徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

一般社団法人徳洲会 看護部門 地域部 部長
緑川 律子(みどりかわりつこ)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

緑川 律子(みどりかわりつこ)

一般社団法人徳洲会 看護部門 地域部 部長

2024年(令和6年)07月08日 月曜日 徳洲新聞 NO.1448

住み慣れた地域での生活を支える
看護・介護職員へ成長を目指す!
ノーマライゼーションの浸透が課題に

看護部門地域部部長を拝命し、早2年になろうとしています。

「これからの女性は、手に職をもち自立した生き方ができるほうが良い」という母に背中を押され、看護師を目指しました。ただし、進学するなら県内という条件を付けられ、山形県立高等保健看護学院(現・山形県立保健医療大学)臨床看護学部に進学しました。卒業後、当時、地元の新庄市で唯一の総合病院であった県立新庄病院に就職し、その後、山形市にある県立中央病院に転勤しました。山形県初の救命救急センター開設を目前に控え、同院の看護師と転勤組の私も、その要員として、ICU(集中治療室)・CCU(循環器疾患集中治療室)に配属されました。初めは戸惑いもありましたが、どこの職場に異動しても看護に変わりはないと感じました。徳洲会との出会いは夫の転勤により、庄内に転居したことがきっかけでした。何もかもが新鮮で、徳田虎雄理事長(現・名誉理事長)の言葉は力強く、歯に衣着せぬ物言いには驚かされましたが、患者さん第一で飾らない正直さを感じました。

新人の頃、自信がなく何度も確認をすることから、先輩たちからは「面倒くさい新人」とレッテルを貼られました。それでも看護師を続けてこられたのは、多くの先輩や先生方が、そんな私を諦めずに育ててくださったからで、その御恩を忘れることはできません。私は、これまで部署の配置換えや転勤命令を断らずに受け入れてきました。徳洲会に入る前の県立病院では「断る」という選択肢はないと教えられました。しかし一度だけ、看護部長に2年ごとの病棟異動に不満を漏らしたことがあります。その時、看護部長が「そのうち、あなたから感謝される時が来ると思っている」と、笑いながら言われたことが思い出されます。今思えば、そのとおりで、多くの診療科を見ることができたことで、多くの知識や技術、そこで出会う先輩看護師や医師からも多くのことを学ぶことができました。診療科だけではなく、それぞれの病院の特徴や地域性についても知る機会になりました。何より管理者になってからの異動は、自分の管理が間違っていなかったのか、他でも通用するのかを試す機会になりました。とかく同じ所に長くいると、“慣れ”が生じ、「まぁ、いいか」と管理が杜撰になってしまうこともあり、ひいては組織の停滞を招きかねません。今、看護部門でも他施設を見る機会を積極的に進めています。看護・介護の対象者は“人”であり、多様な価値観との出会いでもあります。そのなかで、自身と違う価値観との出会いであっても、相手を尊重する気持ちを失わず、丁寧に諦めずに関わっていくことが必要ではないかと考えます。

人の成長には自分自身の意志と 周囲の辛抱強い教育的関与が要

各自の成長には強い意志と周囲の支援が欠かせません。今、地域部ではポートフォリオの活用を推奨しています。自身の教育履歴をポートフォリオに収め、時々、振り返り、成長を実感してください。自身の仕事とライフイベントを考慮したうえで、キャリアラダーを進めてほしいと考えています。教育は積み重ねです。積み重ねていくことで自信につながり、一人ひとりの成長が看護・介護の質の向上につながっていくのです。

2024年度診療報酬改定で、身体的拘束を最小化する取り組みの強化が規定されました。介護施設では2000年4月に介護保険制度がスタートした時、介護保険施設指定基準に盛り込まれています。医療の現場では、拘束なしには医療の提供が困難な場合も多々あります。今回の診療報酬改定を機に、あらためて「緊急やむを得ない理由」に当たるか否かに合わせ、その弊害についても話し合い、チームの力で一日も早い拘束解除を目指してほしいと願っています。

高齢者の尊厳に配慮した 地域包括ケアシステムを

昨年から地域部では、高齢者虐待・不適切ケアアンケートや認知症ケアの研修を本部主催としても実施しています。障害をもつ高齢の方に対する虐待や不適切ケアは、大きな社会問題にもなっています。高齢者の方々の尊厳を守ることは、ノーマライゼーション(社会的弱者を特別視せず、社会の一員であるという考え方)にも通じ、人の生き方にもつながっています。病院でも地域でも高齢の方の選択や尊厳に配慮した地域包括ケアシステムを目指し、皆で頑張りましょう。

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