徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

直言

Chokugen

大隅鹿屋病院(鹿児島県) 院長
中山 義博(なかやまよしひろ)

直言 生命 いのち だけは平等だ~

中山 義博(なかやまよしひろ)

大隅鹿屋病院(鹿児島県) 院長

2021年(令和3年)11月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.1314

過疎地域での「2025年問題」への対応
生き残りには一層の病院機能向上が必要
医師を探し出すより「つくり出す」手法継続

2014年11月、新病院が竣工した当時、当院が属する肝属(きもつき)医療圏の医療需要はピークにあると統計資料にありました。業者の勉強会でも大隅地区での透析導入患者さんは14年がピークであり、今後は減少と発表がありました。新築移転までの数年間、患者数が増え、業績も右肩上がりで、まさにピークという実感がありました。新病院が建ったばかりなのに、今後、患者数が減少していくのかと愕然とした記憶があります。当時は経営担当の副院長を任されていたので、引っ越ししてからの病院経営に大きな危機感を抱きました。高齢化率が非常に高く、へき地の鹿屋は「2025年問題」の10年先を行っていると思いました。


それから7年が経過しましたが、当院では医療需要が減っているという認識はありません。紹介患者数も新入院患者数も増加傾向です。当医療圏の年代別人口推移では、65歳以上人口は20年がピークですが、75歳以上は35年がピークです。総人口は急激に減少しますが、今後もさらなる医療提供体制の充実が必要と感じています。

急性期担う病院削減構想下 当院DPC病床増床に感謝

国はコロナ禍でも病床機能報告と地域医療構想を照らし合わせ、急性期病床の削減を進めています。コロナ禍で医療逼迫(ひっぱく)が起こりやすい理由のひとつとして、民間病院数の割合が多いことが挙げられています。鹿児島県では徳洲会の活躍もあり、民間病院数が全体の約9割を占め、全国平均より約1割多くなっています。将来の疾病構造の変化に対応する医療機能の分化・連携を進めるには公民一体での取り組みが欠かせません。私は地域医療構想調整会議の委員に任じられていますが、同構想によると、当医療圏では回復期病床の相当な不足が見込まれており、診療機能の役割分担についても検討が必要です。高度急性期のICU(集中治療室)8床は当医療圏では当院のみが指定を受け、近隣の医療機関から高度急性期、急性期以上の機能を期待されています。医師会は、その地域で、どのような病床機能が不足し、どのように手当するか協議していますが、国は急性期病床を減らすことのみ主張し、当医療圏でも急性期病床が過剰であると、回復期や慢性期への病床転換を推進しています。


そのような逆風のなか、同会議で当院のDPC(診断群分類別包括評価)病床40床の増床が許可されました。現在はコロナ対応優先のため、来年4月に病床転換する計画です。当医療圏は580床以上の病床過剰地域ですが、同会議の委員の先生方は今後の大隅地区の医療提供体制について大変な危機感をもっておられます。人口は減少しますが、へき地では急性期を担う医療機関の減少も起こっています。一般病床を介護医療院に転換する医療機関も増えています。当院のDPC病床増床は、地域のなかで当院の役割を同会議や医師会の先生方に評価いただいた結果と大変感謝しております。

医師会と連携図りながら 大隅半島での医療を完結

今後も当院の医療機能を向上させる必要があります。そのためには医局の充実が重要です。これまで同様、医師を探し出すより、「つくり出す」手法を継続していきたいと思います。研修医を集め残すために病院自体が地域トップクラスの実力を身に付ける必要があります。このため先輩医師が自己研鑽(けんさん)に励み、臨床能力の向上のみならず各種専門医・指導医資格の取得に努められるよう、病院を挙げて推奨する仕組みを構築しました。医局の充実は人口減少のなかで当院が生き残るための最重要課題と考えます。


当院は医師会未加入ですが、地域の医師会の先生方と互いに連携を図りながら、地域住民の方々も含め一丸となって新型コロナウイルス感染症と闘っています。互いを批判し合うのではなく、敵はコロナという共通認識の下、一致団結することが大切です。コロナ対策についても当院の基本的なスタンスは、地域の先生方が「これはやるよ」と言われたことについては、お任せし、「これをやってほしい」と思われることを中心に行っていく考えです。それが結果的には“大隅半島での医療の完結”への一番の近道であるはずです。これまでのコロナ対策では、その役割を果たすことができたのではないかと自負しています。これからも陸の孤島である大隅半島の医療を支えてまいります。


皆で頑張りましょう。

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