
直言
Chokugen

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直言 ~
池田 佳広(いけだよしひろ)
医療法人徳洲会 常務理事 千葉徳洲会病院 院長
2025年(令和7年)08月04日 月曜日 徳洲新聞 NO.1503
私は2014年9月に徳洲会に入職し、40歳で宇和島徳洲会病院院長に就任、全国で最も若い年齢での抜擢となりました。18年には鹿児島徳洲会病院へ異動、当時、赤字だったため経営改善に着手し、すぐに患者さんが増え経営も安定しました。21年には新築移転し1年で黒字化を達成。そして23年4月、東上震一理事長から千葉徳洲会病院院長を拝命し、新たな挑戦を続けています。当院は駅から徒歩4分とアクセスが良く、築11年の未だ新しい建物で、500床も入る病院です。9室の手術室に加えダヴィンチXi、リニアック、心カテ設備、4室の内視鏡室、緩和ケア病棟など、がんを含む高度急性期医療に対応可能なポテンシャルがあります。地域の大学病院や地区医師会、開業医の先生方との関係性も良好で、都心からも近いことから医師や職員の獲得に恵まれた環境にあります。
しかし、就任当初には大きな課題が3点ありました。第一に、回復期リハビリテーション病棟のベッド利用率が70%を下回っており、徳洲会グループでも最低水準でした。第二に、救急車の断り率が32%と高く、地域の信頼を損なう懸念がありました。第三に、ICU(集中治療室)の稼働率も70%未満と低調で、設備が十分に生かされていない状況でした。
まず回復期については、セラピストやリハビリ医の人数不足が根本にあると分析し、セラピスト100人体制、リハビリ医4〜5人体制の構築を3年計画で進めることにしました。ICUについてはホワイトボードによる運用の「見える化」を行い、押し出し方式を導入。患者さんを積極的に受け入れる方針に切り替えたことで、わずか2カ月で稼働率がグループトップとなり、現在も95%前後の高水準を維持しています。救急については、常勤医が不在で非常勤頼みという体制だったため、私自身が毎朝、救急外来に出向き、受け入れを牽引しました。現場の職員から「救急をもっと強くしたい」という声もあり、職員の意欲を大切にしながら何度も話し合い、断りの理由を細かく確認し改善に努めました。その結果、救急車の断り率は22年の32%から23年には13%、24年6%、25年には5%にまで低下。救急車の台数も22年の3,581台から23年には4,677台と大きく増加し、ついに船橋市内で最多の受け入れを達成しました。今後は救急救命士を増員し、夜間にも配置するなど、受け入れ体制を強化する考えです。
当院での1年目は「入院患者さんを増やす」ことに注力し、病院全体の雰囲気も大きく変わりました。2年目からは「紹介患者数の増加」と「入院単価の向上」を目標としました。開業医の先生方や近隣医療機関を積極的に訪問し、医師・職員が一体となって広報活動を展開しました。その結果、紹介件数は22年の月600件から24年には月900件に増加。紹介率も32%から51%へ、逆紹介率も34%から55%へ大幅に増え、25年には紹介受診重点医療機関として認定されました。
当院に着任し30年をゴールとする7年計画を策定しました。救急車台数7,000台、紹介率と逆紹介率をもっと伸ばし、地域医療支援病院やがん診療連携拠点病院の指定も取得。今までは全く手の届かなかった大学病院相当の医療機関である特定病院群(旧II群)も、あと少しで届きそうなところまで来ており、何とか数年で取りたい考えです。23年には内科専門医の基幹病院になり、今後、外科専門医の基幹病院も取得したいです。診療機能の拡充とともに、医師の採用も着実に進み、23年時点で49人だった常勤医は25年7月に70人体制に到達。新たに常勤医が呼吸器外科、整形外科、耳鼻咽喉科、糖尿病内科、精神科などに加わり、診療の幅も広がっています。30年には医師100人、職員1,000人を超すグループの中でもトップクラスの病院を職員と共につくっていきたいです。
一方で、私たちが拠点とする船橋市は人口65万人を擁していますが、医療資源が不足しています。救急車の約25%が市外へ搬送されており、当院が地域完結型医療を実現する中核病院となる必要性を痛感しています。今後とも地域から信頼される医療を提供し続けるために、職員一丸となって努力を重ね、30年に向けた目標をクリアしていく覚悟です。皆で頑張りましょう。