徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

宮古島徳洲会病院(沖縄県) 院長
兼城 隆雄(かねしろたかお)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

兼城 隆雄(かねしろたかお)

宮古島徳洲会病院(沖縄県) 院長

2025年(令和7年)08月11日 月曜日 徳洲新聞 NO.1504

全職員が同じ方向に向かって進むよう
意識改革を断行して病床を使いきる!
訪問診療・看護も充実させ当地の医療に貢献

当院院長を拝命し2年4カ月になりました。赴任直後は右も左もわからない状態で、医業利益を左右するものが何であるかもわからないまま、暫く過ごしていました。当院に関しては、手術などの高度医療で収益を増やすことができません。入院患者さんを増やすことが、収益の大きなウェイトを占めています。徳洲会医療経営戦略セミナーで言われている「あたり前のこと」、病床を余すことなく使いきることに尽きると思います。

離島では一人であらゆる疾患を 診療できる総合診療医が不可欠

ただし、病床を埋め尽くすほどの入院を受け入れたことはまだなく、自分自身、ふがいなさを感じています。病床を使いきるには、全職員が一丸となって入院数増を目指すよう、同じ思いをもって歩んでいかなくては実現できません。これまで以上に全職員が同じ方向に向かって進んでいくよう、意識改革を行ってまいります。

現在、多くの医師が専門医を目指すなかで、離島では一人であらゆる疾患を診療することができる総合診療医が求められています。当院は協力型臨床研修病院として、毎月4~9人の初期研修医2年目を引き受けています。当院での研修プログラムは外来診療、チームでの臨床診療、外来救急搬送患者対応、当直が月3~4回となっております。まさしく総合診療医を育てるプログラムです。研修を終了した研修医からも「市中病院や大学付属病院などでは経験できない充足した経験ができました」といった感想が多く聞かれています。しかしながら、研修医の数が少なくなる時期(1~4月)があり、その時期には診療体制が厳しくなります。この対策として、その時期に総合診療医を目指す専攻医に来てもらえるようなシステムが構築できたらと、切に願っております。

当院病床数は全99床(急性期病床53床、地域包括ケア病床10床、身体障がい者病床36床)です。宮古島市は人口約5万5,000人で、高齢化率29.3%と、全国平均とほぼ同じですが、地域によっては高齢化がかなり進んでいるところもあります。

また人口10万人当たりの医師数は全国平均256.6人に対し、宮古島地区では174.1人と、全国平均の2/3程度で、かなり医師不足の状態です。しかし、2040年までは医療需要は減少しない状態と言われています。今後15年間は、この需要をしっかり取りこんでいく必要があります。それを実現するため、当院でできることは、救急および外来、他病院からの紹介による入院を増やしていくことです。

プロ意識をもち患者さんの要望に どれだけ臨機応変に対応できるか

これには、今まで以上に患者さんへの対応サービスの向上が必要と思われます。医師および医療スタッフが、「プロ意識をもって、患者さんの要望にどれだけ臨機応変に対応できるか」という点が、患者満足度を大きく左右していると思われ、これまで以上に医師および医療スタッフの患者対応スキルを伸ばしていくことが必要になります。その対応向上こそが、入院と外来の増加につながってくるはずです。生物学者のチャールズ・ダーウィンは、『種の起源』という著書の中で「最も強いものが生き残るのではない。最も変化に敏感なものが生き残る」という言葉を残しています。

これは企業や組織の存続にも当てはまる名言です。離島における当院存続も、離島の環境の変化(人口動態の変動や高齢者数の増加など)に敏感に対応できるようにすることが、生き残るために不可欠だと思われます。

また、最近経験した膵頭部がん末期状態で、来院時、全身黄疸、胆管ステント留置後、同日入院となるも、不穏が強く夜間緊急退院となり、その後、訪問看護、訪問診療を導入した症例がありました。約1カ月後、自宅での看取りも経験をしました。この患者さんは、せん妄が強く入院の継続ができず、患者さんのご家族の協力を得ながら、ゆっくりした時間をご家族と共に過ごし、患者さん、ご家族ともに充実した最期の時間を過ごせたと感じました。この訪問診療の経験をとおして、医師として充足感が得られたのも事実です。

今後、高齢者がますます増えてゆき、多様な患者さん・ご家族のニーズに応える必要があります。その対応として、訪問診療・訪問看護を充実させ、当地の医療に貢献できるよう尽力してまいります。皆で頑張りましょう。

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