で改善が見られない疾患(靱帯(じんたい)・腱(けん)の炎症、筋挫傷など)で、たとえばアキレス腱炎、靱帯損傷など。

さらに同院では、次世代PRP療法であるAPS療法の導入準備を進めている。APSはPRPから抗炎症成分など関節にかかわる成分を取り出したもの。PRPが主に筋・靱帯や腱などの組織修復に効果的であるのに対し、APSは変形性膝関節症など関節症治療への応用が期待される。

南部徳洲会病院(沖縄県)は、地元のバイオベンチャー「フルステム」が開発した自動幹細胞培養装置を用い、再生医療の実証試験を開始。沖縄県の委託事業として18年度から4年かけて実証にあたる。再生医療専門外来をもつ大阪府のそばじまクリニックと共同で、19年度に同院で皮膚潰瘍、20年度に同クリニックで変形性関節症、21年度に同院で尿失禁の臨床試験を行う予定。

安全に低コストで幹細胞が大量培養できれば、小規模の医療機関への普及も期待される。また、日帰り手術も可能となり、メディカルツーリズム(医療観光)の促進にも寄与する。

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)腎臓病総合医療センターは、新たに急性腎不全に対する自己末梢(まっしょう)血CD34陽性細胞移植による再生治療(臨床研究)を開始、19年に本格展開していく。輸液など保存的治療に抵抗性があり、血液透析治療を必要とする急性腎不全患者さんで、治療に同意いただける方が対象(候補)。ヒトを対象とする再生医療としては初の試みで、すでに特定認定再生医療等委員会での審査を経て、当局からの承認を得ている。

また、20年に開設を計画している湘南鎌倉病院先端医療センターでは、陽子線治療やBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)に加え、幹細胞などを用いた再生医療設備を入れる予定だ。

徳洲会は医療の質や安全性の向上、治療にともなう患者さんの負担軽減を図るため、これからも新しい臨床研究や先端的な医療の導入に積極的な姿勢を貫いていく。

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