徳洲会グループ TOKUSHUKAI GROUP

徳洲新聞ダイジェスト

Tokushukai medical group newspaper digest

2021年(令和3年)11月22日 月曜日 徳洲新聞 NO.1314 1面

第74回日本胸部外科学会定期学術集会
徳洲会から35演題発表
さらなる治療成績向上へ研鑽

第74回日本胸部外科学会定期学術集会が10月31日から4日間、都内で開催された。全体テーマは「未来のための今」。現地会場をオンラインでつなぐハイブリッド形式で行った。日頃の診療成果などをふまえ、徳洲会グループからはシンポジウムやビデオワークショップ、テクノアカデミー、一般口演など24演題、オンデマンド口演11演題の計35演題を発表。患者さんのため治療成績のさらなる向上を求め、全国から集まった多くの心臓血管外科医や呼吸器外科医らが知見・情報を共有、研鑽を積んだ。

最新の知見・情報を共有

ワークショップの討論で発言する中村・主任部長

最多の14演題を発表したのは千葉西総合病院。同院心臓血管外科の中村喜次・主任部長はワークショップ1演題、テクノアカデミー2演題、イブニングセミナー1演題の計4演題を発表した。

登壇したワークショップのテーマは「FFR(冠血流予備量比)はCABG(冠動脈バイパス術)をどうかえるか」。冠動脈造影が狭窄(きょうさく)の形態学的評価であるのに対し、FFRは虚血の機能的評価法。中村・主任部長は冠動脈の血行再建が必要と考えられる場合、中等度の形態学的狭窄に対してはFFRを実施する方針を示し、CABGの適応やバイパス方法など治療戦略を説明。「FFRはCABGの質を向上させることに寄与すると考えられます」とまとめた。

同科の伊藤雄二郎副部長は「TEVAR後の人工血管置換術」をテーマとするビデオワークショップに登壇。2013年7月から21年9月までに833例のTEVARを経験、このうち27例に対してopen conversion(人工血管置換術)を実施し、胸骨正中切開によって再手術を行った24例を検討。RTAD(逆行性A型大動脈解離)やendoleak(血液流入)による瘤(りゅう)拡大などの症例に関し、手術動画を供覧しながら治療戦略を紹介した。

演題発表後には活発に質疑応答

同科の黒田美穂医師は「MIDCAB LITA採取:直視下vs鏡視下(ロボット)」をテーマとするDebateのセッションで、「手術支援ロボット補助下ITA剝離(はくり)導入期の検討」をテーマに発表。一般口演では同科の成田卓也医師、中山泰介医師、吉山大貴医師、安元勇人医師が発表した。「当院は日頃から学術的に日本の心臓血管外科に貢献することに注力しています」(中村・主任部長)。

呼吸器領域を対象とし「漏斗胸(ろうときょう)に対する手術手技」がテーマのテクノアカデミーでは、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の飯田浩司・胸壁外科部長と、深井隆太・呼吸器外科部長が登壇した。同院からは計6演題の発表があった。

飯田部長と深井部長は、ともに漏斗胸に対する胸肋挙上(きょうろくきょじょう)術(Sterno-Costal Elevation:SCE)変法について口演。漏斗胸に対しては、金属のバーで胸郭を持ち上げるNuss手術が普及しているが、同手術はバーのずれや疼痛(とうつう)の遷延、感染症の合併など課題が指摘されている。一方、湘南鎌倉病院が実施しているSCE変法は、1980年代に国内で考案されたSCE原法に、飯田部長らが独自の改良を加えてきた術式。変形した肋軟骨を部分的に切除・再縫合し、自己の肋骨の弾力によって胸郭を矯正する。

学術集会は現地会場とオンラインによるハイブリッド開催

飯田部長はこれまでの手術成績をふまえ「SCE変法は対象年齢に制約がなく一度の手術で完結し、重篤な合併症もなく、早期に社会復帰が可能で患者満足度が高いです」と強調。深井部長は「SCE変法は非典型的(特殊な、まれな)形状や臨床所見をともなう胸郭変形患者に対しても実施可能であり、手術成績も良好です。漏斗胸治療の選択肢のひとつになり得ます」とまとめた。

また、同院からは呼吸器外科の西田智喜医長が「急性および慢性膿胸に対する治療方針」がテーマのシンポジウムで、同院で経験した急性膿胸症例の治療経過を後方視的に検討。ドレナージ(排液法)や繊維素溶解療法、手術などの治療戦略を説明し「PS(Performance Status=全身状態の指標)2以下かつASA-PS(米国麻酔学会術前状態分類)がclass2以下の症例は安全に手術を行える可能性が高いです」と示唆した。このほか同院心臓血管外科の片山郁雄・統括部長がランチョンセミナー、同科の服部滋医長が一般口演で発表した。

同じく計6演題を発表したのは名古屋徳洲会総合病院。「CV:後天性」がテーマのクリニカルビデオセッションで、大橋壯樹総長が「感染性心内膜炎(IE)に対する人工弁輪を使用しない感染部位の切除縫縮法の有用性」をテーマに口演した。

IEの僧帽弁形成術は緊急手術の場合、全身状態が悪化しているため、なるべく短時間・低侵襲の手術が有効であるなど、通常の同術と比較し複数の相違点がある。それらを考慮し同院では感染巣の切除とデブリードメント(壊死(えし)組織の切除)後、単純縫縮を行い、人工弁輪を装着しない方法を実施。症例の手術動画を供覧しながら「短時間で行うことができ異物も少ないことから、考慮すべき方法と思われます」と報告した。一般口演では同院心臓血管外科の景山聡一郎医長、日置薫医師、山内博貴医師が発表した。

岸和田徳洲会病院(大阪府)は一般口演2演題を含む4演題を発表。降矢温一・心臓血管外科部長が「傾向スコアマッチングを用いた低左心機能例CABGのONCABとOPCABの比較」、竹本哲志・心臓血管外科医師が「左冠動脈主幹部病変に対するSITAとBITAの比較検討」をテーマに発表した。

「B型慢性(A型術後を含む)解離に対する手術戦略」がテーマのパネルディスカッションに登壇したのは、榛原総合病院(静岡県)の植木力・大動脈センター長。「DeBakey Ⅲb型慢性大動脈解離におけるfirst-line tr-eatmentとしてのTEVAR」と題し発表した。八尾徳洲会総合病院(大阪府)の薦岡成年・心臓血管外科部長は「B型慢性解離に対する血管内治療」をテーマとするテクノアカデミーのセッションで、「慢性大動脈解離に対する血管内治療~偽腔完全血栓化を目指して」をテーマに口演。

また一般口演で、松原徳洲会病院(大阪府)の古井雅人・心臓血管外科部長が「心室中隔穿孔(せんこう)に対するdelayed surgeryのリスクとベネフィット」と題し発表。羽生総合病院(埼玉県)の新田隆・循環器統括顧問は優秀演題のセッションで指定討論者として参加した。

野崎徳洲会病院(大阪府)や和泉市立総合医療センター(同)も各1演題のオンデマンド口演を行った。

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