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直言 ～
江原 宗平(えばらそうへい)
医療法人徳洲会 常務理事 湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県) 院長
2024年（令和6年）08月19日 月曜日 徳洲新聞 NO.1454
「たった1回の人生。しかもたかだか70～80年。思い切りやるのだ」とは国際ジャーナリストの落合信彦氏の言葉です。そう考えると、一体お前は何を目指すのか、何か成し遂げたいものがあるのか、ということになり、はて、それは何か、お前の思いは何か、と思いあぐねます。
ベン・ケーシー(米国のTVドラマの主人公で脳神経外科医)なら、また外科医なら面白そうと思って大阪大学医学部に入学。手術がうまくなりたいという一心で暮らし、人工関節と大外傷の手術をやりまくりましたが、ある日突然、飽きが来ました。そして「脊椎手術ができないな」と思い、英才で強烈な個性の小野啓郎教授の下で、がんの脊椎転移の人工椎体置換術や骨盤腫瘍切除再建手術、子どもの重度脊柱側彎症など、高難度脊椎手術を朝から深夜までやりながら、研究生活を送りました。その後、内視鏡の側彎症手術を思い付き、開発臨床に進みました。これで側彎症世界の“スーパースター”になりました。
ところが、教授選(信州大学)に負け、さて、どうしようと考えていたところ、徳田虎雄先生(当時は徳洲会理事長)から「うちで脊椎センターをやれ。ひたすら手術をしろ」との電話。大橋壯樹・副理事長(当時は名古屋徳洲会総合病院院長)からも「徳洲会に入ろう」との電話をいただきました。気付けば徳洲会で20年。これまでひたすら手術を行い5,700件以上の脊椎手術、うち1,600件近くが側彎症手術で関東2位、全国5位に到達。手術ができる立場と設備を与えていただいた徳田先生と徳洲会への感謝とともに、支えてくれた看護師、コメディカルのメンバー、事務職員に謝意を表します。
さらに側彎症手術で全国1位になろうと、また矯正ボックスなど器具も多々開発してきて、もっと簡単に、もっと効果的に矯正できる側彎症手術の開発に注力していたところ、東上震一理事長から院長職を拝命しました。当院がロックボトム(どん底)状態での引き継ぎでした。そこで、419床満床、ICU(集中治療室)12床満床、手術場8〜9列手術へ、救急入院率50%以上、診療密度向上──という5つの目標を掲げ、ロックボトムからの脱却、質・量の向上、経営改善、さらに高いレベルの病院を目指し、プレイングマネジャーとしてスタートをきりました。この5つの目標は当然連動していて、救急からの入院率が上がれば、病床稼働率が上がりますが、現実には上がっていません。高齢者が夜間、救急車で搬送され、辛いだろうから入院していただいたらと思うのですが、なかなかそうもいきません。空き病床もあり、問題山積です。もっと質・量ともに高みを目指し、もう1ランク、2ランク上の病院を目指します。院長を拝命したからには、責任と使命があります。弛緩した当院の意識改革とシステム改革を同時に進め、勝利に導く考えです。
人生は何を目指すか、何を得たいのか、何を成し遂げたいのか、まずは、そう思わないと何も始まりません。その思いを達成するには、英文学者の渡部昇一氏や思想家の中村天風氏も言っておりますが、一つはソウル、ハートそして信念でしょう。これは使命にもつながると思います。徳田先生は自分の命を懸けて、“生命だけは平等だ”の理念を実践し、徳洲会を民間最大の医療グループに成長させました。そして東上理事長は全身全霊を傾け、徳洲会を日本一の医療グループに発展させようとされています。
そしてマインドセット。さらにガッツ。ちょっとした困難や逆風で、へこたれているようでは目的に到達できません。それを乗り越えるファイティングスピリット、ガッツがなければ逆風に打ち勝つことはできません。いつまでガッツを心に闘えるか。側彎症手術全国1位、新しい側彎症手術の開発臨床、徳洲会グループの中核病院として、患者さんのため、職員の幸せのため、ヘッドウインド(向かい風)に抗って、当院をさらなる高みに押し上げます。そして、向かい風に打ち勝って、徳洲会を強烈な上昇気流に、いやジェットストリーム(気流)に乗せて、東上理事長の目指す徳洲会日本一へという目標の貫徹に、少しでもお役に立てるよう、ガッツをもって全力投球します。
皆で頑張りましょう。
