徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

和泉市立総合医療センター(大阪府) 院長
松下 晴彦(まつしたはるひこ)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

松下 晴彦(まつしたはるひこ)

和泉市立総合医療センター(大阪府) 院長

2026年(令和8年)02月16日 月曜日 徳洲新聞 NO.1530

高度医療や急性期医療のみならず
地域全体の医療の質を上げていく
徳洲会ブランド名に恥じないよう責務を実行

大阪府南部に位置する泉州地域。大阪で「泉州」と言えば知らない人はいないでしょう。しかし全国区では「岸和田だんじり」ほど知名度は高くないのです。ところが、地元の和泉市民でさえも「堺は泉州?」と聞かれ、意外と答えられる人は少ないようです。「堺は泉州の北端の市」が正解です。でも、これは意地悪問題です。文字どおり堺の由来は「境(さかい)」=「境界」であり、堺は旧摂津国・旧和泉国・旧河内国の“三国の境”に発展した町です。本来、境界とは、どちらにも属さない領域ですが、堺は境でありながら泉州です。医療関係者に、この質問をすると「知らなかった」と返ってくることが多いのです。知らなかったのは堺の由来ではなく、堺市が泉州に属している事実です。当院は泉州二次医療圏にありますが、堺市は同医療圏ではないことが混乱の原因です。

難病患者さんや医療的ケア児 サポートする仕組みを模索中

昨年、堺市の二次医療圏に大きな変化が起きました。近畿大学病院の堺市への移転です。これまで泉州地域には大学病院がなく、各市民病院や岸和田徳洲会病院が高度医療部分を担ってきましたが、泉州地域の高度医療が大学病院を中心とするネットワークへ変化していく可能性があります。

このように大きく環境が変化する中で、当院は和泉市と泉州地域に根付いた医療を展開しています。まず2025年3月に和泉市役所内に「和泉まちの保健室」を開設しました。運営には市のみならず、市医師会や大阪府看護協会にもご協力をいただいています。目的は地域住民の健康意識の向上、育児・介護のアドバイス、人生会議(ACP)の普及にあります。また9月には「和泉市民健康まつり」に参加しました。ACPの普及に協力するため、寸劇「もしもの時の家族会議」を2回公演しました。これには市長、市医師会長、市歯科医師会長にもご出演いただき、大盛況でした。また泉州地域における難病患者さんや医療的ケア児のサポートを行う仕組みづくりも模索中です。一病院、一医療法人では難しいことを、地域の医療法人の力を借りてネットワークを構築し、解決を目指しています。このような活動は病院本来の業務ではないと思われるかもしれませんが、そうではありません。当院は市民病院であり、高度医療や急性期医療だけでなく、地域全体の医療の質を上げていく責務があります。

念願のICUを増床して22床へ がん・呼吸器・難病診療強化も

地道な活動はもちろん重要ですが、当院に求められているのは地域医療支援病院としての救急医療、高度医療、小児医療、そして災害対応であることは明らかです。新築移転して約8年が経過しますが、まだまだ目標は達成できていません。この4月にオープンする増築棟は、すべての問題を解決できるわけではありませんが、大きな一歩と考えています。増築棟に移転する3センター(がん、呼吸器、難病)の機能強化を図り、この地域で弱いとされている領域に大きく貢献します。さらに化学療法室の増床は、当院がサポートする治療と仕事の両立支援には必要なものです。また念願のICU(集中治療室)の増床が実現します。急性期医療と高度医療にはICUが必須であり、現在8床保有していますが、増築棟オープン後は22床になります。これまで以上に高度な医療を提供することが可能となります。

市民病院として多くの診療領域で治療を完結させたいという思いが強く、人的配置や設備投資を行ってきました。また幅広い領域の医療を行うため、35の診療科を有しています。この中には先程挙げた小児科が入っています。小児医療の継続は、昨今の厳しい医療状況を考えれば、しんどいことではありますが、地域医療の質の向上、救急医療、高度医療を掲げながら小児医療の縮小はできません。私たちは地域医療に、それが必要であれば、経営効率が悪くても頑張って継続するという徳洲会ブランドを背負っているからです。

14年4月に始まった徳洲会による指定管理が早くも12年経過します。新築移転、コロナ流行、増築棟併設と、病院を取り巻く環境は大きく変化しました。物価高、賃上げ、円安などで多くの病院が苦しんでいます。そのような中にあっても徳洲会グループの一員として、今後もブランド名に恥じないよう地域医療に貢献してまいります。

皆で頑張りましょう。

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